97 / 152
第六十三章 祝福は女苦労に微笑む
02 任官式
しおりを挟む女官の階級は才人、美人、貴人、女史、そして女官長となります。
新人さんはその下、見習い女官です。
新年に採用された女官さんたちは、シビルの内壁の女官研修所で、半年の研修を受けます。
これが何というか、『調教』と呼ばれています。
ここで女官の心得とか、基本的なことなどを勉強します。
アンリエッタさんに聞くと、夜の奉仕など、かなり徹底的に叩きこむとのことですが……
「洗脳していませんよね。」と、聞きますと、
「なんです、その言葉は。」と、反対に聞かれました。
レムリアでの女官補制度は、好評でしたので、各地のハレムで採用させました。
女官補は安い女官さんより、さらに安い給料ですが、女性の社会への進出と、雇用促進の意味があります。
女官捕は下働きと呼べる方たちで、採用は女官長さんの自由です。
この女官補さんたちを指導するのも、女官の仕事でもあります。
見習い女官さんは、半年の研修後、晴れて任官となります。
式はシビル中央神殿の、奉納舞いの会場です。
この日の任官式は、一般解放されますので、一般庶民が私や女官さんを垣間見る、またとない機会です。
お祭り騒ぎです。
各地から新任女官さんの、親族なども大挙してやってきます。
見習いから、正式に女官になるイベントが、任官式なのです。
この日から給料もでますし、月に二回の休暇と、その日の外出も許されます。
ただし、貞操帯装着が必須だそうです。
でも、皆さんこの日を待っています。
黒の巫女の女官の外出用の制服、これは日本のOLさんの服装ですが、それを着て、茶館で優雅にお茶をする姿はエラムの女性のあこがれなのです。
黒の巫女の女官さんには、道行く騎士さんも、敬意を払ってくれます。
女は売り物のエラムでは、このような敬意は、ほかには絶対にありません。
王族の娘なら、宮殿ではありえますが、屋外に出ることはありませんので、このようなことに出会いません。
黒の巫女の女官は私の奴隷、このエラムの風習に従えば、女官を所有する私の権威が、騎士に敬意を表せさせるわけです。
騎士にとっても、黒の巫女に敬意を表すことになり、不名誉でも何でもありません。
しかし、エラムの娘さんから見れば、颯爽とみえるのでしょう。
さて、女官さんたちが待っています、今日は快晴ですね。
100名の新人さんに、私からのプレゼントを手渡ししなければなりません。
アンリエッタ首席女官長の先導で、私が姿を現すと、それまでの喧騒が、一瞬で静まり返りました。
「巫女様よりお言葉があります。」
「新任の女官の皆さま、皆さまにとって、本日は人生の門出となります、この半年ご苦労さまでした。」
「一緒に研修した仲間とも、離れ離れになりますが、一度心を通わせた友情は、一生続くものです。」
「友達を大切にしてください、皆さまの一生の財産となりましょう。」
「そして研修は終わりましたが、明日からも勉強に励んでください。」
「私は皆さまの向上心に、エラムの女の明日を託しています。」
「学ぶことに対して、援助を惜しまぬつもりです、よい女官さんになってください。」
「ささやかながら、私から記念のプレゼントがあります、今日の記念としてください。」
私は一人一人に、オルゴールを手渡しで進呈しました。
それにしても美人揃いですね、毎日食べてしまいそうになります。
100人全員に、手渡ししますので、結構時間がかかります。
これで公開の任官式は終わりです、この後昼食会があります。
女官長さんたちと、愛人さんたちも一緒にです。
この昼食は質素で、にがり草と決めています。
エラムの食糧事情を好転させた食べ物です、感謝すべきでしょう。
にがり草の粉で作ったお焼きと、野菜のスープです。
この後、にがり草のパンケーキと、チョコレートドリンクを出します。
いつも思うのですが、エラムの女性にはチョコレートは媚薬なのでしょうか?
皆さん、陶酔したようになっています。
私がムラムラしてきました。
新人さんを押し倒しそうです。
ここは今日の方に、早く相手をしてもらわなくては……
パリスのシャーリーンさんが待っています。
いつも思いますが、とんでもなく大きな胸ですね。
「アウセクリス様、タリンの女はおいしいですよ。」
……
なんとか朝日を拝めました。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる