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第七十四章 家族のぬくもり
いつもの吊るし上げではすまない
しおりを挟むしかし本格稼動させると、マレーネさんが頭を抱えながら、ネーレーイス改を調整しています。
「どうしたの?」
「いえ、ネーレーイス改の料理がまともではないので、調整しているのです」
やはり小雪回路が影響して、目玉焼きとかトーストとか、簡単なものなら出来るのですが、煮物などは上手く作れないのです。
「小雪さん、料理だけはあまり上手ではなかったから、その回路を流用した、ネーレーイス改では無理でしょう」
「ネーレーイス改には朝食を担当してもらい、昼食と夕食は来良さんにお願いしましょう」
結局、平日は来良さん、土日は外食となりました。
来良さん、料理上手ですね。
最も、わいわいと家族そろっての晩餐は、それだけで美子さんにとってはご馳走なのです。
惑星カタカムナの主星は、ティアマト宇宙にあるソル星系の主星そっくりの恒星が選ばれ、しかもその位置は一天文単位、大きさはマルス程度です。
ただ中心核はマルス同様に調整してあり、重力はテラと同じ程度、ダイティヤ大陸と呼ばれている島は、その惑星の北寄りにあり、概ねテラの該当地域、つまり満州あたりの気候が再現されています。
まぁ寒いわけですが、ティアマト府はそれでも最南端に位置する関係上、平均気温が最低氷点下7度から最高28度ぐらいで過ごしやすいのです、一応四季もあります。
いろいろ豆大陸が散在していますが、この開発はティアマト管理官府と、八つの侯爵領政府が出資している、ダイティヤ開発が管理とともに、一手に引き受けています。
天津吉川家がお引越しを終え、落ち着いた頃、季節は四月の初めです……
「もう美子ったら、女学生ごっこがすきなのだから!」
「でも今回はかってに拾い食いはだめよ、そんなことしたら本当に『百合の会議』で殺されるわよ!」
物騒なことを言っている茜さん。
一年のグランドツァーをこの星で過ごすにあたり、美子さんは誓約書を書かされることになったのです。
茜さんも保証人として、副署させられています。
「分かっていますよ、お友達は作っても、色事の関係はいたしません」
「そんなことすれば、いつもの吊るし上げではすまないことは、理解しています」
「そうよ、私まで並んで討ち死によ、さすがに怖かったのだから」
どうやら今回のことについての、百合の会議は相当に怖かったようです。
「そうよ、私たちだけでなく、おじい様にも、美子さんに女を勝手に拾わせないでとの、百合の会議からの嘆願書が来ています、身を慎んでくださいね」
母親の天津吉川かみさんのお言葉です。
「おじい様までですか……」
「仕方ないでしょう、前歴が掃いて捨てるほど、あるのだから」
無慈悲な茜さんです。
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