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第四章 ニライカナイへ
ルシファーステーションにて
しおりを挟む惑星ヴィーンゴールヴのルシファーステーション……
この人外の魔物の星で、二時間ほど列車を待っています。
マルスとの連絡鉄道、通称、ローマ・ダチア鉄道は人々で混み合っています。
元々この二つの星の住人は、惑星テラの住人なのですが、ヴァンパイア族長の願いを聞き入れ、美子姉様が惑星ヴィーンゴールヴを、マレーネさんに命じて作らせ下賜した惑星と聞いています。
クリームヒルトがレクチャーなどをしていますと、一人の少女が声をかけてきました。
「クリームヒルトじゃないの、どうしたの?たしかミコ様と一緒にいるはずではないの?」
「カミーラ様、お久しぶりです」
「様は要らないけど」
「でもカミーラ様は私の先輩です」
「相変わらず固いわね……で、これからどこへ?」
「ニライカナイに行く途中なのです」
と、クリームヒルトが言いますと、カミーラさんが、
「ニライカナイに行くの?残念ね……私、ニライカナイから帰ってきたのよ」
宇賀さんたちがいるのに気がついてカミーラさん。
「空狐さんとは珍しいわ……でもおかしいわね、私たちが知らない空狐さんとは……」
「こちらはテラの方ではありません、惑星蓬莱の方です」
「蓬莱?そう……蓬莱の方なの……サリー様から封印文書が来ていたので、知ってはいますが……」
「テラのパラレルワールドとは、俄には信じられなかったのですが、こうして蓬莱の方に出会うと、信じるしか無いですね」
「私が知らない空狐さんが、目の前におられるのですものね」
クリームヒルトが、
「宇賀さん、こちらはカミーラ・ドン様、ヴァンパイア総族長の娘さん、カミーラ様、この方々は、蓬莱の善狐の方々、この度ミコ様の側女になられました」
「それでニライカナイ……サリー様にご挨拶に行くのね……ちょっとごきげんが悪いかも知れないわよ、なんせミコ様が、しばらくおられないのですものね」
「そうそう、クリームヒルト、アナ・テナリオさんとジゼル・ハーネットさん、メイサ・チェさん、この三人がいたわよ」
「親しいのでしょう、バハマのニュープロビデンス島で、仲良くなったとジゼル・ハーネットさんが云っていたわよ」
「ジゼルさんが?楽しみだわ……」
「ところでヴァランティーヌちゃん、今日はお母さんと一緒なの?あらあら、側女になったのね、念願かなったわね」
「はい!」
と、元気よく返事をしたヴァランちゃん。
さすがのカミーラさんも優しい顔になっていました。
本線の列車が入って来ました、発車する時間です。
カミーラさんが、
「蓬莱の善狐さんたち、いつでもヴィーンゴールヴは歓迎しますよ、ここは人外の者の世界、その娘さんたちも籠目(かごめ)高等女学校に転校されたらいかがですか?」
「隠れるように生活する辛さは、よく分りますから、空狐さん、指導者として、考えておかれることを薦めます」
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