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第二十五章 黒の巫女の降臨
02 教会での祈り
しおりを挟む「さあアンさん、主役の出番ですよ。」
ある朝、私はそういって、アンさんとレイラさんと三人で、女子寮を後にします。
正直、アンさんはまだ体調が万全ではありません。
少し心配なのですが、そのことが今回の主役抜擢の鍵ですので、我慢してもらいました。
私に付き添われたアンさんは、どこか身体が悪い雰囲気を漂わせています。
いわゆる迫真の演技ですか?
八歳の子供に無理を強要するので、私自身も心を痛めているのが、その演技に真実味を匂わせます。
本当にアポロさんの考えは悪辣です。
「アンさん、大丈夫ですか?」
アンさんが、少し苦しそうな顔をしていますが、私の言葉を聞くと「大丈夫です」と、健気にも答えてくれました。
「さあ、教会です、アンさん、神様に祈りましょう。」
私とアンさんは、祭壇の前に膝まずきました、本当に私は真剣に祈りましたよ。
「女神さま、本当におられるなら、私たちのシナリオに力をお貸しください。」
「この世界を救うことが、本当に必要なら、お知らせください。」
「私は救うほうを選択したいのです。」
「縁あってこの世界にやってきて、皆様と親しくさせていただき、私はなんとかしなくてはと、考えるようになっています。」
「この世界は人が人らしく生きるのには、少し無理があるように思えます。」
「環境上、仕方ないのかもしれませんが、しかし生れた以上、平穏に生きる義務と権利が、あるのではないでしょうか?」
「この世界がこの世界なりに、人が幸せに生きる方法を、模索している私に、お力をお貸しください。」
そうですよ、私をこの世界に呼んだのは誰なのか?
小雪さんたちを作った者たちなのか?
ではなく、人があずかり知らぬ、もっと高位の方なのかもしれません。
呼ばれるべきして呼ばれたのでしょうが、では誰が呼ばれるべき運命を定めたのか?
このごろは、やはり神様としか思えなくなっています。
想像を絶する体験をすると、人は神様を身近に感じるような気になるのでしょうね。
一瞬、何かが私の頭を撫でた気がします。
そう、これでよいのですと……
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