GAME

ぴぽ子

文字の大きさ
1 / 3

Aさん

しおりを挟む




 僕が目を覚めると、白い部屋にいた。目の前には、手紙とナイフが置いてある。手紙に書いてある内容は以下の通りだ。


 〝あの扉の向こうには、BさんとCさんが透明な部屋に閉じ込められています。
 貴方の手元にはボタンが2つあります。1つはBさんの部屋の扉を開けるボタン。もう1つは、Cさんの部屋の扉を開けるボタンです。
 部屋から出れた人と貴方はここから脱出することができます。部屋から出られなかった人はここに留まり、後ほど処分されます。しかし、BさんCさん両方を助ける方法もあります。
 それは、貴方がその場で自害することです。このナイフで貴方の心臓を刺しなさい。貴方の心臓の音が止まると同時に両方の扉が開き、BさんとCさんを脱出させることができます。
 さあ、貴方はどうしますか。〟


 僕は状況が理解できずにいた。なぜ、この3人が集められたのか。なぜ、このようなゲームに参加しないといけないのか。
 ただ、このままここにいても何も始まらないのは確かだ。とりあえず、扉を開け先へ進もう。

 扉を開け進むと、手紙に書いてあった通り、僕の目の前には、透明な部屋に閉じ込められた2人がいた。ボタンがある。
 Bさんが僕に何か訴えている。きっと、助けてと言っているのだろう。Cさんは無言で僕を見つめている。
 僕はボタンを押した。

 開いたのはBさんの扉だ。Bさんは嬉しそうに、僕のところに走って近づいて来る。どちらを助けるかなんて最初から決まっているんだ。
 持ってきたナイフは自害のためじゃない。この先何かあった場合Bさんを守れるからだ。
 逃げよう、Bさん。僕の大切な彼女。

 Bさんが僕に抱きつく…その時だった。
 パァンと銃声が鳴り響く。Bさんが僕の手に触れたところで倒れた。止まらない。Bさんの止まらない生温かい血が僕の視界を赤くする。Bさんは動かない、死んだのだろうか。
 「Bさんは貴方を刺し殺そうとしていた。私は貴方を助けたかったの。」
 Bさんを撃ったのは、Cさんだった。CさんはBさんの血だらけの身体を触りだし、ナイフを見つけ出した。そして、ほらっと言わんばかりの顔を僕に向けた。
 嘘だ、信じられない。僕は友人のCさんを犠牲にしてまで、Bさんを選んだのに、Bさんは僕を殺そうとしていたのか。
 Cさんが僕を抱きしめた。「ごめんなさい。でも、こうするしかなかったの。私達だけでも、ここから逃げましょう。」Cさんは僕の耳元で言う。
 動揺して、混乱していた僕の頭にCさんの声が染み込む。
 Cさんだ。Bさんじゃない。僕にはやっぱりCさんなんだ。Cさんじゃないとダメなんだ。そうだ、2人でここから抜け出そう。

 そして、また一からやり直そう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...