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第七話 標的
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「やってくれるな、アーマン大佐ァ!」
木の影から現れたのは、スペンサー島の王、エドワード二世だった。
「なぜあんたがここにいるんだ!」
「はっはっはっ、愚かだな。アーマン。お前の計画などお見通しだ!」
エドワード二世がニヤニヤと笑う。
「アーマン軍及び、海賊共、全て殲滅せよ!」
スペンサー島軍の一斉砲撃が始まる。
不味い。
このままでは自分もやられてしまう。
最早フォックスはスペンサー島にとって味方では無い。
あのキートソン帝国が動いているとなれば、最早説得など意味が無い。
「フォックス!あんた一人で逃げる気?早くついてきな!」
メリザがそう言う。
フォックスは一瞬怪訝に感じたが、すぐにその意味を理解した。
この国にはフォックスの味方など存在しない。
信頼するアーマン大佐は、フォックスの敵どころかスペンサー島までを敵に回した。
肝心のスペンサー島も海賊だという認識しかしていない。
だが、だからといって単独で行動した所でフォックスにはどうする事も出来ない。
要するに、海賊について行く以外の選択肢など存在しないのだ。
それを見越しての発言という訳だ。
アーマン軍がスペンサー島軍に対し抵抗をした為、海賊一行は簡単にその場を逃れ、王宮付近の森を抜けた。
「想定外の事態だ。いいかお前ら。この国にいる軍人の全てが敵だ。覚悟しろ。ここからは厳しい戦いになるぞ。」
ニックがそう言う。
戦局はかなり厳しい。
まさにその通りだった。
マーランド島軍、スペンサー島軍、アーマン軍、海賊軍。
四陣営がスペンサー島内で争っている中、一番戦力が無く、尚且つ、全陣営から一番の標的にされている海賊軍。
「今から西海岸へ向かう。」
ニックが西の方角を指差しながら言う。
「何故今西海岸に行くんだ!あそこはアーマン軍とスペンサー島軍が戦っている最中だと聞かなかったのか!」
フォックスが問う。
「ああ分かってる。だが、西海岸にどうしても行かなきゃならない。頼りになる助っ人を呼んでるんだ。」
「助っ人?」
四面楚歌の海賊軍に手助けをする者がいるというのか。
「俺達は元々、マーランドの奴らが言う事なんて信用しちゃいなかったんだ。俺達もそこまで馬鹿じゃ無いから、この日の為にこっちも色々手を打ってたんだ。ダッケ島とヨーケ島に行ったろ?任務はどちらも悪徳な工場の爆破と、武器の回収だった。だが実はあの工場はマーランド島政府主導のダッケ島やヨーケ島の人間を奴隷の用に扱う施設だった。それが、ある時、あかるみに出そうになったんだ。そこで、証拠隠滅の為に、工場爆破を依頼された。」
「マーランド政府が奴隷を…という事は、ダッケ島、ヨーケ島からすれば、人々を苦しめる工場を爆破すれば、恨まれるどころか、感謝されるって訳か!」
わざわざ外から来て、憎き工場を焼き払って貰える、さぞかし海賊達が英雄の様に見えたことだろう。
「そうだ。それを見越した俺は、島の王に秘密裏に交渉を行った。爆破する代わりに、スペンサー島での戦いにて、援護をして欲しいとな。快諾だったよ。決戦の日、西海岸より、援軍を送り込むとな。」
「じゃあ、西海岸にはダッケ島、ヨーケ島軍が上陸していて、味方をして貰えると、そういう事だな。」
どの程度の兵力か定かでは無いが、この状況を打破するには援軍は必至だ。
「とにかく時間が無い。急ぐぞ!」
ニックが先陣を切って走る。
ドォン!
王宮の森から西海岸まで丁度中間地点になるクワイエット広場に到達した所で、フォックスは何者かによって狙撃を受ける。
間一髪でかわしたが、危ない所だった。
「誰だ!」
辺りを見回すと、そこには軍服を着た男が立っていた。
だが、その軍服はスペンサー島軍のモノではなく明らかにマーランド島軍のモノだった。
まさか!?
「少佐!海賊を発見しました!」
最悪の事態だ。
援軍と合流する前にマーランド島軍に見つかるとは。
「お前ら!全速力で逃げろ!」
ニックが叫ぶ。
フォックスは力いっぱい走る。
後ろからはもうすでに追っ手が来ている。
何か足止めは出来ないのか。
そうだ。
フォックスは船体爆破用の強力な爆弾を持っていた。
その余りがある。
これを使えば足止めが出来るはずだ。
だが、フォックスが爆弾を投げようとした時、横を走っていたジェイムスに声を掛けられる。
「おいフォックス。そいつを俺に貸せ。俺はこう見えても爆弾に関してはプロだ。」
そう言われ、素直にジェイムスに爆弾を渡す。
一体どういう使い方をするんだろう。
単純な爆弾ではあるが自分でプロというぐらいなのだから、何か有効な策でもあるのだろう。
「まずい!挟まれたぞ!」
クリスが叫ぶ。
一行は足を止める。
マーランド島軍も歩調を緩め、ゆっくりと銃を向けながら近付いて来る。
前方にて待ち伏せをされたのだ。
まんまと罠に掛かってしまった。
「さあ手を上げろ。もうお前らに逃げ場は無い。覚悟しろ!」
フォックスは大人しく手を上げる。
今度こそやられたか。
畜生。
ここまでか。
フォックスが覚悟した瞬間、前方のマーランド島軍の方角から声がした。
「じゃあなお前ら、健闘を祈る。」
ドカァン!
