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第三話 敵船
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「いったいそれ…ジジッ。」
「大佐?少々雑音が聞こえますが?」
「すまないすまない。やはり海上にはそれなりの安定した無線が必要だな。また発注しておこう。これではやってられないな。」
アーマンが笑いながらそう言う。
フォックスも軽く笑いながらそうですねと答えを返す。
「まあそんなことはいいんだ。しかし、工場の爆発とはたまげたもんだな。フォックス。よくぞ無事でいてくれた。」
アーマンが野太い声でそう言う。
フォックスにとってその一言はやはり嬉しかった。
単独潜入という状況は、酷である。
味方がいない。
いるのは味方の顔をした敵だけだ。
本当の事が話せるのは、アーマン大佐。ただ一人しかいないのだ。
「ようやく戦闘の様子が伺えると思った矢先に爆発か。しかもその海賊達はケガ一つすら負っていないのか。どうにも上手くいかないな。」
アーマンは悔しそうにそう嘆く。
「ええ。私が逃げようとしたその時既に前方を一向は走っていました。」
フォックスが当時のイメージを浮かべながら話す。
「爆弾を仕掛けて、さっさとズラかった。そういう考え方が自然だな。」
アーマンが一つ咳をしながらそう言う。
「はい。恐らく彼らの目的は工場にあり、その工場で目的を果たした後、証拠隠滅かどうかは定かではないですが、爆弾を仕掛け、工場を消し去った。というのが私のおおよその推理です。」
フォックスは自分の推理を正直に話す。
だが、フォックスはふと思う。
自分にはそんな情報も回ってこないのか、と。
確かにフォックスは新人だ。
だが、目的ぐらいの説明があってもいい気はする。
少しも説明が無いのはやはり不自然だ。
「今回の事は確かに惜しかった。だが、君が無事だったこと、その上、船員には君の動向が怪しまれていない事、これだけでも十分だ。」
「有難う御座います。」
「では、期待しているぞ。」
アーマンがそう言い、無線を切った。
「ねえ、昨日のヨーケ島の時、なんでいなくなったの?」
メリザが厨房でパンを焼きながらそう問い掛けてくる。
フォックスは思わず動揺してしまう。
気付かれていたのか。
「ああ、妙なものが見えた気がしたので降りて確認しに行ったんですよ。」
あらかじめ考えておいた言い訳をそのまま使う。
「へえ。その割にはコソコソ出て行ったんだねえ。まるで私に気付かれないように振る舞ってるように見えたけど?」
メリザが鋭い一言を放つ。
「いや、それはメリザさんではなく、敵への警戒です。」
極力、声と顔に動揺が出ないように気を配る。
「そう答えると思ったよ。まあいいけど、あんまり単独では動かないようにね?別に疑ってるわけじゃないよ?心配してるから言ってるだけだよ。」
メリザのその一言にすこし胸を撫で下ろす。
だがフォックスはすぐにそのメッセージの深さを感じとる。
心配、とメリザを言っていた。
果たして、その心配というのは本当にフォックスの事を気にかけて、死なせたくないという心配なのだろうか。
勝手な行動はするなよ、という警告にも聞こえる。
まさか作戦はバレているのでは?
そんな考えが頭をよぎったが、この作戦は軍事機密であり、アーマンとフォックス、潜入に協力する数人しか知らない筈だ。
単純に、新人だからそこまで信用のおける相手ではないと考えられているくらいだったら良いのだが、そう簡単なものなのだろうか。
それに、このメリザという人物はどこか裏表を感じる人間である。
一言一言に含みがあり、どこか謎に包まれた人間であるように感じている。
そんな人柄だからこそ、フォックスは疑っているのである。
そんな事を昼ご飯を作りながら考えていると、やけに船内が騒がしい事に気がつく。
「何かあったんでしょうか。」
メリザに問いかける。
「ちょっと見てくるわ。ご飯任せたよ。」
メリザが手に持っていたフライパンを置いて、船内の方へと向かって行った。
一体何が起こったというのか。
こんな所でのこのこと、ご飯を作っている訳にもいかないので、こっそりと船内を伺う。
だが、船内には誰もいなかった。
という事は甲板か。
フォックスは慌てて、甲板が見渡せる窓を覗き込む。
そこにいたのは、船だった。
彼らは襲撃していたのだ。
しかし、戦っている様子は見えない。
と思うと、ニックが何かを抱えて、その船の船内から出て来る。
それに続いてエマやクリスも現れる。
さらに後ろからは敵も来ている。
これは戦闘シーンが見れるチャンスかも知れない、と思ったが、一向に戦う気配は無く、自分達の船に戻ってきた。
そして、列の最後にいたトーマスがこの船に乗りこむ。
その時だった。
ドカァン!
