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第七章 地獄のヴィーナス

九十気圧の底

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「九十気圧の底?」
 ゼノビアさんに、磐座(いわくら)ハルさんが言葉を伝えています。

「確かにそのようにおっしゃいました」
「どういう意味だろう?」
「私には分かりかねますが……」

「我らが主がおっしゃったのだ、何かの意味がある、ソル星系内惑星貨物鉄道との絡みで、言われたのだろう」
 シウテクトリさんがこのように分析します。

「九十気圧といえば、テラの海なら水深900メートルだが……」
 ゼノビアさんが語尾を濁すと、イザナミさんが
「大気圧のことと思う、ソル星系内惑星貨物鉄道の範囲の中に、90気圧の惑星があるではないか」
「それだ!金星だ!」と、ゼノビアさん。

 ソル星系内惑星貨物鉄道、その金星軌道上に置かれたばかりの、小型ステーションから数機の無人監視小型偵察機が降下していきました。
 そのうちの一つが、地下の巨大な空間を見つけます。

「四つの縦抗らしき物が地上に伸びています、エウノミアで見られたものに似ています」
 ゼノビアさん、すぐにレリンさんに、機密軍事情報として流しました。

「金星に敵の施設らしきものがあるの?」
 レリン先任軍事参議官から、報告を受けたアリシアさんは絶句しました。
 
「……対処できますか?」
「先ごろ完成したソル星系内惑星貨物鉄道は、ユニバースに移管されましたので、戦力的には十分と考えます」

「……では早急にかたをつけましょう、ソル星系内惑星貨物鉄道の全戦力でお願いします」
「ソル星系外惑星貨物鉄道も、テラとマルスの防衛のために、マルス付近に集結させてください」

「それではこのガリレオ衛星ステーションが、無防備になりますが」
「かまいません、ミコ様が滞在なされていますので、すぐに避難していただきます」

「このガリレオ衛星ステーションは標準ステーション、戦闘態勢にはいれば、それなりのものと聞いています」
「戦闘コンピューターがあるのでしょう、それを起動させてください」
「後は私が何とかいたします」

「四人の軍事参議官は、ソル星系外惑星貨物鉄道のステーション群を率いて、すぐにマルス方面へ向かってください」
「レリンさんは申し訳ないけど、何とかソル星系内惑星貨物鉄道を指揮して、対処してください」

「せめてダリヤは残していきます、彼女は我らの中でも個人的な戦闘力は一番、ソル星系外惑星貨物鉄道は、軍事参議官が二人いれば、何とか指揮できます」

 メイド号にこの会話は筒抜けです。
「なかなか良い判断だ、しかしルシファー様が素直に避難するとは考えられない、見ものだな」
 シウテクトリさんが褒めています。

 続けて、
「イザナミ、水波能売命(みつはのめ)の出番が来るだろうが大丈夫か?」
「水波能売命(みつはのめ)は瞬時に増殖できる、それにダイヤといえど切断できる、防御は任せてくれ」

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