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アルシア移住
クラーケンを倒したのは私です
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私はのんびりと穏やかな海を眺めていた。
まあまあ揺れる船内だけれど、晴れ渡る空の下で潮風にあたってる方が気分がいいからね。
──現在、ネイシア大陸の最南端であるフェリカ共和国から出発したところ。
目的地のアルシア王国は北部。
フェリカの酒場で『両国の間に凶悪な大森林がある、陸路はオススメ出来ない』とアドバイスを受けたから、素直に船でアルシアに向かっていると言うわけ。
転移で行こうと思ってたの、最初。
その場所自体は2000年くらい前に行ったことあるから、転移で行く方が簡単でしょ?
ただ……
目的地は出来て800年程度の新しい国だから、ちょっと問題がある。
他大陸の情報通から仕入れた話によると、ルールが細かくて結構厳しいらしい。
他の国は緩い感じで好き勝手に行き来出来るけど、アルシアは違う。
不法入国したら、何も出来ない模様。
転移はアウトだろう。
まず、国民証と言うものが無いと宿屋には泊まれないし家も借りれない。
移動の馬車も、買い物もだ。
つまり日常生活するのも大変になる……。
なので、スローライフを目指すなら正規ルートで入国管理所に行って、国民証を発行してもらわないとって事。
問題無ければ銀貨5枚で買えるらしい。
(問題、これが大問題なのよね……)
私は前世が日本人だった。
うん、ライトノベル大好きだった熟女。
自分がエルフとして異世界転生したって知った時、内心「勝った……!」と思ったものよ。
ものすごい美形で強い!……のは良いの。
だってエルフだし。
私のイメージでは──エルフは無駄な殺生は好まず、自然と共にスローライフ。
仲間意識強めで、人間からはちょっと距離を置かれているけど関係は良好。
戦わせれば強いけれど、争いは好まず──
鹿とかリスを連れて、森の恵みであるナッツとか、野菜果物で穏やかな生活をしている……というものだった。
実際はどうだったかって?
そうね、まず仲間意識はない。
完全なる個人主義。
目的のためなら陰謀、暗殺、謀略が当たり前。
気に入らない事があれば火を放ち、虐殺。
弱肉強食、残虐非道、何というか良心という概念がない。
お肉大好きだし、おまけに短気。
世界中の種族から蛇蝎のごとく嫌われてるんだよね。
(まさに邪神のような扱いよ?)
面白いことに、私の身体は脳を含めてこの世界の『エルフ』なのだ。
だから残酷で冷酷な部分も多々持ち合わせているし、必要だったら非道な事をしても『やられる方が悪いでしょ?』って思えるエルフ成分多めで構成されているのも事実。
だけど、心というか魂は日本人。
この部分が、正しいエルフとして生きていくのを許さないのよ。
媚びる気はさらさら無いけど、進んで争う事はしたくない。
そう、スローライフがしたいんです。
私は光を反射して煌めく海面を眺めて、新しい国に想いを馳せた。
(エルフでも入国出来ますように!)
もはや居もしない神に祈るしかない。
ちなみにこの世界……神の概念は、ある。
フィアン神って神様が主神。
だけど、この世界にそういう存在はいないと思うのよ。
むしろ、エルフがいちばん神としての概念に近いんじゃないかしらね?
そもそも──もし神がいるなら、エルフはもうちょっとヤバさ抑えめで作られてたと思う。
だけど、エルフが神枠なら。
なんか納得出来るのよねぇ。
エルフ族は他種族から、歩く災厄とか世紀末種族とか言われて本当に酷い扱いなのだ。
否定出来ないのもモヤモヤポイントだし。
やはり、神っていうか邪神……?
「クラーケンが出たぞー!」
船首の方で騒ぎが起こっている。
チラッと見ると、まだ遠いけど船の進路状にクラーケン居るね。
こっち向かってきてるわ。
クラーケンは大きいから、船は間違いなく沈んじゃうだろうね。
(また港から船に乗るのはめんどくさいわね)
私は物陰から、こっそり圧縮した雷をクラーケンに落とした。
「え?雷?こんな晴天に?」
「神よ……感謝します」
「クラーケンが黒焦げに……いや真っ赤に……?」
船員と乗客は大騒ぎだ。
人間達──この世界に神などいないのよ?
しいて言うなら、今のは私が神だよね!
言うつもりは無いけど。
人間に擬装中の私は、心の中でそう思った。
で、この船は3日でアルシアに着く。
豪華客船ではないので雑魚寝。
そこらにいる、田舎の娘っぽい顔立ちに擬装しているから変なトラブルもないのよ。
大好きだった小説やアニメ登場人物って、特殊な役で意図的に醜悪に書かれてるキャラを抜いたら、全員美形だけどさ。
異世界でも、現実はそんな事無いの。
美しい人も居るけど、そうじゃない人の方が多いのよ。
もちろん地球と同じで、美の基準も国や種族で全然違うけれど。
結局……この世界で平穏に生きたいなら、普通が一番平和だと思う。
秩序ある人間社会ですら、可愛い子や美人はすぐ誘拐されちゃうし見返り無しの親切なんかほぼ無い世界だからね。
つまるところ、とても世知辛いのだ。
ところで、クラーケンってタコよね?
