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アルシア移住
物件購入
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ゼライさんは土地家屋込みで白金貨十五枚で契約可能、と言った。
「この通り建材は昔ながらの良い物で、劣化もあまり無いですし……周囲に人が居ないのを好む方もいらっしゃるのでね」
「なので、売れない厄介者の物件ではないんです。ええ、そうです、店頭では白金貨二十一枚で紹介してるんですよ」
「安めに売っていただけると……?」
──何かの罠だろうか?
「そうですそうです、エルフさんですからね……何もなければそのままで良いんで、はい」
ゼライさんは、言いにくそうな様子で話を続けた。
耳がせわしなく動いている。
「強制追放になった場合なんですよ…ええ …結局トータルしちゃうと白金貨1枚分しかお値引きにならないんですが、保険と言いますか……リスク管理の名目で5枚いただくことになりますし……」
──なるほど、名目を変えるだけか。
騙す気ではないみたい?
「今後、ジューン様が何らかの事情で追放、再入国不可となった場合に限ってですが…はい、正式に国としての発令が出た場合ですね」
ゼライさんは二十一枚の物件を十五枚で売る代わりに、五枚で期限無しの保険に入ってくれれば良いと言う。
──実質預り金とか敷金って事ね。
戻ってこないけど。
で、私がなんかやらかして国外追放になった場合はゼライ不動産に自動的に所有権が移る、と言う契約になるという。
──悪くない。
エルフだからこそ身に沁みる。
買える、と言うだけで好条件だ。
「それで良いです」
私は食い気味に答えた。
「では事務所に戻って契約致しましょう」
うえー、また一時間歩くのか。
でも、転移出来ると知られるのは非常に厄介な事に巻き込まれがちだ。
ここは素直におとなしく森を抜けて、一時間トコトコと歩くことにした。
迂闊に手の内を晒して「あれ?私またなんかやっちゃいました?」と言うのは実にいただけない。
頭を抱えながらアレコレ世話を焼き、後始末に奔走してくれる親切で善良な人なんて、おとぎ話の中だけ。
現実はそんな都合よく展開するわけがないのだ。
悪人か権力者に良いように利用されてポイ、が当たり前なのよ。
この世界は結構世知辛いのだ。
再び通った森の中は、ひんやりと湿った空気に豊穣なる土の薫りを漂わせてどこか懐かしく、気持ちの良いものだった。
「森ですか?ここはグレディス領の保有領地になるので、個人の土地じゃないです……なので無くなることは無いですね」
ふうん。
入国管理所のあるこの土地は、グレディス領と言うのね。
私はまだ、そんなことすら知らないのだ。
知らないことがいっぱいと言うのはワクワクするわね。
「ゼライさん、もちろんお給金は出すんだけど何ヵ月かでいいから──この国の事について教えてくれる人手配できる?」
あ、学問的なことじゃなくてね。
「先生は、年配の百戦錬磨な主婦がいいわ」
まずは、そういう当たり前とされている事が知りたいのだから。
ゼライさんは「探しては見るが期待はしないでくださいね……」と気は進まなさそうだったが、一応請け負ってくれた。
事務所に戻って、お互いよく確認して魔法契約。
宝貨二枚と白金貨二十枚とどっちが良い?と聞いたら白金貨一択ですね、とゼライさんが初めて笑顔になった。
「宝貨は綺麗ですけど、使える場所が無さすぎてね……庶民は小さいお金の方が絶対いいですよ、ハハハ」
そりゃそうよね。
例えば一千万札があったとして。
それで買い物したって、すぐにお釣り出せる人も居ないだろうから。
使い勝手悪すぎるってやつだ。
──宝の持ち腐れ。
宝貨ってそういう立ち位置の貨幣なのよね。
私とゼライさんはお金と鍵、魔法契約書を交換して用事は全て完了した。
入国翌日に家ゲットとは幸先が良い。
しばらくホームレスになるんじゃないかと覚悟していただけに!
物陰で平民の女性風に見た目を変えて…肉を食べに行かなくちゃね。
この姿はメインで使っていかなきゃいけなさそうなので名前を決めなくてはいけないな。
今は歴で五の月だから…こちらでもよくある名前のメイでいいだろう。
私の家で住み込みで、雑用してるって設定にしとこ。
こういう設定は意外と大事なのよね。
──とっさに変な言い逃れをしたら矛盾が出るから、収拾つかなくなっちゃう。
長生きの豆知識よ?
