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第四章 国家の機密

マーブル・ヒル・ハウスの主

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「本心?」
「目的ですよ……」
「目的ね……なにもしたくない……いや、なにももらいたくない……これだけは言えます」

「……レディ・アリアンロッドは……いや、代価でしたね……母から伺っています……請願には、何か大事なものが必要とか……」
「確かに言いました」

「ではその請願ですが、私の大事なものを出せば、私の請願を聞かざるえない……そういうわけですね……」
「いまはその請願も、聞かないつもりです……貴女のお母様が最後の請願です」

「……」
 黙ってしまいました、かなり深刻な顔です……
 こんな場面は嫌いなのです……

「やれやれ……一つだけですよ、何がききたいのですか」
「目的です」

「クリスティンさん、席を外してください」
「マッケンジー夫人、リンダ、悪いけど二人だけにしてください」
 と、マーガレットさんも応じます。

 広い部屋に、二人だけになりました。

「この世界はあってはならない……神はそれでも存続を望まれているが、その為には条件がある」
「それを私に押し付けられた……私はある理由から、かかわりを持ちたくない……だから何もしたくない……」

「これでいいでしょう、貴女は聡明です、あとは考えなさい」

「……」

 会談は終わり、マーガレットさんがマッケンジー夫人を呼びました。
「とにかく使用人を呼びなさい」

 ズラーっと、家令を筆頭に並ばれましたね……
「私がアリアンロッド・エンジェルです」
「こちらはレディズ・コンパニオンのクリスティン・ハワードさん、よろしくお願いします」

「ハウスキーパーのケイト・マッケンジーです、レディ方の事は、全て私を通すようにお願いします」
「それから、ここで見聞きしたことは、絶対にしゃべらぬこと、当然ですね」

 多分、ただもれですよ……まぁいいんですけどね。

 ティーガウンを着て、クリスティンさんが隣の部屋からやってきます。
「ご主人様、夜がやっときました……」
 だから裾を持ち上げないの……

 朝、私はベッドで、クリスティンさんを抱きながら寝ています。

「お嬢様、アーリーモーニングティーです」
 と、メイドさんがはいってきました。

 真っ赤な顔をしていますが、何事もない顔で用意をしています。
「ありがとう」
 平然と、クリスティンさんは、お茶をベッドの中で飲みました。

 そうですか……クリスティンさんが平然としているなら、私もそうしましょう。
 私は裸のままむっくりと起き上がり、いいました。
「おはよう、お茶をいただくわ」ってね。

 息をのんでくれましたね。
 メイドさん、私の素顔を初めて見たようですね……
 そういえば、昨日はヴェールのままでしたから。

 こうして私は、マーブル・ヒル・ハウスの主?になりました。

 ご近所では、マーブル・ヒル・ハウスの、新しい主人の噂でもちきりです。

「なんでも未亡人らしい、いつも喪服を着ているとか……」
「でも、ジョージアナ女王陛下の姪という話も、あるらしいですわ」

「それは初耳だ、さすがはご婦人がた、情報は早い」
「マーブル・ヒル・ハウスのメイドに聞いたの、時々、リンダ様が遊びに来るとか……」
「それにね……ものすごくきれいだそうよ、女神だって云っていたわ……」

「私の聞いた話では、夜はレディズ・コンパニオンの女と、抱き合っているとか……」
「えっ、それはゴシップですな……」

「だからジョージアナ女王陛下は、姪と発表されないのか」
「どこかの不詳の女が、王子さまの子でも産んだのでしょう……けがらわしい」

 どうやら、概ねこのような噂らしいのです。
 その後、私は『黒い未亡人』と呼ばれるようになったようです。

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