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第五十八章 姉上転移

01 姉上様がやってくる

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 ある日、アリスさんがお手紙を持ってきました。

 ……洋人さん、かねてからの問題、宇宙間転移の方法が解決しました。
 そちらの源兵衛さんと情報を交換した結果、転移に必要なエネルギーを、一時的にそちらの宇宙で発生させるめどがつきました。

 源兵衛さんの操作で可能ですので、そちらへ行って、『しもべ』さんを修理することにします。
 これで貴方の奥さんたちに、お会いすることができます、楽しみにしています。……

 ついに姉がやってきます、現在二十八歳でしょうか、茜といいます。

「大変です、ついに姉がやってきます、皆に知らせて来てください。」
「いや、リリータウンに、いや、御座所がいいでしょう。」
「皆に御座所へ集まってくださいと言ってきてください。」
 おかしな喋り?さすがに私も慌てています。

 アリスさんは、もっと慌てています。
「姉上様が!大変です、皆に知らせてきます、リリータウン、いや、御座所ですね。」

 アリスさん、あんまり急いだので転んでいます、ドテとすごい音がしました。
「アリスさん、大丈夫ですか!」
「大丈夫です、私はアンドロイド、この位では慌てません!」
 と云いながら、またこけています。

 御座所では、愛人さんたちが続々と集まってきました。
 慌てているのは私とアリスさんとサリーさんだけ、後は皆落ち着いたものです。

 アナスタシアさんが、
「サリーさん、第一愛人がそんなに慌てて、どうしますか。」
 と、サリーさんをたしなめています。
「そ・そうですね」、とサリーさん落ち着きません。

「でも、あれからお嬢様の寵妃は、ウナギ登りに増え……どういい訳をすれば、いいのかと思うと……」
「それにお嬢様は、三度の戦乱の間に、命にかかわる大けがを幾度も……」

「第一愛人として、お嬢様をお守りする立場の私としては……」
 サリーさんのこの言葉を聞いて、皆、押し黙ってしまいました。

「確かに、動乱では一人で敗勢を覆すために、脇腹に傷を幾度も受けながら、不眠不休で戦われ、最後はお倒れになった。」
「内乱の時は主席と戦われ、腕を切断する大けがを負われ、この間の侵攻戦では、指を粉砕骨折、足の腱を断裂の大けが。」

「そのたびにご自身で、脳内麻薬の大量分泌され、戦い続けられ、ついには危険量をはるかに超えた。」
「あるじ殿でなければ、廃人は確実だったはず、幾度死んでいたか、分からぬほど。」

「このことを姉上さまに知られたら、どのようなお叱りを受けるかと思うと、申し訳のなさで、穴があったら入りたい。」
 ビクトリアさんが泣きそうな顔になっています。

「私が責任をとります、ヴァカリネ様の大けがは、全て私のせいでもあります。」
「私は姉上様という方には、お会いしていませんが、私が自決して、私の首を差し出せば、姉上様のお怒りも収まるでしょう」
 と、ヒルダさんが云いました。

 云うが早いか、懐に持っていたナイフを、自身の首につきたてようとしました。
 その時、アテネさんが、ヒルダさんのナイフを叩き落としました。
 この時のアテネさんの動きは、神速というべきでしょう。
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