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第六章 ヘディ・ハプスブルグ・ロートリンゲンの物語 地に堕ちた世界
ナーキッドの撤退
しおりを挟むアイルランドとマルタ騎士団領は、あくまでもナーキッド体制のままでいる事を望み、ヨーロッパ連合共同体を離脱、関係者を拘束したといってきました。
その他の地域は……
「黙殺ですか、そうですか、引導は私が渡しましょう」
周りにいた者は真っ青になった。
無表情だったミコが、目を細めて云ったからだ。
ミコがこの表情をするとき、相変わらず美しいミコだが、周りの者は、背筋の凍る思いをすることになる。
美しさも冷酷を纏うと、震えがくるのである。
ヨーロッパ全土、全住民の頭の中に声が響いた。
「ヨーロッパの人々よ、私はナーキッド・オーナーです」
「このたび私たちナーキッドは、北インドで女性の狩猟区などを設定し、当地の婦人たちを狩猟、つまりウーマンハントさせていた、ペルシャの政権を打倒すべく西アジアに侵攻しました」
「そして北インド同様、西アジアでも女性たちを虐殺していた証拠を確認しました」
「ペルシャの政権はシチリア・コーサ・ノストラの仲介で、ヨーロッパの男たちに狩猟税おさめさせ、ウーマンハントを許可していたことが判明」
「ペルシャの政権とその下で、婦人を虐殺していた当事者を処分しましたが、子供には罪はなく、その子供たちの為に、親だけはユーフラテス川の彼方に追放したのです」
「そして今回の元凶である、シチリア・コーサ・ノストラの処分を求めましたが、回答は有りませんでした」
「本日、現時点で猶予期限は終了し、実力行使をさせていただきます」
「シチリア・コーサ・ノストラの構成員には、その責任を取らせます」
「また今回の事を知っていて、黙認していた者も同罪です、またシチリア・コーサ・ノストラの構成員の家族についても、その汚れた資金の上で、胡坐をかいて生活していた以上同罪と断罪します」
「シチリア・コーサ・ノストラは多くの人々を殺していた組織、私は二度、このような組織に対して警告をし、実力行使に出ました」
「一度はメキシコ、二度目はブラジル、しかしその警告を無視した以上は、覚悟はあると判断しました」
「さらに幼子の為に、追放で済ませた虐殺者についても、その罪を恥じず、保身のために虚言をした以上、シチリア・コーサ・ノストラと同列と認めます」
「ただいまより実力行使をいたします」
この言葉の後、ヨーロッパ全土で死神が踊った。
シチリアは惨憺たる状況、女子供といえ言葉通り、該当する者は死に絶えた。
イタリアの警察、軍、政府関係者も、かなり死亡することになった。
この出来事で、ナーキッドに対して轟々たる非難が噴出、ナーキッド排斥運動は頂点に達した。
「ミコ様……」
パープル・ウィドウ・クラブの管理官たちは、言葉もなかった、ただ忍だけは平然としている。
「言ったでしょう、公的な事になると怖いって、本当に怖いのは、この後に起こるのよ、ロブノールよ」
再度ヨーロッパ全土、全住民の頭の中に声が響いた。
「皆さんの望みを確認させていただきました、ヨーロッパは一人立ちできるというのが、皆さんの考えと思います、よってただいまよりナーキッドは撤退いたします」
「人は自らの足で立つべきでした、皆さんはその力があるとの意見だと考えます、目障りでしょうから、ナーキッドの物は引き取りましょう、ではヨーロッパに栄光あれ」
この瞬間、多くの人々が喝采した。
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