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第二章 シング・ア・ソング・シックスペンス
バッスル・ドレス
しおりを挟むエステラ・ウィンザーさんがやってきました。
仲の良いナスターシャ・ウラジーミロヴナ・ロマノヴァさんも一緒です。
「ミコ様、お倒れになったと聞きました、大丈夫ですか?」
少々青白い顔をした、二人がいいます。
姉が、
「大丈夫です、ただ気苦労が出ただけですよ」
「今夜は悪いけど、あちらのほうの奉仕は控えてください」
「気晴らしに、おしゃべりの相手をお願いします」
そういって、姉は部屋を出ていきました。
「茜様こそ、お気を使っていただいて……」
エステラさんが呟いています。
「エステラさん、ブレンダさんは、ナスターシャさんもクセーニャさんをどうしたのですか?いつもご一緒のはずですが……」
「二人とも遠慮させました」
「別にかまわないのに……」
「お倒れと聞きましたので……」
「では、とにかく心配しているはずですから、大丈夫だったと知らせましょう」
「ここに呼んでください、顔だけでもお見せしましょう」
そういって、ブレンダさんとクセーニャさんを呼び出し、大丈夫と直接言いました。
まぁそれでも、この二人はすぐに帰りましたが……
三人でペチャクチャ……なんということもない話……
女の子の話って、おしゃれと、おいしい食べ物と、恋愛のお話に尽きますから……
「このごろ、19世紀のドレスがはやっているのですよ」
「みんなウェディング・ドレスに、バッスル・スタイル――分かりよく言えば鹿鳴館スタイル――を選ぶのですよ、ミコ様がお召しになったら、きれいでしょうね……」
「でも、コルセットは苦しいでしょう?」
「ミコ様はスタイルがいいですから、少し締め上げればよいですよ、そうだ、ファション雑誌を持っていましたわ、見られますか?」
「見る見る」
で、三人で眺めています。
この二人、似合うでしょうね、掛け値なしのプリンセスですものね。
「出してあげましょうか?」
二人の為に、その辺のシーツを掴んで、変換しました。
この二人のお姫様姿、見てみたかったのですもの……
でも、着るのは大変そうです。
コルセットなんか、キリキリ締め上げていますもの……
どうも着慣れていますね……
「綺麗ね……私も着て見ようかしら?」
「私たちもミコ様のバッスル・ドレス姿、見てみたいですわ」
「でもね……外へ出れないじゃないですか……せっかく出すのだから、何かに使えるもののほうが……」
「では、このブラックドレスはいかがですか?ミコ様も喪服ぐらいは必要でしょう?」
エステラさんが、フォーマル・ドレスをさし示しました。
「たしかに、これなら……ヴェールもついていますし……」
帽子から何から一式……ロングの手袋まで……もちろんお約束の日傘までだして……
で、これ、着方が分からない……
ヘルプ目線を二人に投げかけると、いそいそと、
「お手伝いいたします」
と、手伝ってくれます。
もうこの二人とは、エッチな関係でもありますし、服を脱ぎ下着を脱いで……
二人が、目のやり場に困っているような……
ドロワースをつけ、シミーズをつけ、コルセットをつけ……
二人が締め上げてくれます……
ちょっと苦しいですね……
でも胸とお尻が強調されます……
バッスルをつけられて……
手袋も帽子も……ヴェールもつけましょう……
これ私?
二人が見とれています……
「ミコ様……言葉もない」
ちょっと気に入りましたね……しばらくこのままでいましょうか……
ファションで盛り上がった後、話題はお菓子の話に移ります。
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