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第六十三章 時のつながり

無いものは無い

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  ……我は大自在天、汝は大自在天女、神がかりは巫女の専売特許であろう……
 前回はそのような言葉を聞いた、しかし今回はどこまでも『無』、私以外に存在を確認できない……

 ……これが本当の空無辺処?だったら私は異端なのであろう……
 ……私はまだここにいてはいけない、大自在天女と名がある以上、『色』なのだから……

 ……その通り、我も汝も本来は存在できない場所、だがしかし、こうして存在している、何故かな?……

 ……洋人なのか?……

 ……我は大自在天、汝は大自在天女、我が洋人なら汝は美子、空無辺処だからこそ、我は汝と向き合える、理解しているはず、感じるだけなのだ。

 空無辺処と呼ばれるものはないのだ、三千世界もない、存在を知覚するのは、そう在るべきと思う知識なのだ。
 洋人という知識があれば、洋人を知覚する。

 空無辺処と呼ばれる概念があり、その中で、汝は汝という存在を俯瞰できると規定した。
 それゆえに我は存在し、汝と向き合える……

 ……なるほど、私が私と語り合うわけだ、では私の思いを検証しようではないか……

 ……そうだ、その為にこの空無辺処と、汝が規定した時空間を想定したのだ。
 我は汝と同じ、その思いは我の思い、神への疑い……

 ……まず、神は存在するのか、確かに私は三柱の神様のお考えを実行してきた。
 幻だったとしても、私の記憶には行われたとある。

 概念とか記憶とかが、『在る』と規定する以上は『在った』はず。
 では私が三柱の神様と考える存在は『在った』わけだが、その存在は『神』と呼ぶものなのか……

 ……『神』とはなにか?
 自己より、より高次の存在と規定できるのではないか?
 不可能を可能にする存在に出会えば、それを『神』と呼ぶのではないか?

 クリームヒルトは、汝に聞いたではないか?
 『神人(ゴッドメッシュ)』かと。
 『超人(ユーベルメッシュ)』であるクリームヒルトから見ても、汝はより高次の存在、『神』の領域にいる存在なのだ。

 我らから三柱の神様を仰ぎ見ると、より高次の存在、『神』と呼べる方々、では我らは神なのか?違うとしかいえない、なら……三柱の神様は自らをどのように認識しているのか……
 
 ……同じ返事……だろう……

 ……では三柱の神様より高次の存在は『在る』のか……我らはその存在を先ごろ知覚した、いや、させられたというべきではないか?
 ……神のさらなる神、大神は御座(おわ)す、そう口走っただろう……

 ……『大神』……しかし……
 ……怖いのであろう?……

 ……そう、造化三神は役目を終えられた……神(かみ)さり……出雲大社の御客座は光に包まれた。

 ……出雲大社本殿内にある御客座、小さな社、別天津神(ことあまつかみ)五柱をお祭りしているといわれていますが、主祭神大国主命を監視しているとの説があります。

 事実、出雲大社においては、大国主命は横向きで参拝を受けているのです。

 この主祭神大国主命とは……国づくりの神、国津神……国、つまり私たちの世界は時でつながっていた。
 その時は修正され、いま正しく流れ始めた……

 そしてそれを監視する神々……別天津神(ことあまつかみ)、監視する必要がないという現象は、監視対象がないということ……

 ……おかしいだろう?まだ時は修正されたとしても、時は存在する、監視対象は存在するのだからな……
 しかし必要がなくなった、来る世界には不要になったと、考えるしかないのではないか?
 だから怖いのであろう?……

 ……世界は思えば存在するようだ、それは実感としてある。
 惑星中原の出来事以来、先ごろのラグナロク戦争まで、嫌というほど思い知らされた。

 私はこの力を『天之御中主(あめのみなかぬし)』様の下されしお力と信じていた。
 しかしラグナロク戦争は代理戦争ではなかった。
 三千世界を再構築するための、大掃除ではなかったのか?
 そして誰の思いでこうなったのか……

 ……『大神』の望み……
 ……その通り、そして誰かの役目は終わる……
 ……さすれば……

 ……そう、『神殺し』を強いられる恐れがある……
 ……『神殺し』の前に『親殺し』ともなる。
 それだけは避けたい……

 ……結論は出ているではないか……
 ……たしかに、こうして話をしていて踏ん切りがついた。
 『大神』のご意向ではあるが、完結はさせない。
 混沌を少しは残る、監視は必要になる……

 ……そうだな、では美子よ、もう分かれることもないだろう、大自在に行えばよい……

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