私はゼライさんに教えて貰った肉の美味しい御店に向かって歩き出した。
「とりあえず肉!」
私は独り言で宣言をし、そてが可笑しくてクスクス笑いながら歩き出した。
「この通り建材は昔ながらの良い物で、劣化もあまり無いですし……周囲に人が居ないのを好む方もいらっしゃるのでね」
「なので、売れない厄介者の物件ではないんです。ええ、そうです、店頭では白金貨二十一枚で紹介してるんですよ」
「安めに売っていただけると……?」
──何かの罠だろうか?
「そうですそうです、エルフさんですからね……何もなければそのままで良いんで、はい」
ゼライさんは、言いにくそうな様子で話を続けた。
耳がせわしなく動いている。
「強制追放になった場合なんですよ…ええ …結局トータルしちゃうと白金貨1枚分しかお値引きにならないんですが、保険と言いますか……リスク管理の名目で5枚いただくことになりますし……」
──なるほど、名目を変えるだけか。
騙す気ではないみたい?
「今後、ジューン様が何らかの事情で追放、再入国不可となった場合に限ってですが…はい、正式に国としての発令が出た場合ですね」
ゼライさんは二十一枚の物件を十五枚で売る代わりに、五枚で期限無しの保険に入ってくれれば良いと言う。
──実質預り金とか敷金って事ね。
戻ってこないけど。
で、私がなんかやらかして国外追放になった場合はゼライ不動産に自動的に所有権が移る、と言う契約になるという。
──悪くない。
エルフだからこそ身に沁みる。
買える、と言うだけで好条件だ。
「それで良いです」
私は食い気味に答えた。
「では事務所に戻って契約致しましょう」
うえー、また一時間歩くのか。
でも、転移出来ると知られるのは非常に厄介な事に巻き込まれがちだ。
ここは素直におとなしく森を抜けて、一時間トコトコと歩くことにした。
迂闊に手の内を晒して「あれ?私またなんかやっちゃいました?」と言うのは実にいただけない。
頭を抱えながらアレコレ世話を焼き、後始末に奔走してくれる親切で善良な人なんて、おとぎ話の中だけ。
現実はそんな都合よく展開するわけがないのだ。
悪人か権力者に良いように利用されてポイ、が当たり前なのよ。
この世界は結構世知辛いのだ。
再び通った森の中は、ひんやりと湿った空気に豊穣なる土の薫りを漂わせてどこか懐かしく、気持ちの良いものだった。
「森ですか?ここはグレディス領の保有領地になるので、個人の土地じゃないです……なので無くなることは無いですね」
ふうん。
入国管理所のあるこの土地は、グレディス領と言うのね。
私はまだ、そんなことすら知らないのだ。
知らないことがいっぱいと言うのはワクワクするわね。
「ゼライさん、もちろんお給金は出すんだけど何ヵ月かでいいから──この国の事について教えてくれる人手配できる?」
あ、学問的なことじゃなくてね。
「先生は、年配の百戦錬磨な主婦がいいわ」
まずは、そういう当たり前とされている事が知りたいのだから。
ゼライさんは「探しては見るが期待はしないでくださいね……」と気は進まなさそうだったが、一応請け負ってくれた。
事務所に戻って、お互いよく確認して魔法契約。
宝貨二枚と白金貨二十枚とどっちが良い?と聞いたら白金貨一択ですね、とゼライさんが初めて笑顔になった。
「宝貨は綺麗ですけど、使える場所が無さすぎてね……庶民は小さいお金の方が絶対いいですよ、ハハハ」
そりゃそうよね。
例えば一千万札があったとして。
それで買い物したって、すぐにお釣り出せる人も居ないだろうから。
使い勝手悪すぎるってやつだ。
──宝の持ち腐れ。
宝貨ってそういう立ち位置の貨幣なのよね。
私とゼライさんはお金と鍵、魔法契約書を交換して用事は全て完了した。
入国翌日に家ゲットとは幸先が良い。
しばらくホームレスになるんじゃないかと覚悟していただけに!
物陰で平民の女性風に見た目を変えて…肉を食べに行かなくちゃね。
この姿はメインで使っていかなきゃいけなさそうなので名前を決めなくてはいけないな。
今は歴で五の月だから…こちらでもよくある名前のメイでいいだろう。
私の家で住み込みで、雑用してるって設定にしとこ。
こういう設定は意外と大事なのよね。
──とっさに変な言い逃れをしたら矛盾が出るから、収拾つかなくなっちゃう。
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