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第六十七章 テントの出来事
メイド専用軍事トーチカポップアップテント改二
しおりを挟むそう言うと、小さいカバンから大きなカバンを取り出し、その中よりキャンプストーブとクッカーを二組取り出しました。
木質燃料ペレットと着火剤、そして全天候型ファイヤースターターで火を熾すと、クッカーにペルペトゥアのパンを薄く切り、軍用全卵粉末と粉末ミルクを取り出し、フレンチトーストを作っている美子さんです。
もう一つのキャンプストーブとクッカーでは、お湯を沸かしていました。
「とりあえず食べてみて、お湯も沸いたから、飲み物も作るわ」
お湯に、粉末ココアなどを放り込んでいます。
「寒いからあったかいココアね」
いいながら、スパム缶と乾燥キャベツなどで簡単な炒め物を作ってお皿に盛り、ライトマイファイヤー社のカトラリーをつけて差し出しました。
「メインデッシュとしては物足りないけど、食べましょう」
何が何だかわからないペルペトゥアでしたが、
「いただきます」といって食べてみました。
「おいしいですね、特にこのパンの料理法は、初めて知りました」
どうやらこの世界に、フレンチ・トーストは無いようですね・
「そういえば、夜は突然来るのですか?」
「突然です、そしてものすごく寒いです」
「旅人はどうして、夜を過ごすのですか?」
「とにかく穴を掘り、風を避けます」
「穴の中でたき火をして、酒を飲んで寝ます」
「大丈夫です、私が酒を飲み、ティアマト様を温めて差し上げます、『夜の奴隷』の務めですから」
「でも、たき火が消えたら?」
「私が火の番をいたします、私は寝ずの番は慣れていますから」
「いけませんね、特に今夜は、ペルペトゥアさんの事を知りたいですから」
この言葉にドキとしたペルペトゥアさん、はしたなくも大事なところが湿ったのです。
美子さん、メイド専用軍事トーチカポップアップテントのうち、夫人以上が使える改二を取り出しました。
オリジナルのテントもかなり改良されており、赤い板一枚と、黄色い板八枚でよくなっていますが、改二は夫人以上の専用として、数々のオプション仕様がついています。
黄色い板八枚を接続すると、自動的に拡張して2.7メートル四方の底板が組みあがります。
最後に赤い板をはめ込むと、ブーンと音がしてテントが完成。
「これなら、どんな寒さでも大丈夫」
さらに全自動防御に加え、半自動防御も選べるようになっており、この半自動防御は、銃眼からフィルターを通して換気をするものです。
ただし外気などが危険な場合、瞬時に全自動防御に切り替わります。
通常は発電衛星などから電力を受電するのですが、不可能な場合、高性能蓄電池が搭載されています。
一週間ぐらいは持つはずです。
さらには最新鋭の、非常用の超小型核融合電池を設置できます。
車のバッテリーみたいな大きさで密閉されており、『大きなカバン』からだけ取り出せます。
これなら無尽蔵に電力を取り出せますが、まだ佳人以上にしか取り出せません。
評判の悪いトイレの問題は未解決ですが、テント外に廃棄は出来るようになっています。
ただし、電力がフルに使える場合だけですけどね。
小さいゴミ箱があり、そこに放り込むと、焼却して廃棄するわけです。
「メイド専用軍事トーチカポップアップテント改二、起動しました、受電不可のために、非常用蓄電池を使用します」
ここで美子さん、超小型核融合電池を設置すると、
「動力源が、小型核融合電池に切り替わりました」
「半自動防御と光学迷彩を起動、回避行動優先としなさい」と命じました。
「半自動防御と光学迷彩を起動、回避行動優先いたします」
「とりあえずは、これで防御も完璧ね、広域探査してマップを作成しなさい」
ここで夜が突然来たのです。
「外気温、急激に低下、天井開口閉鎖いたします」
「さて夜が来ました、寝ながら長い夜話でもしましょうか、私の夜の奴隷さん」
エアークッションの上にシーツなど敷き、服を脱ぎながらの、美子さんの言葉です。
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