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第五十九章 明かされる隠し事
04 魔法
しおりを挟む「魔法についておしえてほしい。」
『しもべ』さんは、しゃべりはじめました。
その説明を要約すると、魔力の源泉たるマナとは、有機物合成超高性能ナノマシンが、マナというものの正体で、魔法のもと、イメージまたは音声命令により発動する。
常に自己増殖し、この世界のすべて、生体の中にも存在する。
もともと人類が生存できるように、環境を改造するためにつくられたもので、汚染源などを有用なものに変換している。
上昇気流の限度までの高度から、地殻最深部まで存在する。
太陽光などの、熱エネルギーを高能率に変換し、基本的には二酸化炭素も、エネルギーとして取り込み、酸素を排出する。
ただ極めて小さく、どのようなものにでも変われるらしい、たぶんフェルミ粒子や、ゲージ粒子レベルの代物と思う。
寿命が尽きた生体、ナノマシン自体をも分解して取り込み、エネルギーとする。
アスラ族の、絶頂期の科学技術が、実用化したテクノロジーらしい。
まずイメージする。
イメージすると、原子を操作し分子を構成することができる。
分子構成式をイメージし、ナノマシンがその人間のイメージの脳波のパルスを感じ、そのイメージの分子構成式の分子を作成する。
次に命令する。
命令はイメージまたは音声信号により実行する。
命令は、イメージした分子の振る舞いを、指定するものである。
たとえば、水素分子をイメージして、水素ガスを発生させて、黄リンを少し発生させ、黄リン分子を振動させれば、大爆発を引き起こせる。
水素分子をイメージ
複製命令
黄リン分子をイメージ
複製命令
衝突命令
となる
イメージは、正式には分子構成式が必要だが、煩雑なので、略式の音声命令による自動イメージ作成ができ、ある程度の雛形が存在する。
以上のような、複雑なイメージと命令を結合して、各種の魔法が成立する。
また『よりしろ』とは、物質にナノマシンをまといつかせる(コーティング)のことだそうです。
命令には順位があり、上級権限のパスワードで下位の命令を修正できる。
命令順位は五段階ある。
第一序列 黒の巫女(主の種族) →惑星の破壊、惑星の大規模環境改造
第二序列 人工知能
第三序列 第二衛星上の監視端末
第四上級序列 第五序列と同じだが、第四序列命令より上級権限をもっている。
今のサリーさんがこのクラスである。
このレベルより、初歩的な『よりしろ』を利用できる。
イメージをもとに物質再構成を使えるようになる。
第四序列 自己を中心に、一辺50M立方体にある、ナノマシンをコントロールできる。
古代レムリアの大魔道師は、このレベルであった。
第五序列 自己を中心に、一辺10M立方体にあるナノマシンをコントロールできる。
現代キンメリアの最高魔法士はこのレベル。
このレベルより『よりしろ』を使えるようになる。
レギュラー 自己を中心に、一辺3M立方体にあるナノマシンをコントロールできる
一般に修行(精神集中)さえできれば扱える範囲。
第三序列より上位は、その固体の遺伝子情報またはIPS細胞より、その細胞を複製して新陳代謝をすることができる。
簡易命令とは、簡略化されたイメージ不要な特殊な命令で、変換機能付である
分子構成式が不確定で、正式な音声命令がなくても、脳内のイメージと命令を、脳波で受け取ることが可能。
この場合、何らかの自身の音声を起動キーとできる。
例として
MIZU命令 水分子をイメージしある程度の数を増殖できる
KAZE命令 酸素分子をイメージし燃焼させ、温度差を作成させ、空気の流れをつくる。
HI命令 黄リン分子をイメージし、分子同士を衝突させる
第四序列命令までは、この簡易命令でもOK。
とりあつかえるナノマシンがふえるだけ。
以上が魔法と呼ばれるものの概略だそうです。
推測だが、素粒子レベルでイメージすれば、光も操作できるのでは……重力子も認識すれば重力も可能……
私がそのように考えていると、『しもべ』さんが、
「おっしゃるとおりです。」
と云ったのです。
応援ありがとうございます!
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