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第五十六章 ハレムはどうしてもできる
04 またハレム
しおりを挟むフリードリッヒさん、笑いながら、
「どうぞ、それからこの話、良い考えが出れば、レムリア都市同盟としても真面目に考えますので。」
私はエーデルガルトさんを連れて、王宮に戻りました。
数少ない女官さんたちが、出迎えてくれますが、エーデルガルトさんが側にいるのをみて、驚いています。
「エーデルガルト様ではありませんか?」
「貴女たちは知っているのですか?」
「身寄りのない婦女子を保護してくださる方で、このシュヴァルツヴァルトでは、知らない者はあまりいません。」
「殿方にはとても嫌われていますが。」
エーデルガルトさん、有名人でした。
さて話を詰めましょうか。
「エーデルガルトさん、先程の話について、私の案ですが、このレムリアの輸出をささえているのは、ガラス工芸です。」
「このガラス工芸製造を国家管理とし、民間の企業の注文を受けます。」
「ガラス工芸品は繊細な技術が必要で、女性に向いているでしょう、特に優良品は忍耐が必要です。」
「いまシュヴァルツヴァルトには、ガラス工芸の女学校があります。」
「この工芸学校を、国営企業の従業員の育成学校とし、卒業後は就職するので、取りあえずは生活は確保されるでしょう。」
「この方法を一つのパイロットプランとして、試してみてはいかがですか?」
「良い案ですが……」
と、エーデルガルトさんが、言葉につまりました。
いい案と思ったのですが、なにかアラがあるようです。
「ヴィーナス様、エーデルガルトさんは、権威がないと云いたいのです。」
と、アンリエッタさんが云います。
そのことには触れたくないのですが、やはり駄目ですか?
「ヴィーナス様、どうしてもハレムはできるものです、お諦めください。」
「しかしエーデルガルトさん、権威をつける以上、なにか策を講じなければなりません。」
「女官になるためには奴隷は絶対条件、で私の修正案として、女官補というのを創設するというのではどうでしょう。」
「購入はしないので、辞めるのは自由、でも巫女様のお手付きになったら、奴隷として購入され、女官になりそのまま側女になる。」
「また、巫女様に奉仕を望まれれば、拒否はできない。」
「女官補の仕事は下働きとします。」
「ただ仕事は半日として、残りは学校、給料は女官の最低額の四分の一として、その代り衣食住は支給、学費も無料とします。」
「これなら民も我慢してくれるでしょう。」
「女官補の資格は健康だけとします。」
「ただ十二歳以下は無給としますが、仕事も軽作業に限定します。」
「また一応、女官という名称がつく以上は、任官してからは性行為は厳禁です。」
「ただ恋愛は自由ですが、その場合、即刻退官していただきます。」
「これが黒の巫女様の、首席女官長としての修正案です。」
「これは……」
アンリエッタさんが、
「先程もいいましたが、お諦めください。」
と一発で抗議を封じられました。
「私は良い案と思います」
エーデルガルトさんが賛意を表します。
「では、首席女官長の私からの条件があります、この案でいけば、必ずハレムができます。」
「先程から巫女様は、それに対して抗議されていますが、それはこの際我慢してもらうとして、問題はそのハレムの女官長です。」
「云いだしのエーデルガルトさん、貴女には奴隷になっていただきます。」
「そして巫女様の女官長として、巫女様に身も心も生涯、奉仕していただきます。」
「幸い貴女はとても美しい方、巫女様の寵愛を受ける資格があります、それが私の条件です。」
「アンリエッタさん、それはあんまりの条件では?」
「エーデルガルトさんは、奴隷になる身の上ではないでしょう?」
「ヴィーナス様、黒の巫女様に直談判したのです。」
「ご自分で自分の提案を背負う覚悟無くして、どうするのですか、女官長になってこそ、ご自身の提案を実現させることができます。」
「それはエーデルガルトさん自身、おわかりのはず。」
「エーデルガルトさん、貴女は巫女様にすべてを捧げられますか?」
「勿論です、こんな私で巫女様のお相手が可能なら、どうぞ私をご自由に。」
「幸い、いままで殿方はしりません、このまま巫女様だけの女になるのも名誉です。」
だからですね、無意識にこうなることを、望んでいる私が嫌なのです。
だから本能に理性が逆らっていたのに……
アンリエッタさん、お見通しだったのでは……
で結局、夜のご馳走をいただいてしまったじゃないですか。
応援ありがとうございます!
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