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第十九章 大賢者

04 推戴

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 二三日して賢者会議が正式に開かれました。
 大賢者選出は、次席賢者に一任するということで決まりました。

 何らかの利益誘導がされたのは確かでしょう、結構あっさりと決まりました。
 アムリア帝国の代表があっさりと引いたのが不気味です、また他の国の代表も沈黙しています。

 誰かが塩ででも脅しましたか?

 なんせ、いまやジャバ王国は世界の塩の産出量の七割を占めています、脅すには十分でしょう。

 いよいよ推戴の日です、この推戴は奉納舞いの舞台で行われることになりました。
 『存在の啓示』が光輝いており、シビルの人々も内壁の内側に入っています。
 各国の高官も来賓として来ています。

 私は女官さんたちに、念入りにドレスアップさせられて座らされ、人々はそんな私を見て、ため息をついています。
 私の周りには、山ほど女官さんたちが固めており、彼女達も念入りにお化粧しています。

 神聖守護騎士団を引き連れて、ピエール団長が会場に入ってきました。
 完全武装の騎士は正直かっこいいですね。

 続いてジジさんが、官吏といっても、神聖守護騎士団行政府の官吏さんたちを引き連れて入ってきました。
 全員正装しています。

 二人は御座所に向かって一礼し、舞台に置いてあるテーブルをはさんで座りました。

 ジジさんが、「治世の代表として大賢者を推挙する任につく」と云いますと、
 ピエールさんが、「軍事の代表として大賢者を推挙する任につく」と答えます。

 ジジさんが、「治世の代表として大賢者を推挙する」と云いますと、
 ピエールさんが、「軍事の代表として大賢者を推挙する」と答えます。

 ジジさんが、「ダフネを大賢者に推挙する」と云いますと、
 ピエールさんが、「ダフネを大賢者に推挙する」と答えます。

 アンリエッタさんが、ダフネさんを先導し、ロキさんがダフネさんの後に続きます。

 ダフネさんがテーブルにつきます。
「私はダフネ、軍事と治世の二人の推挙により、ここに大賢者の位につく、女神と黒の巫女の祝福があらんことを願う。」

 ジジさんが、
「あらたな大賢者に女神の祝福を、そして神殿都市シビルの鍵を預けます。」
 と云いますと、行政官が一斉に頭を垂れます。

 ピエールさんが、
「あらたな大賢者に女神の祝福を、我らの忠誠を捧げる!」
 と叫ぶと、騎士団が剣を抜き敬意を表します。

 推戴の儀式って簡単なのですね。
 と感心しましたが、良く考えるとすべてピーターさんがひねり出したものでした。

 ピーターさんはとことん現実主義者、意味のないものに不必要な経費は使いません。
 でも意味のないことなのかしら?

 出来レースといえど必要なイベント、それなりの形式はピーターさんも認めているのでしょうが、それなりの経費が必要でしょう、私が色をつけてあげましょうか。

「我が住みかよ、汝の主の願いを聞け、この場を祝うために輝け!」
 すると門灯が強烈に点滅しだしました。

 多くの人のどよめきが聞こえます。
 この世界に、久しぶりの大賢者が推戴された瞬間です。
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