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第五十八章 姉上転移
02 腐れ芝居はいつまで続く?
しおりを挟む「姉上さまはとても優しいお方、生首など喜ばれません。」
「ヒルダさん、貴女も私もキッカワの妻です、心をこめてお迎えすれば良いのです。」
「アテネさん、よく云いました、姉上さまはそのあたりの事情ぐらい、ご理解いただけるはずです」
と、ダフネさんが云いました。
「私もそう思います、心から歓迎すれば良いのです。」
「姉上様は、私たちにとっても義理ではありますが、姉様であられます。」
「妹として、長女を敬い尊敬すれば、それで良いのです。」
「もっと落ち着きましょう、ここで私たちがうろたえたら、歓迎も出来ないじゃあないですか。」
アナスタシアさんの落ち着いていること、頼りになりますね。
でも、まだ一人、不安げな方がいました。小雪さんです。
「どうしました、小雪さん。」
「不安なのです、私は機械、人ではありませんし、姉上様はお優しい方とは理解していますが、それでもアンドロイドは駄目といわれたら、どうしようかと思うと……」
「小雪さん、姉のためにもいっときますが、姉はそんな人物ではありません。」
「皆さんにもいっときますが、私が慌てているのは、単に姉には頭が上がらない、というだけの理由です。」
「そうでしょう、どこでも姉はありがたくもあり、煙たいものでしょう?」
「いい忘れましたが、姉は私の奥さんたちにお会いすることを、楽しみにしているといっています、皆さんが心配することはありません。」
アナスタシアさんが、
「色々と不安がありましょう、私も姉上様に嫌われたら、と思うと不安で、イシュタル様の妻に、やはり認められないと云われたらと思うと……」
「でも色々考えてもしょうがないこと、姉上様に気に入られるように、全力で尽くしましょう。」
「こういっては叱られるでしょうが、小姑様はだれもが怖いものですから。」
「さあ歓迎委員会を組織しましょう。」
「万全を期しましょう。」
「私はイシュタル様のお側に永遠にいたい、だからどのような手段を講じても、姉上様に気に入っていただくつもりです、サリーさんもそうでしょう。」
サリーさん、ここで腹を固めたようです。
「ナスタシアさんの云う通りです。」
「私もお嬢様とは、永遠に添い遂げるつもりです。」
「そのために、姉上様にお気に召していただけるように、どのようなことでもいたします。」
「覚悟一つでした、皆さん、一致団結してお迎えいたしましょう。」
ダフネさんが「頑張ろう!」というと、皆さんが「頑張ろう!」と唱和しています。
ここでアリスさんが、いらぬことを口走ります。
「しばらく愛してもらえませんから、今日は満足するまでお願いします。」
などと云ってくれます。
すると「お願いするぞ!」とダフネさんが云います。
皆さんが「お願いするぞ!」と唱和してくれます。
ええい、仕方ない。
「私は皆さんを愛するぞ!」と言います。
すると、「愛されたいぞ!」とビクトリアさんが云います。
「愛されたいぞ!」と唱和が聞こえます。
本当にこの腐れ芝居!いつまで続くことか!
「では風呂へ私はいくぞ!」
「我々も風呂へ行くぞ!」
こうして延々と小芝居を続けながら、皆さんを愛しました。
勿論、すっきりした皆さんは鼻歌を歌いながら、姉上様歓迎委員会なるものを作って、計画を練り始めています。
私は悲しいことに、無視されてしまいました。
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