愛?愛!愛。

ぴぽ子

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1.行ってしまうならもう戻ってこないで

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 高校生の頃に付き合い始めた私達は、同じ大学にも通うことができ、大学2年生で親の反対を押し切り同棲を始めた。

 お互いが内定をもらい、これからまた新しい2人の生活が始まろうとしていた付き合って5年目の夜。彼の浮気が発覚した。

 技術の進化で、スマホは指紋があれば簡単に開くようになった。私は好奇心で彼が寝ている間に、彼の指を使ってスマホを開けた。
 私の知らない女から4件の通知があった。彼氏に疑いを向けた彼女の指は止まらない。私は2人のやりとりを最初から最後まで読んだのだ。

 始まりは彼がサークルの飲み会に行った日からだ。私が知らない間に彼は1年以上も浮気をしていた。



 激怒した私は彼を叩き起こした。深夜2時過ぎの私たちの部屋には私の怒鳴り声が響く。

 彼のことは許せない。失望もした。でも、今更別れることなんてできなかった。どんな負の感情よりも好きという感情が勝っていたから。

 「私は明日大学に取りに行かないといけない書類がある。圭太くんは家にずっといるよね?!
 私とその女どっちを選ぶのか私が帰ってくるまでに決めなさいよ!」

 最後にそう言って、私は布団から離れたところでタオルだけ持っていき寝た。




 翌日、私が家に帰ると彼がいた。部屋の真ん中に立ち、私が帰ると「おかえり。」と優しい声で言った。
 私は彼は私を選んだと思い、涙目になりながら彼のもとへ駆け寄る。
 そして、部屋に入り私の視界に入ったのは、寂しそうな笑顔を作る彼と数個のダンボール。

 彼が選んだのはあの女だった。

 「鍵は今週中に返すよ。」と言い、彼は帰ってきた私と入れ替わるように家を出て行った。





 あれから4日後。今日は彼が鍵を返しにくる日だ。
 家に帰ると誰もいない。真っ暗な空間が私を包む。私は凍てつくようなフローリングに座り込む。電気をつけるのが怖い。
 彼の荷物はもうなくて、それが私は“選ばれなかった”という現実を痛いほど突き刺してくる。
 
 ガチャとドアが開く音がした。廊下の電気をつけたようで、私の目の前には自分のシルエットができる。

 「電気もつけないで何してんだよ…」

 無反応の私に彼が声をかけた。

 「鍵ここに置いていい?明日香?…大丈夫か?」

 「行ってしまうならもう戻ってこないでね。」

 「は?明日香何言ってんだよ。」

 「私を捨てるならもう二度とここには来ないでね!」

 私の大きい声が家具の少ない部屋に反響した。

 彼は私を後ろから優しく包み込む。そして、私に鍵を握らした。
 「ごめんな。」と私の耳元で言うと、彼はすぐに家を出て行ってしまった。

 彼の最後の温もりが私の背中に残る。

 彼からは知らない女の香りがした。



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