イカだったかしら。
(多分……タコだったかなぁ……)
──アルシアにタコ焼きがあると良いのだけれど。
巨体はすっかり沈んでしまって、海は何事もなかったように凪いでいる。
クラーケンがいた地点を見やり、私はため息をついた。
(和食はそこそこポピュラーだけど──まず、入国出来るかどうか。この世界のエルフって)
──嫌われすぎている。
まあまあ揺れる船内だけれど、晴れ渡る空の下で潮風にあたってる方が気分がいいからね。
──現在、ネイシア大陸の最南端であるフェリカ共和国から出発したところ。
目的地のアルシア王国は北部。
フェリカの酒場で『両国の間に凶悪な大森林がある、陸路はオススメ出来ない』とアドバイスを受けたから、素直に船でアルシアに向かっていると言うわけ。
転移で行こうと思ってたの、最初。
その場所自体は2000年くらい前に行ったことあるから、転移で行く方が簡単でしょ?
ただ……
目的地は出来て800年程度の新しい国だから、ちょっと問題がある。
他大陸の情報通から仕入れた話によると、ルールが細かくて結構厳しいらしい。
他の国は緩い感じで好き勝手に行き来出来るけど、アルシアは違う。
不法入国したら、何も出来ない模様。
転移はアウトだろう。
まず、国民証と言うものが無いと宿屋には泊まれないし家も借りれない。
移動の馬車も、買い物もだ。
つまり日常生活するのも大変になる……。
なので、スローライフを目指すなら正規ルートで入国管理所に行って、国民証を発行してもらわないとって事。
問題無ければ銀貨5枚で買えるらしい。
(問題、これが大問題なのよね……)
私は前世が日本人だった。
うん、ライトノベル大好きだった熟女。
自分がエルフとして異世界転生したって知った時、内心「勝った……!」と思ったものよ。
ものすごい美形で強い!……のは良いの。
だってエルフだし。
私のイメージでは──エルフは無駄な殺生は好まず、自然と共にスローライフ。
仲間意識強めで、人間からはちょっと距離を置かれているけど関係は良好。
戦わせれば強いけれど、争いは好まず──
鹿とかリスを連れて、森の恵みであるナッツとか、野菜果物で穏やかな生活をしている……というものだった。
実際はどうだったかって?
そうね、まず仲間意識はない。
完全なる個人主義。
目的のためなら陰謀、暗殺、謀略が当たり前。
気に入らない事があれば火を放ち、虐殺。
弱肉強食、残虐非道、何というか良心という概念がない。
お肉大好きだし、おまけに短気。
世界中の種族から蛇蝎のごとく嫌われてるんだよね。
(まさに邪神のような扱いよ?)
面白いことに、私の身体は脳を含めてこの世界の『エルフ』なのだ。
だから残酷で冷酷な部分も多々持ち合わせているし、必要だったら非道な事をしても『やられる方が悪いでしょ?』って思えるエルフ成分多めで構成されているのも事実。
だけど、心というか魂は日本人。
この部分が、正しいエルフとして生きていくのを許さないのよ。
媚びる気はさらさら無いけど、進んで争う事はしたくない。
そう、スローライフがしたいんです。
私は光を反射して煌めく海面を眺めて、新しい国に想いを馳せた。
(エルフでも入国出来ますように!)
もはや居もしない神に祈るしかない。
ちなみにこの世界……神の概念は、ある。
フィアン神って神様が主神。
だけど、この世界にそういう存在はいないと思うのよ。
むしろ、エルフがいちばん神としての概念に近いんじゃないかしらね?
そもそも──もし神がいるなら、エルフはもうちょっとヤバさ抑えめで作られてたと思う。
だけど、エルフが神枠なら。
なんか納得出来るのよねぇ。
エルフ族は他種族から、歩く災厄とか世紀末種族とか言われて本当に酷い扱いなのだ。
否定出来ないのもモヤモヤポイントだし。
やはり、神っていうか邪神……?
「クラーケンが出たぞー!」
船首の方で騒ぎが起こっている。
チラッと見ると、まだ遠いけど船の進路状にクラーケン居るね。
こっち向かってきてるわ。
クラーケンは大きいから、船は間違いなく沈んじゃうだろうね。
(また港から船に乗るのはめんどくさいわね)
私は物陰から、こっそり圧縮した雷をクラーケンに落とした。
「え?雷?こんな晴天に?」
「神よ……感謝します」
「クラーケンが黒焦げに……いや真っ赤に……?」
船員と乗客は大騒ぎだ。
人間達──この世界に神などいないのよ?
しいて言うなら、今のは私が神だよね!
言うつもりは無いけど。
人間に擬装中の私は、心の中でそう思った。
で、この船は3日でアルシアに着く。
豪華客船ではないので雑魚寝。
そこらにいる、田舎の娘っぽい顔立ちに擬装しているから変なトラブルもないのよ。
大好きだった小説やアニメ登場人物って、特殊な役で意図的に醜悪に書かれてるキャラを抜いたら、全員美形だけどさ。
異世界でも、現実はそんな事無いの。
美しい人も居るけど、そうじゃない人の方が多いのよ。
もちろん地球と同じで、美の基準も国や種族で全然違うけれど。
結局……この世界で平穏に生きたいなら、普通が一番平和だと思う。
秩序ある人間社会ですら、可愛い子や美人はすぐ誘拐されちゃうし見返り無しの親切なんかほぼ無い世界だからね。
つまるところ、とても世知辛いのだ。
ところで、クラーケンってタコよね?
イカだったかしら。
(多分……タコだったかなぁ……)
──アルシアにタコ焼きがあると良いのだけれど。
巨体はすっかり沈んでしまって、海は何事もなかったように凪いでいる。
クラーケンがいた地点を見やり、私はため息をついた。
(和食はそこそこポピュラーだけど──まず、入国出来るかどうか。この世界のエルフって)
──嫌われすぎている。
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