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第三章 宇宙貨物鉄道
通商破壊が効果的
しおりを挟む惑星間帆走宇宙船の量産型第一号、ジュピター号が完成しました。
アリシアさんのたっての望みで、私の造船ドックは執政官府の管轄へ……でもマージンはいただきますからね……
……マグネティックプラズマセイル推進エンジンの、製造技術はナーキッドに提供され、そのナーキッド製のエンジンを積み、船体もナーキッド製、資材は今のところ、私が作った生産工場から提供するのですけどね、どんどん資金が溜まるわね。
これでヨミの故郷が再生できる……なんせポケットマネーでなければね、惑星世界管理局は絶対に予算を認めはしないでしょうからね。
オルメカには衛星オルメカがあります。
ヨミの故郷でもあるヨミ号は、ニライカナイに組み込まれているし……家はそのままでも、場所が違うのは寂しいでしょうに……
『最後の審判戦争』での頑張りに、報いてあげたい。
さらにいえばユニバースにも、故郷をプレゼントしたいですね……まぁ頑張って稼がなくっちゃね。
でも……男性体機械の残留物粒子が消えてしまったのは……稼いでいる場合ではないようね……
やはり意志を持っていたのでは……とにかく警戒するのが正解ね。
そんなことを考えているミコさんに、マレーネさんが頭に語りかけてきました。
「マスター、木星のあった男性体機械の残留物粒、どうも機能していたようです」
「キラーナノマシンに破壊された形跡がないので、木星にはいないようです」
「稼働したということですか?」
「そう考えるのが正解と計算されます」
「男性体ですからね、私たちに戦いを挑むつもりでしょうね」
「マレーネさん、『このもの』は今後どう出ると考えますか」
「劣勢の戦力で、効果的に戦うとするならテロ、マルスを標的とするのがベストです」
「ベストでしょうが、相手が今少しこちらの戦力を把握しているとするなら、とくに自らの戦力が、自ら一体と仮定して、再計算をお願いするわ」
「なにか相手の弱点を攻撃などして注目を集め、その間に戦力を構築する事になります」
「現状からすると、通商破壊が一番効果的ね……無人非武装宇宙船を襲うのはあり得る、自らは被害なく、相手には効果的」
「海賊行為ですか?」
「派手に行えば注目を集める」
「どうされますか?」
「軍事参議官が四人もいるのですから、貨物鉄道の出番でしょう」
「ねえ、マレーネさん、エールさんと二人で、このソル星系を監視してくれませんか?」
「何かあったら知らせてくださいね」
「それだけですか?」
「二人で監視していれば、少なくとも私たちが被害を受ける事はない、ナノマシン、改良されているのでしょう?」
「確かに、男性体に停止されるようなことはありません」
「でもそんな心配、必要ないのでは?簡単に排除できるのではありませんか」
「ガリレオ衛星執政官府に、手柄を立てさせてあげたいのでね、個人的には、アリシアさんに肩入れしたいのよ」
「不思議ですね」
「何が?」
「マスターは、少しでもこの世界の不安定要素は、排除されるものと考えていました」
「そうですよ、でもね、不安定要素の排除はチェスみたいなもの」
「しかしいま、私たちの世界は余りに膨大でしょう、局面局面で対処していかなくてはね」
「こんなことぐらいで、ミリタリーを動員していては埒が明かない」
「なんとしても、現地で解決してもらわなくてはね」
「ちょうどいい機会でしょう、執政官府のローカル戦力で対応できるか、良い試金石ではありませんか?」
「これからは、貨物鉄道の軍事力の一部を動かして、地域紛争ぐらいは鎮圧してもらわなくてはね」
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