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第二章 ラーニーの物語 スクール・ガール

サムラート様にご挨拶を!

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 そのころ、スマンさんとチャンドラさんは……
「スマン様、もうすぐサムラート様がやってこられますが、どうされるのですか?」
「たしかサムラート様は、七時前に来られると伺っています、六時にはここへ帰ってきますので大丈夫です」
「せっかくの閨ですのでね、逃すはずはないです♪」
「そうですよね、ヴィーナス様にお仕えする女で、閨を心待ちにしない女なんて、想像できませんから」
「何べんもいいますが六時には絶対にここにいますから、大丈夫です!」

 でも、そうはいかなかったのですよ。
 突然にヴィーナスさんがやってきたのです。

「スマン、チャンドラも久しぶりね♪」
「今夜はスマンの番でしたね、待ちきれなくてやって来たわよ♪」 
 なんていいながら、スマンさんのお尻なんて触っています。
 当然、もう片方の手はチャンドラさんのお尻です。

「えっ、いまは二時過ぎですよ!」
「だから閨の前に温泉よ!行きますよ!」

 止める間もなく、温泉へとずんずんいくヴィーナスさん。
 慌てて後をおうスマンさんとチャンドラさん。

「あら、だれか先客がおられるようね♪」
 といいながら、委細構わず服を脱ぐヴィーナスさん。

 ズカズカと湯舟に入ります。

 三人の少女はスマンさんかチャンドラさんと思ったようです。

「あら、可愛らしい娘さんがおられるのね♪」

 ラーニーは声のほうへ振り向き固まってしまいました。
 ソミーもウルミラも固まっています。

「どうしたのかしら?私はヴィーナス、貴女たちのお名前は?」
 その時はスマンさんもチャンドラさんも裸になり、侍女のように付き従っています。

「ラーニー!サムラート様にご挨拶を!」
 緊張気味のスマンさんの声でした。
 
 ラーニーは振り返った先の光景に、声も出なかったのです。
 信じられないほどの美しい女、そして醸し出すのは威厳と慈愛……
 平伏したい衝動に駆られ、思考が停止したのです。

 ソミーもウルミラも、同じように思考が止まっているようです。

 スマンさんの声で我に返った三名……
 
 ……えっ、サムラート様!……

 互いに裸ですが、気にしてなんかおられません。
 あわてて、前かがみになり、.相手の右足の甲を両手で触ったのです。
 ソミーもウルミラも、同じように続きます。

「サムラート様、この者は姪のラーニー、そして友達のソミーとウルミラです」
「いまはアプサラス・レディス・スクールの四年生です」

「そう、三人はジャーリアなのよね」
「その通りでございます、私同様、サムラート様の奴隷です」

 少しばかり複雑な顔したヴィーナスさんでしたが、
「学校は楽しい?」
 と聞きました。

「はい、楽しいです!」
 ウルミラが元気よく返事をしています。
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