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第五十二章 キンメリアの夜は我が手に

06 かけ持ちは大変です

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「つい喋りすぎました、申し訳ありません。」
「思い通りにやってみませんか?ドロシー女官長。」

「いまの考えに私は賛同します、貴女は私の奴隷ですから、責任は私がとります、おやりなさい。」
「さて寝ましょうか、肌を合わせれば、愛せるものだそうですからね。」
「殿方は消えてください、邪魔というものです。」

 一見おっとりとしていますが、なかなかどうして、テクニシャンではげしいですね。
 よほどご主人は、その方面で達人でしたのでしょう。
 でもね、美女軍団に鍛え上げられた、私のテクニックは並み以上、返り討ちにしてさし上げました。

 ドロシーさんは服を着ながら、
「巫女様、お上手過ぎて、恥ずかしいほど狂ってしまいました、骨抜きです。」
 青石のチョーカーが似合っています。

「巫女様、キャサリンとジェシカの二人も、愛してやってください、そのために献上された方たちですから。」
「そんな急にいわれても、先程体力を使い尽くしたので、ドロシーさん。」
「あらいやだ、体力抜群との噂ですのに。」

 やれやれどうしましょう。
「ここまできたら、女は度胸!」
 と、女官長が気安く云います。
 なにが度胸ですか、貴女のお蔭で疲れ果てているのに。

「ドロシーさん、キャサリンさんとジェシカさんを呼んできてください。」
 ジェシカさんとキャサリンさんがやって来ました。

 ジェシカさん、婚約者がホラズムにいたそうですが、動乱で死んだそうです。
 キャサリンさんは、正真正銘の生娘さんです。

 ことが終わった後、裸でまったりと四方山話なんてね…… 
「キャサリンさん、お父さんのことは聞いていますか?」
「巫女様についていくと、云ったきりです、父は元気なのでしょうか。」

「ジェシカさんのお兄さんも、同様ですか?」
「はい、生きているのでしょうか?」

「二人とも、手紙ぐらい出せばいいのに。」
「ブレイスフォードさんも、オルコットさんもお元気です。」

「南部で武勲をあげられたので、私は南部に領地をあげました。」
「五人ともですが、全員伯爵です、とくにブレイスフォード伯爵は、シャレム騎士団総長です。」

「で、大変申し訳ありませんが、この西部の領地は、返上してもらいました。」
「ご一族は全員、南部へ移住するといっていましたよ。」

 私は二人に、側女のチョーカーをつけて差し上げました。
 そろそろ夕闇が迫っています、次があります。
 私は二人を置いて、シャワーを浴びていますと、ドアをだれかが叩きます。

「どうぞ」、といいますとドロシーさんがやってきて、
「お食事を用意してあります、お疲れさまでした、二人は私がちゃんと面倒を看ておきます。」
「ドロシー女官長、一緒に食事をしましょう。」

 軽い夕食を取っています。
「巫女様、本当に大変ですね、つい私は自分のことばかりで、申し訳ありません。」
「いいですよ、こうして食事を用意していただけて感謝しています。」

「二人には、チョーカーの説明をしてあげてください、側女のチョーカーは知っていますね。」
「知っています、二人も喜ぶでしょう。」
「巫女様、どうかこれからも、このアッタル騎士団領にも、時々お寄りください。」

「そのことなら、諮問会議と女官長会議で日程を決めます。」
「ドロシーさんもメンバーです、開催の時はアナスタシアさんから、知らせがありますよ。」

「ではそろそろ時間です、ハイドリアにいかなければなりません、この後も一人、待たせていますので。」
「本当に大変ですね。」

 でも相手はペピさんなのですが、アンさんの二つ下の妹ですよ。
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