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第二十五章 滅亡の始まり
オストプロイセン
しおりを挟む例のロシア政府とネイサンさんの交渉には、とんでもない贈り物がついていました。
東プロイセン……そういえばロシア帝国は存続し、第二次大戦も1944年には終戦を迎えていました……
ポーランドは独立していましたが、私の世界の第二次大戦後のいまの形ではありません。
かなり小さく、私の知るポーランド領から第二次大戦の前のままのドイツ領を除いた領域になっており、ダンチヒが完全にポーランドのものになっています。
ただドイツ領の飛び地である、東プロイセンをロシア帝国の領地としていました、
「なんでこんな厄介な土地を貰ったのですか?」
「ナーキッド展開の皇帝との約束をささやかながら守るためです」
「現在ここはロシア人がほとんどの地域、ナーキッドが展開すれば、ドイツはなにもいいません」
「約250万人の地域ですが、独立国として明確にナーキッドの国とします」
「東欧にも一つぐらい、ナーキッド協定の国があってもいいでしょう」
事が終わり、私の女になったナスターシャさんと、エカテリーナ皇妃と三人で話した結果、二人には一年の喪に服してもらうことになりました。
そしてナスターシャさんとエカテリーナ皇妃は、新しいオストプロイセン共和国の国籍を取得、ナスターシャさんは事務担当補助となり、ナーキッドオーナーの我妹子(わぎもこ)に、喪が明けたら正式になると発表されました。
首都はケーニヒスベルク、カリーニングラードなどという無粋な名前は、このテラでは存在しませんでした。
ケーニヒスベルク城もそのまま残っているようです。
このケーニヒスベルク城を、ナーキッドのオーナーである私が現地政府から購入し、その代理人としてナスターシャさんを指名した。
そういうことで、ナスターシャさんと、その母のエカテリーナ皇妃が住む事になりました。
勿論異空間倉庫で、レイキャネース・ハウスと繋がっています。
あのエカテリーナ皇妃を助けた女官は、私がお尻を撫でまわした例の伯爵令嬢で、皇帝一家のように家族を殺されていましたので、そのままついてきています。
私はこの人を清女(きよめ)とし、指輪を授けようとしましたが、ナスターシャさんが身をさしだすなら、私もといいます、これには困ってしまいました。
エカテリーナ皇妃が、私にナスターシャのように抱いてやってくれと頼みこむ始末……とにかく采女としました。
この人、いつかは抱かねばならぬのでしょうね……
伯爵令嬢はクセーニャさんといって、十九歳とのこと、黒髪の憂いを秘めた、クールな印象のある方です。
ちなみにナスターシャさん、堂々とチョーカーをしています。
マスコミの取材に、ナーキッドオーナーの我妹子(わぎもこ)の証と、云ってのけたのには驚きました。
世界はナーキッドオーナーが、日本に関係していると知った瞬間です。
意外にもこのことが、オストプロイセン共和国の安定に寄与しましたが……
チュートン騎士団の根拠地、そしてドイツ帝国の故郷、プロイセン……
もうこの土地は、ドイツ人の土地ではなく、ロシア人の土地になっています、負けた国の蛮行は白日のもとにさらされ、勝った国の蛮行は隠匿される……
この土地を思うと、ナチスドイツの蛮行に隠れたソ連、このテラでのロシアの蛮行が見えてくる……どちらも民族の抹殺を実行しているではないですか……
振り返ればアースでの私の故国、日本でも……
勝てば官軍……済南事件はあまり責められない、通化事件の中国共産党軍と朝鮮人民義勇軍南満支隊(李紅光支隊)の蛮行はあまり責められない……日本の敗戦時の進駐軍の蛮行も……
私は中国大陸での、日本軍の大陸打通作戦に参加した方の話しを聞いた事がある……
直接かかわった当人から聞けば、日本軍の蛮行はあったと思える、それを否定する心理は何なのだろう……
どうして自分の手が血に染まっているのに、相手の手の血糊を責めるのか……
世界では数え上げれば枚挙にいとまがない、ベトナムのソンミ村、ポーランドで起こったカチンの森、ナチスのユダヤ人虐殺、フォンニィ・フォンニャットの虐殺とハミの虐殺とタイビン村の虐殺……
朝鮮半島の人も、ライダンハンをなんと説明するのか……家に帰ると良き市民の人々が……
ベトナムに目をむければ、フランスもたいして変わらない、ミーチャック村虐殺では170人の女性を強姦してから虐殺、157人の子供を殺している。
アメリカはドイツと変わらない、インディアン戦争と呼ばれるものは、強者における民族浄化、誰かこの蛮行に弁解出来るのかしら……
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