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第四十六章 悲しき玩具

時の輪が巡りそして止まる

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「ここまでか……」
 敗北を認識したセウェルスは、ついに自決を決意しました。

 インドラはこのことを関知し、ついに奥の手を発動します。

 ……時が止まった、そして逆転を始める……
 ゲームの監視用人工知能も連動しています。

 インドラよ、そうはさせぬ!
 私にも時は扱える。

 何のために『天之御中主(あめのみなかぬし)』様は、この私に、惑星中原での試練を用意されたと思うのか!

「どうしたのだ!時が戻らぬ……ルシファーか、時を操作できるのか!」

「インドラ様、どうやらルシファーも、時を操作出来るようです」
 付き従っていた四天王の一人、多聞天(たもんてん)ヴァイシュラヴァナが口を開きます。

「分かっておる……時を止めよう、これなら可能であろう」
「確かにインドラ殿のお力なら、ルシファーの力を中和して時を止めておかれましょう」
「私の見るところ、ルシファーのこの力は、まだインドラ殿を凌駕していないようです」

「時を凍結して、この時空間のなかで、私直々にルシファーを始末する、万が一にも私が敗れる事になれば、ルシファーの勝利、後のことは梵天殿に任せる」

「インドラ殿、なにか嬉しそうですな」
「最初からこうすればよかった、ゲームなど下らぬこと……」
 そういいながら、インドラは心の底から、忘れていたようなものが湧きあがってきた。

 今の私は……しかし今はルシファーを始末することを考えるのだ!
 なにかぞくぞくする、エクスタシーが走る……

「帝釈天インドラ殿、我等は梵天様より貴方を守るように言われてきました」
「我らが先にルシファーと戦ってきます、四人で戦えば、ルシファーに打ち勝てると考えますので」

「しかし……」

「梵天様のご命令です」
 
「……では……頼む」
 
 帝釈天の四人の親衛隊長、多聞天(たもんてん)ヴァイシュラヴァナ、持国天(じこくてん)ドゥリタラーシュトラ、増長天(ぞうじょうてん)ヴィルーダカ、広目天(こうもくてん)ヴィルーパークシャは、インドラに有無をいわさなかった。
 帝釈天インドラといえど、梵天ブラフマーの名の前には逆らえないのだ。

 私は時間を戻そうとしていますが、戻らないのに気が付きました。
「戻らない?しかも時が止まっている、時空間が凍結されているのか?」

「その通り、アスラ族の盟主ルシファーよ、ゲームはここからだ、時は止まっている、進むも戻るもしない」
「したがってゲームは止まったままだ、この凍結空間の中ではルールも凍結されている、貴女は戦うしかない」

「帝釈天インドラ殿が待っているが、その前に我らがお相手しよう」

「名は?」と聞くと、名乗りながら、四人現れましたね、四天王ですか……

 こうしてゲームの最後に時空間は凍結し、帝釈天の配下、四天王が現れたのです。

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