敵船と思わしき船が跡形も無く、吹き飛ぶ様はある意味で爽快な光景であった。
「大佐?少々雑音が聞こえますが?」
「すまないすまない。やはり海上にはそれなりの安定した無線が必要だな。また発注しておこう。これではやってられないな。」
アーマンが笑いながらそう言う。
フォックスも軽く笑いながらそうですねと答えを返す。
「まあそんなことはいいんだ。しかし、工場の爆発とはたまげたもんだな。フォックス。よくぞ無事でいてくれた。」
アーマンが野太い声でそう言う。
フォックスにとってその一言はやはり嬉しかった。
単独潜入という状況は、酷である。
味方がいない。
いるのは味方の顔をした敵だけだ。
本当の事が話せるのは、アーマン大佐。ただ一人しかいないのだ。
「ようやく戦闘の様子が伺えると思った矢先に爆発か。しかもその海賊達はケガ一つすら負っていないのか。どうにも上手くいかないな。」
アーマンは悔しそうにそう嘆く。
「ええ。私が逃げようとしたその時既に前方を一向は走っていました。」
フォックスが当時のイメージを浮かべながら話す。
「爆弾を仕掛けて、さっさとズラかった。そういう考え方が自然だな。」
アーマンが一つ咳をしながらそう言う。
「はい。恐らく彼らの目的は工場にあり、その工場で目的を果たした後、証拠隠滅かどうかは定かではないですが、爆弾を仕掛け、工場を消し去った。というのが私のおおよその推理です。」
フォックスは自分の推理を正直に話す。
だが、フォックスはふと思う。
自分にはそんな情報も回ってこないのか、と。
確かにフォックスは新人だ。
だが、目的ぐらいの説明があってもいい気はする。
少しも説明が無いのはやはり不自然だ。
「今回の事は確かに惜しかった。だが、君が無事だったこと、その上、船員には君の動向が怪しまれていない事、これだけでも十分だ。」
「有難う御座います。」
「では、期待しているぞ。」
アーマンがそう言い、無線を切った。
「ねえ、昨日のヨーケ島の時、なんでいなくなったの?」
メリザが厨房でパンを焼きながらそう問い掛けてくる。
フォックスは思わず動揺してしまう。
気付かれていたのか。
「ああ、妙なものが見えた気がしたので降りて確認しに行ったんですよ。」
あらかじめ考えておいた言い訳をそのまま使う。
「へえ。その割にはコソコソ出て行ったんだねえ。まるで私に気付かれないように振る舞ってるように見えたけど?」
メリザが鋭い一言を放つ。
「いや、それはメリザさんではなく、敵への警戒です。」
極力、声と顔に動揺が出ないように気を配る。
「そう答えると思ったよ。まあいいけど、あんまり単独では動かないようにね?別に疑ってるわけじゃないよ?心配してるから言ってるだけだよ。」
メリザのその一言にすこし胸を撫で下ろす。
だがフォックスはすぐにそのメッセージの深さを感じとる。
心配、とメリザを言っていた。
果たして、その心配というのは本当にフォックスの事を気にかけて、死なせたくないという心配なのだろうか。
勝手な行動はするなよ、という警告にも聞こえる。
まさか作戦はバレているのでは?
そんな考えが頭をよぎったが、この作戦は軍事機密であり、アーマンとフォックス、潜入に協力する数人しか知らない筈だ。
単純に、新人だからそこまで信用のおける相手ではないと考えられているくらいだったら良いのだが、そう簡単なものなのだろうか。
それに、このメリザという人物はどこか裏表を感じる人間である。
一言一言に含みがあり、どこか謎に包まれた人間であるように感じている。
そんな人柄だからこそ、フォックスは疑っているのである。
そんな事を昼ご飯を作りながら考えていると、やけに船内が騒がしい事に気がつく。
「何かあったんでしょうか。」
メリザに問いかける。
「ちょっと見てくるわ。ご飯任せたよ。」
メリザが手に持っていたフライパンを置いて、船内の方へと向かって行った。
一体何が起こったというのか。
こんな所でのこのこと、ご飯を作っている訳にもいかないので、こっそりと船内を伺う。
だが、船内には誰もいなかった。
という事は甲板か。
フォックスは慌てて、甲板が見渡せる窓を覗き込む。
そこにいたのは、船だった。
彼らは襲撃していたのだ。
しかし、戦っている様子は見えない。
と思うと、ニックが何かを抱えて、その船の船内から出て来る。
それに続いてエマやクリスも現れる。
さらに後ろからは敵も来ている。
これは戦闘シーンが見れるチャンスかも知れない、と思ったが、一向に戦う気配は無く、自分達の船に戻ってきた。
そして、列の最後にいたトーマスがこの船に乗りこむ。
その時だった。
ドカァン!
敵船と思わしき船が跡形も無く、吹き飛ぶ様はある意味で爽快な光景であった。
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