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第五十七章 碑文騒動
04 レムリアの農事書
しおりを挟むでも薬学や農学あたりには、かなり有意義なものがあります。
とりあえず、レムリア都市同盟は、この古代の遺産を平和利用する権利はあるでしょう。
驚いたのは、女性婚多妻制と異性婚多妻制の併用という、特異な婚姻制度はこの時代でも確立されているようです。
しかも古代レムリアは、大規模な奴隷制の世界のようです。
平均的に言うと、第二次大戦前あたりの技術ですが、薬学はかなりの進歩が見られます。
医学も他の技術に比べると、突出して進歩しています。
不思議なのは、植物波農法なるものが、書かれていたことです。
カタカムナの文献にも、書かれている農法らしくて、インターネットでマイナスイオン農法のことと、記述されていたことを、目にしたことがありました。
そしてこのことについても、インストールされている知識が、ドンドン湧きあがってきます。
簡単にいうと炭で土壌改良し、水の代わりにイオン水を使う農法です。
勿論、色々ノウハウが必要ですが。
レムリアの農事書によると、肥料は大鋸屑(おがくず)を発酵させた堆肥で良いようです。
異常気候にも、かなり強いみたいですし、土地も痩せることはなく、収穫も上がるらしいです。
少なくとも平和技術なので、子孫のために使用いたしましょう。
いまのレムリア都市同盟は、食糧確保が最優先です。
退役した軍人さんの農地に、これを根付かせましょう。
問題はイオン水です。
電気のないこのエラムで、この水をどうして製造するか?
一つ方法があります。
魔法を使うことです、魔法はエラムにある有力な資源です。
しかも私は電撃が得意な女、私がイオン水を作ってみましょう。
製造装置の絵もありますし、ここで少し試してみましょう。
結構、簡単につくれますね、これはいいですね。
要は絶縁した水タンクに炭をいれ、それに電圧をかければよいのです。
まあ色々書かれていますので、その通りにしましたが。
これなら、奉仕の魔女団員でも、すぐに製造出来そうです。
エラムの一般的な人が、少し修業すれば何とかなる程度です。
レムリア都市同盟の農業問題も、これで何とか出来そうです。
フリードリッヒさんへの、良い手土産になるでしょうね。
「ところで休憩しましょうか?」
「そうですね、ヴァカリネ様もお疲れでしょう、食事の時間でもありますし。」
と、ヒルダさんも同意しました。
取りあえず、シュヴァルツヴァルトへ戻らなければなりません。
攫われていた女性たちのことも気になりますし……
ヒルダさんと、今度はアナスタシアさんをひきつれて、シュヴァルツヴァルトの私の王宮へ戻ります。
「ヴァカリネ様、早く戻ってくれなければ困ります、五日ですよ、五日!」
フリードリッヒ宰相はすこしおかんむりです。
「そんなに怒らないの、色々あったのです。」
「色事ですか!」
ちょっと居直ってやりましょう。
「そうです、ヒルダさんを愛人にしました。」
「えっ……、それは目出度い……」
フリードリッヒさん、頭がフル回転しているようです。
この方はもともと市長さん、イベント大好きで腰が軽いのが身上の人。
どうも良からぬことを、考えているのでしょう。
「黒の巫女様でもあられる、ヴァカリネ女王陛下が、レムリアの女性を愛人になされた。」
「レムリアの民にとっては快挙、レムリア復興の弾みになります、お祝いです。」
なんで色事一つで、祝うのですか?恥ずかしい限りです。
異議を唱えようと思う先に、フリードリッヒさんはどこかへ駆けて行きました。
アナスタシアさんが、「奉祝ムードですね」といいます。
私もそう思いますが……結婚式じゃあないのですよ……
エラムでは結婚と同じことだとは、理解はできるのですが……
女性婚多妻制と異性婚多妻制の併用というのでしょうか、女性が多いエラムの環境がなせる風習です。
必然性があるのは認めざるを得ません。
でも堂々と女同士の結婚、しかも愛人所有を祝うのは……
所変わればでしょうね……
素直に祝わってもらいましょうか、悪意はないのですから。
応援ありがとうございます!
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