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第六十八章 『天候予定表』は雨

お別れするときは、自分で処分いたします

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「出来たわ、とにかく食べてね、昨晩のものより、少しはおいしいと思うわ」
 チタン製の3役カトラリーなどを差し出しています。

 これはスポーク チタニウムと呼ばれるもので、マルス北欧地区のスウェーデンの会社が作っているものですが、通販カタログに採用されているのです。

  ペルペトゥアもライラも、食べたこともない料理でしたが、とにかく温かいものがおいしいようです。
 食事が終わって、美子さんが口を開きました。
 
「今日一日はこのまま野営だけど、明日からどうするかですが、私はクインクに、会いに行かなければならないのよ」
「ペルペトゥアさんはどうしますか?貴女にとってクインクは崇める存在なのでしょう?」

 ペルペトゥアが、
「ご迷惑なら、私を処分してください!」と訴えますが、
「そんなことはできない、貴女とは愛を交わした以上、大事な存在なのだから」

「私はらしくない行動をとった、どうしても貴女を抱きたくなって抑えられなかった」
「この世界に満ち満ちている波動に、影響されたのだろうと思う」
「幸い破壊衝動には至らないが、愛欲は抑えにくい、だが何とか自己を律することができるようになった」

「……私は……『夜の奴隷』……命じて頂ければ……私はお側に……」

「ペルペトゥアさん、ありがとう、心無いこといいました
「私には、昼も夜も尽くしてくれる方々が、沢山おられますが、それでも良ければ、この仕事が片付いたら、責任もって貴女の面倒を見させていただきます」

「私は『夜の奴隷』、お仕えする方々の端くれに加えて頂ければ、それ以上は望みません」

 ここでライラが、話に割って入りました。
「ティアマト様、私もお忘れなきようにお願いいたします、私には、ティアマト様しかおられないのです」
「主様はティアマト様です、お別れするときは、自分で処分いたします」

「でも、ライラさんは『夜の儀式』を済ませてはいませんでしょう、それだけの美貌なのですから、前途は明るいでしょう」
「ライラの『大事なところ』は、御覧になられています!」

「私はきっと、お役に立てると思います」
「私は神殿巫女の娘、聖なる都キシュキンダーの事も、少しは聞いています」

「ティアマト様がクインク様と争われるとしても、私はティアマト様の為なら、この身を盾にして見せます」
 ライラさんは必至で訴えています。

「クインクを知っているのですか?」
「お会いしたことはありませんが、死んだ母から聞いたことがあります」
「本当のお名前は、コータヴィーだとも聞きました」
 
「ライラさん……コータヴィーについて教えていただきます」
「その為にも申し訳ありませんが、本当に人生をもらいます」
「私もお仕えする方々の、端くれに加えて頂けますか?」

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