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第四十一章 五皇帝の年 売り物買い物
行動を起こす時は
しおりを挟む「総督が皇帝にならなければ間違っていません、日和見させている間に、総督が皇帝となられれば、副帝位で満足して、おとなしくなるでしょう」
「そしてブリタンニア、特に第2軍団アウグスタを派遣させればよろしいでしょう」
「皇帝になられれば、味方になるものが出で来るでしょう」
「兵力差で圧倒して、ニゲルと決戦すれば必ず勝てると考えます」
「その後、敗北したニゲルの軍団も、てなずける事は可能ではありませんか?」
「皇帝の約束ですよ、国庫がたとえ一時的に空になったとしても、報償などを与えれば、簡単にシリアの軍団は忠誠を誓うでしょう」
「同様に第2軍団アウグスタにも、忠誠を誓わせればよいでしょう」
「そのあと副帝にご子息を任命され、アルビヌスの行動を待てばよいのです」
「動かなければ栄誉を与えて、引退してもらいましょう」
「なるほど……プラウティヌスよ、私が行動を起こすのはいつと考える?」
「ペルティナクスが失脚した時でしょう、多分元老院が細工をするでしょうから……」
「そのあとの皇帝はお飾り、いよいよ総督の出番でしょう」
「ではまずは、パンノニアの四個軍団の忠誠だな」
「その通りです、金が要りますが、奥様のご実家の力を借りましょう」
「エル・ガバルの神官たちにも、力を尽くして頂きましょう」
セウェルスの妻、ユリア・ドムナはシリア出身、その実家はシリアではなかなかの名門。
代々太陽神エル・ガバルの神官で、シリアのエメサという町を支配する、祭祀王の家系である。
そしていわゆるゴールドは、太陽神エル・ガバルの教団より提供される、いや、させるのである。
「セウェルス総督、ここは使える駒は全て使うべきでしょう」
「皇帝になれば、埋め合わせは幾らでもできます、奥様への借りなど、倍にして返せますよ」
「プラウティヌスは儂に、何を望むのか?」
「私は色と欲です、総督が皇帝になられれば、今の元老議員どもの領地を、半分は取り上げて、私へ下されたい」
「その金で美しい女奴隷を購入して、後は男のお楽しみ……ささやかですよ」
「ささやかか……しかし脅威ではないな……良かろう、色と欲か、約束しよう」
ここで初めてセウェルスは、プラウティヌスつまりインドラを信じた。
以来セウェルスは、急速に頭角を現し始めた。
パンノニアの四つの軍団は、セウェルスの私兵と化した。
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