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第七章 宇賀真琴の物語 年を越し新たに年を迎える
茜姉様がやってきた
しおりを挟む聖ブリジッタ女子学園山陽校にも、冬休みなんてものがやって来ました。
宇賀さんの部屋に、マチ・シズ・ミチの三人娘が戻ってきています。
大掃除もやっと終わり、年越しの準備も終わって、ほっとしている師走の二十九日です。
「この間のクリスマス・パーティー、楽しかったわね」
と、クリームヒルトがしゃべっています。
クリームヒルトと三人娘のほかに、お京ちゃんと乙女ちゃん、さらにはヴァランちゃん、明子ちゃんと、八人が集まっています。
「楽しかったわね、乙女ちゃん、お母さんによくお礼いっていてね」
この前、皆は山野レディファションの、クリスマス・パーティーに呼ばれたのです。
「珍しく、宇賀様も森さんも稲田さんもいたわ、真野静香さんがいたのには驚いたわ」
マチちゃんが感心しています。
「私、フォーマルパーティーって初めてだったの、明子と二人、ひるんでしまったわ」
お京ちゃんの感想です。
「そうだ!茜姉様がもうすぐこられるのよ♪」
娘たち、歓声を上げました。
「美子様は!」
「忙しいらしいの、この間かなり無理してこられたから……」
「なに、私じゃだめなの?」
茜さん、突然転移してきました。
クリームヒルト、ものすごく嬉しそうな顔をしました。
「さて、皆さん準備は出来ていますか?」
?
「明日は三十日じゃない、餅つきよ、餅つき」
「茜様、いま少し詳しい説明をお願いします、『餅つき』だけでは、この子たちには分からないではないですか」
宇賀さんがたしなめています。
「明日から正月二日まで、瀬戸内初詣クルージングなのよ、その船上で餅つきなのよ」
「えっっっ!」
どうやら宇賀不動産開発合名会社が、神戸を起点に日本クルーズをしていた、アメリカの小型客船を買い取ったようです。
大寒波のお陰で、この会社は日本での営業を断念したとの事です。
相当にお洒落な客船で、排水量4200トン、定員114名、最大157名、キャビン数57室、プール、ジャグジー、当然レストランもあります。
どうやら突貫工事で、○○レイヨン社の、浴槽用の高濃度人工炭酸泉装置を取り付けたようです。
これ必須ですよね、プールとジャグジーは温浴にも出来るようです。
その上、一部の部屋は隣の部屋との境に、防音ドアをつけて、行きかう事が出来るようになっています。
「アジア大司教区の、現地採用職員さんなどのほかに、東京聖女女学校八回生やアジア大司教区雑仕(ざっし)養成校などの、生徒さんたちも集まるわよ」
「カリさんは忙しいとの事ですが、チュヌちゃんは来るわよ」
東京聖女女学校は、冬休みだったのですが、八回生に希望者を募ると、全員が参加したいとの事で、帰省した者も、二十九日の昼に寄宿舎に戻って、そのまま新幹線に乗って神戸から乗船とのことです。
アジア大司教区雑仕(ざっし)養成校は、直接港に集合するそうです。
東京聖女女学校八回生14名に、アジア大司教区雑仕(ざっし)養成校の30名、クリームヒルトたち、ゼブル騎士団から幾人か、その他色々な方が、招待されているようです。
瀬戸内振興が目的の地方議会の要請で、宇賀不動産開発合名会社がこの船を、神戸を母港にする瀬戸内クルーズ計画に投入するらしいのです。
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