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第二十五章 滅亡の始まり
乗り気ではない
しおりを挟む「ニコライ4世陛下ですか?口のきき方は勘弁していただきます、私が吉川美子です、こんな電話で失礼ですが、ご用件をお聞きしましょう」
「私に会いたい?少々困りましたね、私はそのような会談は苦手でして、ネイサンさんたちのたっての願いで、ユリウス五世聖下にお会いしただけなのですが……」
「内密でよいですか、構わない……いま日本にいますが、そちらとは五時間ぐらいの時差……私が今日そちらの時間で6時、その部屋へうかがいましょう、陛下お一人でお待ちいただけますか?」
「ネイサンさんに代わっていただけますか?」
「そちらの時間で、6時にその部屋に転移しますので、陛下に驚かぬようにいっておいてください」
「マレーネさんより委細を聞きました、本音を言えば気乗りしない話、しかし皇帝の心意気に感じたので、応じました」
「特にナスターシャ大公女には、私を嫌うようにある事ない事、いっておいてください」
「ところで貴方はどうします、もう帰る?敵前逃亡ではありませんか!」
ネイサンさん、ガチャッと切りましたよ、なんてやつ!
「そちは自分の主に、雑であるように見受けられるが?」
「ミコ様はかなりラフな方、この手の事では怒られません、むしろ不誠実と傲慢を嫌われます」
「誠実があれば、怒るということはありません、ただ大変なへそ曲りではあられますが?」
ニコライ4世の笑い声がエカテリーナ宮殿に響きました。
「もうすぐお会いするのだが、忠告でもいただけるかな?」
「素顔を晒すしかないかと思います、一見小娘に見えますが、言動を見ていれば、修羅場をくぐりぬけておられるように思いますので」
「何事もお見通しとお考えください、人智を超えています。
「それと基本的に、貴国との交流は乗り気ではないようです、それでも陛下の心意気を汲まれたようです」
「あとは美女の泣き落とし……ただし捨て身で掛かってください、6時まではまだ時間があるようです、ナスターシャ大公女とよくご相談ください」
「くれぐれもいいますが、優しいけど冷酷ですよ、どちらも飛びぬけて……では失礼いしたます」
その後、ニコライ4世は久しぶりに、娘のナスターシャとお茶を供にした。
「ナスターシャ……すまぬ、しかし、なんとしてもオーナーに取り入ってくれ、ロシア国民の未来がかかっている……」
「……お父様、相手は何もかも桁はずれのようです、ネイサンと云うのは、世界資本を握っている一方の雄、そしてもう片方がディヴィドソン、物流の鈴木商会も加わって、それらがあの写真の美少女に従っている、ナーキッドと云うのも仮の姿なのでは?」
「この帝国内でも、私と宰相だけが知っている事を伝えておく
「いまから云う事が、ロシア帝国が知りうるすべてだ、そしてよくよく胸にしまっておいてくれ」
「ナーキッドが我が国に接触してきた理由は、宇宙開発の先進国で、唯一ナーキッドが展開していない国がロシア、ナーキッドは火星を彼らに譲渡するという、ナーキッド協定の秘密条項の黙認を求めてきたのだ」
「火星?」
「彼らは火星を、生き残りの為の保険と位置付けている、住めるように出来る力があるようだ」
「ジョンソンレポートというのが、世に出たことがある、このテラは人口が増えすぎて、人が住めなくなるという内容だった、ナーキッドはこの問題に対して傍観を決め込むようだ」
「つまりもはや手遅れ状態に近く、保険が必要になってきた……」
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