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第二十七章 グランドツアー

女官の交流

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「巫女様!」
 アンさんが駆けよってきます。
「久しぶりね、大きくなったわね、幾つ?」
「十四になりました」
 そういえば、十二歳で初潮を迎えたのでしたね……
 あれから二年……たしかに乳房もウェストも、女性らしくなってきています……

「私も大きくなりました!」
 ペピさんが負けずといいます、そうですね、十二歳ですものね……初潮前に抱いてしまって……
「初潮はありましたか?」
「この間ありました!もう立派な女です!」

 背中に視線を感じたので、振り返りますと、レイチェルさんが、訴えるような眼差しをしています。
 もとアムリア貴族である侯爵の娘、母親のキャンディスさんと一緒に、私に仕えてくれている娘です。

「レイチェルさん、こちらへ」
 と呼びますと、いそいそとやってきます。
「幾つになりました?」
「十三歳です」
 ポロポロ涙をこぼしてくれます。
 可愛い……ドキッとしました。

 そういえばジェーンも十四歳ぐらいでは?
「ジェーンさんはどこですか?」
「ヴァカリネ様、ここに」
 このレムリア娘、間違いなしの美少女ですね……

 私が幼い方たちを、呼んで喋っていますと、寂しそうにしているアマーリアさんを見つけました。
 やはり来ていたようですね。
「アマーリアさん、貴女もこちらへ」

 アマーリアさんは遠慮がちにやってきました。
 確か十二歳になっていたはずです。
「お姉さんときたの?」
「はい、アレクサンドラ姉様と一緒に……」
 指には誇らしげに、采女の指輪が光っていました。

 さすがに他の方も、この娘たちの手前遠慮してくれているようですね……後が怖そうですが……

 さて、この美女軍団の歓迎旅行を始めましょうか……
 このテラの最後の輝きになるかもしれませんし……

 火星のフォボスステーションより、出来たばかりのテラへつなぐ、惑星鉄道に乗り換えます。
 列車内では皆さん、凄い緊張です、もっとも愛人さんと女官長は平然としていますが……
 この人達は、根性が据わっていますからね。

 訪問団76名が、テラのレイキャネース・ハウスの地下ステーションにたどり着きました。

 とにかく部屋割して、一休みしましょう。
 ちょうどうまい具合に、レイキャネース・ハウスは真夜中でした、空には恒例のオーロラが見えるでしょう。

 一時間後、荷物をといってもあまりありませんが……

「皆さま、このレイキャネース・ハウスにようこそ」
「私はこのレイキャネース・ハウスの事務担当者、ディアヌ・ロッシチルドと申します」

「こちらは事務担当補助のエッダ・ハプスブルグ・ロートリンゲン」
「そしてこちらは、このテラでの薫様のような存在であるエール様」

「現在、当地は深夜ですが、とにかく軽く食事をとってもらいます、お口に合わないかもしれませんが、ご勘弁下さい」

「食事の後、こちらで用意した、衣服等をお配りいたします、その後、ブルーラグーンで汗を流される事を勧めます、なんといってもオーロラが出そうですから」
「朝の五時まではメンテナンスの為といって、立ち入り禁止にしていますが、基本的には裸はお控えください」

 軽いお食事とは、フィッシュ・アンド・チップス、スコッチエッグ、ソーセージ、イングリッシュ・マフィン、サラダ、ウェルシュケーキ、それとギネス・ドラフト、缶ですが……

 お手頃ですね、でも幼い娘たちに……と思っていると、ドライフルーツケーキとチョコレートドリンクも出してくれています。
 勿論、チョコレートドリンクは、かなりおいしい物を用意してくれています。

 皆さん、満足していただいたようで、ブルーラグーンで朝まで浸かっていたというか、寝ていたというか、能天気な方もいました。
 異世界の女たちを歓迎してくれているのか、夜空にはオーロラが踊っていました。

 でも、大半の皆さんはさすがに早めに就寝されました、朝食はブランチとしますので良く寝てくださいね。

 このレイキャネース・ハウス滞在は三日、明日昼過ぎから『グトルフォスの滝とゲイシール間欠泉 半日ツアー』 なる物が用意されています。

 皆で行動するのはこれだけ、あとはレイキャビックへ行くなり、ブルーラグーンで温泉三昧するなり、各ハレム事に決めてもらいます。
 私はモルジブの無人島で甲羅干し……

 レイキャネース・ハウスからだけ行ける、専用の避寒地、アイスランドは寒いですから……

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