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第四章
本当の和解
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◇
「ここは私にお任せ下さい。イヴァン殿下も娘たちの所へ避難を」
フェルディナンドは長身の男から繰り出されるロングソードでの斬撃を自身の愛剣でサラリと躱しながら、イヴァンに避難を促した。
座り込んだままになっていたイヴァンはサッと体勢を立て直すと、フェルディナンドからの指示に「わかった」と頷く。
「ミリアム嬢たちの事は任せてくれ、カパローニ侯爵。それと、重ね重ね申し訳ない、これが済んだら、ここから無事に脱出出来たら謝罪させて欲しい」
深々と頭を下げるイヴァンに、フェルディナンドは少し目を瞠ったが、フッとイヴァンから目を背ける。
「それとこれとはまた別の話です。とにかく今はこの事態を切り抜けましょう。さ、行ってください」
イヴァンはもう一度頭を下げると、ミリアムが逃げ込んだ部屋へと急いだ。
部屋に入ると、火かき棒を手に顔を強張らせたミリアムがロビンを守る様に立っていたが、イヴァンの顔を確認すると安堵の表情を浮かべ、その場に座り込んだ。
「イヴァン殿下…、ご無事で安心致しました」
「そちらこそ、無事で良かった。どこも怪我などはないか?」
「はい。殿下は大丈夫でございますか!?所々血が滲んでおられます!」
「問題ない。全てかすり傷程度だ」
姉の誘拐に関わった事を赦せない気持ちはまだあるだろうに、しかし自身の無事な顔を見て心からの安堵の表情を浮かべた彼女は本気で自分を心配していたのだとイヴァンは悟り、近い将来義姉となるであろう少女のその懐の深さに感銘を覚え、尊敬する異母兄とその伴侶となる彼女をきっと生涯支えていこうと心に誓った。
「もうエミリオ様や兄が外まで来ているそうです。父は壁を登り隣の続き部屋の窓から入ったようなので、殿下もそちらから外にお出になられますか?わたくしには少々難しいので、殿下だけでも先に…」
フェルディナンドが壁を登ってきたと聞いてイヴァンは瞠目する。なぜなら低層階とは言え、ここは4階で、しかもこの邸は以前離宮であった事もあり、一層一層が一般的な邸よりも天井が高い造りになっている為に、通常の4階よりも遥かに高いのだ。
「…カパローニ侯爵は見かけに反してなかなか豪胆な御仁なのだな。恥ずかしながら私にはこの高さから壁を伝って降りるのは無理だ。それに、私はここに残って貴女とその少年を守りたいと思っている」
イヴァンはミリアムが握りしめていた火かき棒を、そっとその手から外す。
白くなるほど強く握りしめられていた掌にスッと赤みが戻る。その様子を見たイヴァンは眉を下げると、その華奢な手を包み込む。
「すまなかった。令嬢にこんな物を持たせて、恐ろしかっただろう。ここを脱出するまではどうか兄上の代わりに貴女を守らせてはくれまいか?貴女は私の義姉になるのだから」
イヴァンのその言葉にミリアムは弾けたように顔を上げる。そして涙で滲む目を押さえながら「はい。お願いいたしますわね…」と微笑んだ。
しばらくすると廊下が静かになる。ミリアムとイヴァンは顔を見合わせると頷きあい、小さく扉を開けて外の様子を窺う。
そこには赤いローブの者や公爵家の私兵が倒れており、剣を鞘に戻すフェルディナンドと退屈そうに欠伸するジルの姿があった。
「ここは私にお任せ下さい。イヴァン殿下も娘たちの所へ避難を」
フェルディナンドは長身の男から繰り出されるロングソードでの斬撃を自身の愛剣でサラリと躱しながら、イヴァンに避難を促した。
座り込んだままになっていたイヴァンはサッと体勢を立て直すと、フェルディナンドからの指示に「わかった」と頷く。
「ミリアム嬢たちの事は任せてくれ、カパローニ侯爵。それと、重ね重ね申し訳ない、これが済んだら、ここから無事に脱出出来たら謝罪させて欲しい」
深々と頭を下げるイヴァンに、フェルディナンドは少し目を瞠ったが、フッとイヴァンから目を背ける。
「それとこれとはまた別の話です。とにかく今はこの事態を切り抜けましょう。さ、行ってください」
イヴァンはもう一度頭を下げると、ミリアムが逃げ込んだ部屋へと急いだ。
部屋に入ると、火かき棒を手に顔を強張らせたミリアムがロビンを守る様に立っていたが、イヴァンの顔を確認すると安堵の表情を浮かべ、その場に座り込んだ。
「イヴァン殿下…、ご無事で安心致しました」
「そちらこそ、無事で良かった。どこも怪我などはないか?」
「はい。殿下は大丈夫でございますか!?所々血が滲んでおられます!」
「問題ない。全てかすり傷程度だ」
姉の誘拐に関わった事を赦せない気持ちはまだあるだろうに、しかし自身の無事な顔を見て心からの安堵の表情を浮かべた彼女は本気で自分を心配していたのだとイヴァンは悟り、近い将来義姉となるであろう少女のその懐の深さに感銘を覚え、尊敬する異母兄とその伴侶となる彼女をきっと生涯支えていこうと心に誓った。
「もうエミリオ様や兄が外まで来ているそうです。父は壁を登り隣の続き部屋の窓から入ったようなので、殿下もそちらから外にお出になられますか?わたくしには少々難しいので、殿下だけでも先に…」
フェルディナンドが壁を登ってきたと聞いてイヴァンは瞠目する。なぜなら低層階とは言え、ここは4階で、しかもこの邸は以前離宮であった事もあり、一層一層が一般的な邸よりも天井が高い造りになっている為に、通常の4階よりも遥かに高いのだ。
「…カパローニ侯爵は見かけに反してなかなか豪胆な御仁なのだな。恥ずかしながら私にはこの高さから壁を伝って降りるのは無理だ。それに、私はここに残って貴女とその少年を守りたいと思っている」
イヴァンはミリアムが握りしめていた火かき棒を、そっとその手から外す。
白くなるほど強く握りしめられていた掌にスッと赤みが戻る。その様子を見たイヴァンは眉を下げると、その華奢な手を包み込む。
「すまなかった。令嬢にこんな物を持たせて、恐ろしかっただろう。ここを脱出するまではどうか兄上の代わりに貴女を守らせてはくれまいか?貴女は私の義姉になるのだから」
イヴァンのその言葉にミリアムは弾けたように顔を上げる。そして涙で滲む目を押さえながら「はい。お願いいたしますわね…」と微笑んだ。
しばらくすると廊下が静かになる。ミリアムとイヴァンは顔を見合わせると頷きあい、小さく扉を開けて外の様子を窺う。
そこには赤いローブの者や公爵家の私兵が倒れており、剣を鞘に戻すフェルディナンドと退屈そうに欠伸するジルの姿があった。
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