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第二章 艦隊
海軍戦略
しおりを挟む「見事な艦隊運動でした、練度の高さが伺えます」
スジャータ執政官の言葉に、
「ロボット乗組員の能力のお陰です、いま少し敵との交戦能力には訓練が必要です」
ミーナ准将の答えでした。
「しかし交戦能力といっても、ロボット乗組員の技量なら文句なしの初弾命中、なにが不足なのですか?」
「やはり戦闘団員の、戦術戦略の力が劣るのではないかと危惧しています」
「いわれればそうね……婦人海上戦闘団員はもともと婦人戦闘団員の転籍か、商戦ギルドからの転籍、海軍戦略の思想は持つあわせていない……我らにも海上戦闘の知識はあまりない……ヴィーナス様に相談してみましょうか……」
後日、ヴィーナスさんより、次の翻訳本が贈られてきました。
アルフレッド・セイヤー・マハンの海軍戦略
ジュリアン・コーベットの海洋戦略の諸原則
ステパン・マカロフの海軍戦術論
ただヴィーナスさんから、次の手紙がついていました。
航空戦力を主戦力にするのはかまわないが、国家の総力戦に発展する可能性を秘めている。
国家総力戦となれば、行き着くところへ行き着き、最終的にアールヴヘイムンの滅亡につながる。
アールヴヘイムンは永きに渡り、戦術でのみ戦ってきた。
それゆえ文明は崩壊せず、永劫の時を生き延びてきたと思われる。
航空戦力に頼らなくても、艦艇の性能は十四王国の諸艦艇を凌駕しているはず、とくに艦砲の性能は圧倒的でしょう。
航空戦力に頼らなくても、制海権は握れるはずです、海上覇権を手放さないことが肝要です。
婦人海上戦闘団は、このところをよく吟味してほしい、国家の総力戦にならざる得ない場合は、執政官に任せるように、その手順は執政官は了承しています。
「最後のことまで……ヴィーナス様は恐ろしい……」
ミーナ准将は、思わずつぶやいたのです。
「この地の紛争が、婦人戦闘団と婦人海上戦闘団の手に負えなくなったら、当方に任せることになっています、そのことを明示されたのでしょう」
「分かりました、婦人海上戦闘団は艦隊決戦と、海上警備に尽力いたします」
「建材であるバイオプラスチックの強度は、鉄などよりも高強度、比較になりません」
「その為に、比較的厚めに造られている船体は壊れませんが、それでも艦上構造物などは破壊される可能性がありますので過信しないように、大破はありえるのですから」
「我々は死など恐れはしません!」
「ヴィーナス様は、そのような考えはお好きではありませんよ、決死は許容されても、必死は許容されません」
「自ら加護を与えた、地域や生命の浪費は許されません」
「我らは幾度となく、その誓いを守られる主を見てきました」
「貴女たちもヴィーナス様のしもべなのですから、主のお考えを遵守する義務がありますよ、なにがあっても必ず生還し、ご奉仕を続けるのが第一です」
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