フォックスは暫く、開いた口が塞がらなかった。
木の影から現れたのは、スペンサー島の王、エドワード二世だった。
「なぜあんたがここにいるんだ!」
「はっはっはっ、愚かだな。アーマン。お前の計画などお見通しだ!」
エドワード二世がニヤニヤと笑う。
「アーマン軍及び、海賊共、全て殲滅せよ!」
スペンサー島軍の一斉砲撃が始まる。
不味い。
このままでは自分もやられてしまう。
最早フォックスはスペンサー島にとって味方では無い。
あのキートソン帝国が動いているとなれば、最早説得など意味が無い。
「フォックス!あんた一人で逃げる気?早くついてきな!」
メリザがそう言う。
フォックスは一瞬怪訝に感じたが、すぐにその意味を理解した。
この国にはフォックスの味方など存在しない。
信頼するアーマン大佐は、フォックスの敵どころかスペンサー島までを敵に回した。
肝心のスペンサー島も海賊だという認識しかしていない。
だが、だからといって単独で行動した所でフォックスにはどうする事も出来ない。
要するに、海賊について行く以外の選択肢など存在しないのだ。
それを見越しての発言という訳だ。
アーマン軍がスペンサー島軍に対し抵抗をした為、海賊一行は簡単にその場を逃れ、王宮付近の森を抜けた。
「想定外の事態だ。いいかお前ら。この国にいる軍人の全てが敵だ。覚悟しろ。ここからは厳しい戦いになるぞ。」
ニックがそう言う。
戦局はかなり厳しい。
まさにその通りだった。
マーランド島軍、スペンサー島軍、アーマン軍、海賊軍。
四陣営がスペンサー島内で争っている中、一番戦力が無く、尚且つ、全陣営から一番の標的にされている海賊軍。
「今から西海岸へ向かう。」
ニックが西の方角を指差しながら言う。
「何故今西海岸に行くんだ!あそこはアーマン軍とスペンサー島軍が戦っている最中だと聞かなかったのか!」
フォックスが問う。
「ああ分かってる。だが、西海岸にどうしても行かなきゃならない。頼りになる助っ人を呼んでるんだ。」
「助っ人?」
四面楚歌の海賊軍に手助けをする者がいるというのか。
「俺達は元々、マーランドの奴らが言う事なんて信用しちゃいなかったんだ。俺達もそこまで馬鹿じゃ無いから、この日の為にこっちも色々手を打ってたんだ。ダッケ島とヨーケ島に行ったろ?任務はどちらも悪徳な工場の爆破と、武器の回収だった。だが実はあの工場はマーランド島政府主導のダッケ島やヨーケ島の人間を奴隷の用に扱う施設だった。それが、ある時、あかるみに出そうになったんだ。そこで、証拠隠滅の為に、工場爆破を依頼された。」
「マーランド政府が奴隷を…という事は、ダッケ島、ヨーケ島からすれば、人々を苦しめる工場を爆破すれば、恨まれるどころか、感謝されるって訳か!」
わざわざ外から来て、憎き工場を焼き払って貰える、さぞかし海賊達が英雄の様に見えたことだろう。
「そうだ。それを見越した俺は、島の王に秘密裏に交渉を行った。爆破する代わりに、スペンサー島での戦いにて、援護をして欲しいとな。快諾だったよ。決戦の日、西海岸より、援軍を送り込むとな。」
「じゃあ、西海岸にはダッケ島、ヨーケ島軍が上陸していて、味方をして貰えると、そういう事だな。」
どの程度の兵力か定かでは無いが、この状況を打破するには援軍は必至だ。
「とにかく時間が無い。急ぐぞ!」
ニックが先陣を切って走る。
ドォン!
王宮の森から西海岸まで丁度中間地点になるクワイエット広場に到達した所で、フォックスは何者かによって狙撃を受ける。
間一髪でかわしたが、危ない所だった。
「誰だ!」
辺りを見回すと、そこには軍服を着た男が立っていた。
だが、その軍服はスペンサー島軍のモノではなく明らかにマーランド島軍のモノだった。
まさか!?
「少佐!海賊を発見しました!」
最悪の事態だ。
援軍と合流する前にマーランド島軍に見つかるとは。
「お前ら!全速力で逃げろ!」
ニックが叫ぶ。
フォックスは力いっぱい走る。
後ろからはもうすでに追っ手が来ている。
何か足止めは出来ないのか。
そうだ。
フォックスは船体爆破用の強力な爆弾を持っていた。
その余りがある。
これを使えば足止めが出来るはずだ。
だが、フォックスが爆弾を投げようとした時、横を走っていたジェイムスに声を掛けられる。
「おいフォックス。そいつを俺に貸せ。俺はこう見えても爆弾に関してはプロだ。」
そう言われ、素直にジェイムスに爆弾を渡す。
一体どういう使い方をするんだろう。
単純な爆弾ではあるが自分でプロというぐらいなのだから、何か有効な策でもあるのだろう。
「まずい!挟まれたぞ!」
クリスが叫ぶ。
一行は足を止める。
マーランド島軍も歩調を緩め、ゆっくりと銃を向けながら近付いて来る。
前方にて待ち伏せをされたのだ。
まんまと罠に掛かってしまった。
「さあ手を上げろ。もうお前らに逃げ場は無い。覚悟しろ!」
フォックスは大人しく手を上げる。
今度こそやられたか。
畜生。
ここまでか。
フォックスが覚悟した瞬間、前方のマーランド島軍の方角から声がした。
「じゃあなお前ら、健闘を祈る。」
ドカァン!
フォックスは暫く、開いた口が塞がらなかった。
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