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第十二章 テラとアース

アラウンド・ザ・ワールド

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 アイスランドの荒涼たる極北の地で、私は考えに浸っています。

 側にはディアヌさんとアリシアさん。
 私にすべてを奪われることを望んで、私に依存するこの美しい二人の奴隷ー……

 どのような理由があるといえど、テラにかかわりをもってしまった以上、このテラにたいして、私は責任を感じます。
 まして愛する奴隷の為にも……
 私は全力で、テラの最悪の結果を防いでみせましょう。
 世界人口が半減するかも知れませんが、それでも全滅よりはベターでしょう。

 私にとって神々の為というより、私と肌をあわせ、愛を捧げてくれた女の為、親しくしたくれた人々の、ささやかな幸せが大事なのです。

 散策から戻り、ディアヌさんとアリシアさんに温泉で身体を暖めるようにつたえ、私は部屋へ戻ります。

 目の前にブルーラグーンが広がっています。ディアヌさんとアリシアさんが歓声をあげながら、入っています。
 先程の妖艶な姿とは違い、健康的な色気が漂っています。
 世界中から多くの人々がやってきています。
 幸せそうな光景です。

 部屋の中では、一つの曲が流れています。
 この世界にもあった私の故郷の曲、私が吉川洋人の時に愛した曲……
 アルバム、パパ・ヘミングウェイの中の一曲、アラウンド・ザ・ワールド

 およそ正反対の、カリブあたりの曲なのでしょうが、このアイスランドの荒涼とした世界に似合います。
 軽いノリの曲ですが、なにかしら引き締まった緊張感のある曲です。
 まさか宇宙をめぐり、その果てに聞くとは思いませんでしたが……しかもパラレルワールドです。

 部屋にはエッダさんとココさんがいます、二人はお茶の用意をしています。
 もうすぐ、皆が集まるはずです。
 ディアヌさんとアリシアさんも、その身を温めたらこちらに来るように言ってあります。

 サリーさんがやってきました、私のハウスキーパー、女たちの第一人者です。
 皆さんが集まってきました、最後にディアヌさんとアリシアさんがやってきます。

「テラの貴女たち、皆さんは私にすべてを捧げて下さい」
「この星を滅亡から、何としても救うのです」
「このテラに光を導きましょう」

「そしてエラムの私の愛する皆さん、力を貸して下さい」
「テラは皆さんの友達なのですから、とくにエール、貴女は私を乗せて、テラを走ってもらいますよ」

 エールさんがいいました。
「このテラのどこへなりとも、水先案内をいたします」
 ヴァルキュリヤの娘たちも誓います。
「エール様とともに、私たちもミコ様の為に働きます」

 ブラッドメアリーの娘たち、アマゾネスの女たち、皆、同じように誓ってくれます。
 一年後、私は火星の惑星改造に着手するつもりです、この女たちを守るためです。
 万一の場合なんて、いっていられません!
 マレーネさんなら、一年あればなんとかするでしょぅ。

 さて、はじめましょうか、テラでの私の使命ですから。
 いまから火星には、ナノマシンを送りこむつもりです。
 そして日本へ行ってみましょう、太平洋戦争を引き分けにした日本へ……

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