ど天然田舎令嬢は都会で運命の恋がしたい!

上木 柚

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第一章

20 リーダーは譲れない

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 黒竜門に到着した一行は、手紙の文を確認する。

『黒き門には横から ただし近づき過ぎないで』

「『黒き門』は恐らく黒竜門であっていると思うんだ。王都にこれ以外に黒い門はないからね」
「『横から』って書いてあるから、横から入れって事じゃない?さ!行きましょう!」

 意気揚々と黒竜門に向かって歩き出したロザリンドを、トマスとジュリアは慌てて止めた。

「ロザリンド様は何もご存知ありませんのね!北区はほとんどが軍の施設。ですから出入りは厳しく監視されていますのよ!ウロウロしていたら怪しい者だと思われますわ!」
「それに、『近づき過ぎないで』とあるから、ある程度距離を置くんじゃないかな?」
「となると、黒竜門に入るとは限らないですわね」

 推理を始めるトマスとジュリア、ロザリンドは「ふむふむ」と訳知り顔で二人の周りをウロウロしている。

「二人共なかなか鋭いのね…。ハッ!た、探偵団のリーダーは譲らないんだからね!」
「……おかしな団体に勝手に入れないでくださいまし」
「ははは!二人は意外と合うんじゃないかな?会話を聞いているだけで面白いよ!」
「トムお兄様もそう思う!?実はわたくしもそう思ってたの!打てば響くと言うのかしら!これはもう、かなりの親しい友人と言えると思うわ!」

 二人の言葉にジュリアは「…冗談じゃないわ…」と小さく呟いたが、その場の誰もがそれに気付く事はなかった。

「そろそろお昼にしようか。ちょうどそこにティールームがあるから、ごちそうするよ」
「お昼!いいわね!トムお兄様、ありがとう!」
「お嬢様!走ってはいけませんよ!」
「転ぶといけないからエスコートさせてもらうよ?」

 走り出そうとしてルーシーに止められ、トマスに捕獲という名のエスコートをされ、照れながら歩くロザリンド。ジュリアはそんな二人から目を逸らし、ため息をつく。

「わたくしのことは全く眼中にありませんのね…。もう、諦めどきなのかしら…」

 一部不穏な空気を醸し出しながら、一行は黒竜門近くのティールームへと向かった。
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