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第五章 ハウスキーパー
増え続ける献上品問題
しおりを挟む「クリームヒルト、貴女を愛人待遇佳人への昇格を認めます、そして貴女はこれより、惑星蓬莱の執政官に任命されます、お嬢様からの命令を受け取りなさい」
一瞬意味が分からなかったようですが、すぐに、
「謹んでご命令に従います」
と、答えました。
さらに跪き、手を前に差し出していいました。
「私、クリームヒルトの身体と心は、美子さまの物です、皆様には私の全てをご覧に入れます、以後ご指導を願えれば幸せです」
それなりの口上を述べました。
サリー様が、
「確かに口上を受け取りました、後見にはここに居る全員がなるでしょうが、イシス様が正式に貴女の後見を務められるでしょう」
クリームヒルトのチョーカーが変化していきます。
グリーンゴールドに、赤いトルマリンがはまっています、そしてイエロー・ゴールドのラインが入っています。
「クリームヒルトさん、以後愛人会議に参加するように」
ということで、クリームヒルトはそのまま会議に参加することになりました。
サリー様が、
「では第二の議題を討議したいと思います」
といいました。
「現在ヴィーナス・ネットワークは拡大を続け、数々の世界から献上される女が増えています」
「各世界からは、献上した女を寵妃にして欲しいと、要望がしきりにあります」
「しかしお嬢様に、これ以上夜の仕事を強要するのも如何かとも思いますし、どこかで線を引かなくては、収容がつかなくなります」
「皆さんの知恵を、お借りしなければと思います」
「問題は女官の位のことではないでしょうか?大きく分けて女官は三種にわかれています」
「一つはいわゆるチョーカー持ち、寵妃です、次に寵妃候補、リング持ちとも呼ばれています、そして一般女官です」
「この位階には一つ問題があります、ご寵愛を受ければ必ず側女以上、側女になれば、必ず夜の順番を設定することです」
と愛人の一人、マリー様が発言します。
「確かにそれが問題ですが……では、どうすればよいか、その打開策を討議しているのですよ」
姉であるサリー様が言いますと、マリー様が、
「つまり最早前提に無理があるのです、献上品はこれからも止まらない」
「ヴィーナス・ネットワーク加盟の象徴でもあり、ヴィーナス様の加護を受ける証の意味もある以上、言葉は悪いですが人身御供、本人の意見など関係ないのです」
「ヴィーナス様はご存知の様な方、愛をかわされた以上は、誠実に責任を全うされる」
「しかし増え続ける献上品がある以上、全部とはいわずとも側女は増え続ける」
「これではいつかヴィーナス様はお倒れになる……まして私の見る所、ヴィーナス様は寵妃となった女を、捨てるようなことはなされない……そうではありませんか?」
愛人会議のメンバーは全員頷いています。
クリームヒルトも同意するしかありません、美子姉様の性格なら必ずそうなる……
「私の案としては側女の下にもう一つ位をつくる、そしてこの新設される位は、ヴィーナス様に抱かれた女、ただしカテゴリーは寵妃候補、リングを授けます」
ほぅ……と唸る声が聞こえましたが、アナスタシア様が、
「たしかに良い案ですが、それではイシュタル様がご納得されないのは確実ですよ」
美子姉様のことを、アナスタシア様はイシュタル様と呼ぶのね……サリー様はお嬢様だし、マリー様はヴィーナス様、私は美子姉様……
すこし可笑しくなったクリームヒルトでした。
そうは思っていましたが、マリー様の意見は解決案としてはベスト……
クリームヒルトは、口を挟むことにしました。
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