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第五十九章 明かされる隠し事

05 レムリア

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 私はレムリア人について、たずねました。
 『しもべ』さんは、しゃべりはじめました。

「私のデーターベースによれば、レムリア人とは、使いの人々より惑星エラムをまかされた召使い人種で、使いの人々の遺伝子と、類人猿の遺伝子の、交配改良でつくられました。」

「このとき最初の創造神、つまり主が、使いの人々を作り出した、最優秀の類人猿の遺伝子ではなく、残っていた、好戦的な類人猿の遺伝子使用を、余儀なくされたため、やはり好戦的な人種となりました。」

「かなり男性的な種族となり、ある意味、家父長的な社会となっていました。」
「このレムリア人は、使いの人々より、権限を引き継ぎ、第四序列命令まで行使できたため、強大な魔法の力に酔いしれ、内部抗争にあけくれたのです。」

「さらに魔法の使用方法も、進歩することともに、かなり科学技術も進歩し、破壊的な力をもつにいたったのです。」
「イメージの進化と、科学技術の進化の結果、核分裂をおこせるようになり、ついに限定的にですが、その核分裂兵器を使用してしまいました。」

「当時、最終的に世界を支配した首脳陣は、この核兵器を全面使用した場合による、放射能汚染を恐れました。」

「その対策として、北方に位置し、バンアレン帯が弱いことで男性が少なく、もともと好戦的でなくなっていたために負けた、敗戦国の国民にたいして、生体実験を繰り返しました。」

「自身が核の放射能汚染に、耐えられるような体を持とうとしたが、結果的に失敗しました。」

「このとき、反乱をおそれて、生体実験の結果を使用して、性染色体の遺伝子を操作し、女性的な体質を持つ人種を強制的に誕生させて、敗戦国の国民をさらに女性的にするために、淘汰して奴隷種族を作り上げてしまったのです。」

「しかしこの段階で、支配者層間の指導権争いが起こり、愚かにも核分裂兵器を用いる、大規模な最終戦争を起こしてしまいました。」

「放射能汚染はじりじりと世界を蝕み、本来環境改造が任務の、ナノマシンも放射能のため機能不全におちいり、世界は死にいくこととなり、支配者階級は神のたたりと、恐れおののきそして衰退していったのです。」

「この時、極寒の地で、石炭採掘などの強制労働に従事していた、先ほどの奴隷種族は、この地をとりまく、渦巻くような暴風が、放射能汚染をしばし壁のようにふせいだおかげで、なんとか生き延びました。」

「それまでは慎重に、エラムに干渉することを避けていましたが、この時一度だけ干渉しました。」
「生き残ったキンメリア人の先祖である、奴隷種族を助けるため、機能不全をおこした、ナノマシンの改良型を作成し、この地に送り込んで、ふたたび世界の環境を復元することができました。」

「世界が復活したとき、極寒の島にいた奴隷人種は、主人である島内のレムリア人を攻め滅ぼしていました。」
「こうして古代レムリア人は滅亡しました。」

「しかし支配階級のレムリア人の知識も、このときほとんど失われ、かろうじて極寒の地にいた、レムリア人の一部の知識がうけつがれました。」
「この知識の中には、古代レムリア人が一般的に使用していた、簡易命令による魔法も含まれていました。」

「古代レムリアの首都の中には、当時の使いの人々を崇めるための神殿があり、いつか黒い巫女が降臨してもいいように、御座所がありました。」

「レムリア人は、毎年ここに、当時の最高の科学技術を奉納して、自身の研鑽を創造神に報告していのです。」
「その後大陸は移動、大地は隆起して、その御座所は現在の位置となりました。」

 私は驚きました、レムリア人の前にレムリア人を作った人がいるとは、神話は真実を伝えていたのです。
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