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アルシア移住
ケヴェと青いピーヌ
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──あったあった。
十人も入れなさそうな店の前に木製の立て看板で【ヴィルヌの輪】と書いてある。
自信ありそうな名前だ。
ヴィルヌと言うのは食と酒の神とされている。
もちろん、空想の神話のね。
人差し指と親指でつまみ食いする時に指の間に輪が出来るじゃない?
これがヴィルヌの輪と言うものなんだけど。
おつまみのことを、ヴィルヌの輪と称してる事が多い。
つまりこの店は夜には酒場になるのだろう。
ちなみに乾杯の掛け声は【ヴィルヌ】なので、酒神ヴィルヌは世界で一番名前を呼ばれてる神だと思うわ。
あくまでも宗教上の話であり、現実に神がいるのかどうか?となると……私としては【わからない】としか言えないのだけれどね。
これには諸説あるので何が事実かはわからないけど何かの文献で【もし神が実在するなら何故エルフがこの世に存在しているのか?】と言うのをみたことがある。
個人的には一番信憑性ある説だと思う。
ヴィルヌの輪へ入ってみると、席は後二つしか空いておらずギリギリセーフだったみたい。
周囲を見てみると、どのテーブルにも素焼きのカップが置かれていて
みんなそこにあらかじめお金をいれておき、注文と同時に給仕スタッフがカップからお金を持っていくスタイルみたい。
銅貨を多め、白銅貨を数枚入れておけば問題なさそう。
人間の若い男性が注文を取りに来たので聞いてみると、ランチは肉か魚の二種類しかなかったので迷わず肉を選択。
飲み物は?と質問されたのでオススメはあるかと聞き返したら
定番は赤ワインだが、今日の肉はスパイシーなので地酒のケヴェにたっぷり柑橘類を絞った物も合うと教えて貰った。
もちろん飲んだことが無かったのでケヴェを頼むよね。
ウエイターはカップから白銅貨一枚と銅貨八枚を取り出し、氷が入ったグラスに半分ほどのケヴェ、小さな水差しとピーヌのくし切りを数切れ盛った物を持ってきた。
ケヴェは初めてですか?の問いに頷くと、丁寧な案内があった。
「夜だとそのまま飲む方も多いんですが、食事に合わせるならピーヌを絞った方が美味しいと言う人が多いです。水はお好みで。入れると色が変わるのと、ほんの少しとろみが出るので女性は水割りが好きな方が多いです」
ピーヌってよく見る果実で、ほぼレモンだ。
未熟だと緑だし熟してると黄色い。
でも、小皿に盛られたピーヌは青かった。
緑じゃない、空色だった。
「ええー、青い……これは美しい……」
思わず独り言が出ちゃうくらい果肉まで綺麗なスカイブルー。
これはどうして青いのか、気になる。
ケヴェをそのままちょっと飲む。
蒸留酒かな?
微かに木の香りがして、喉ごしは火を飲んでいるかのよう。
ピーヌは普通のピーヌより酸味が柔らかく香りも強めだが、まあ……レモンだ。
惜しみ無くギュッと絞り入れてみたが、果汁は透明だった。
量が多ければ青くなるんかなと思いながら飲んでみると、ふわりとピーヌの香りが抜けた後にケヴェ。
そのまま飲むよりハーブや木の香りがより引き立ち、最後はほんの少しの甘味が舌の上を通りすぎていく。
これは至福の味だ。
アルシアに来て良かった……!
当然の如く肉が来る前に無くなったので、二杯目を追加。
ピーヌ付きだと銅貨七枚。
ピーヌ無しだと銅貨四枚。
…このピーヌ、三枚も差が付くとはお高いピーヌなんだな。
──ピーヌは小皿にまだあったので、無しで。
二杯目は、ピーヌと水で飲んでみた。
ケヴェに水を注ぐと灰色っぽく濁り、想像と違った色だったけれど……飲んでみると、本当に舌触りがトロリとしている。
先程は感じなかった苦味が出てきたように思うが、ピーヌの香りと相まってとても飲みやすい。
──これは危険な飲み物だ。
スイスイと飲めてしまう。
この飲み方が一番ハーブの甘い香りを感じる飲み方のようで、同じ酒なのに全然違う顔を見せるケヴェ。
帰りに酒屋に寄らなくてはならないわね。
飲み干して三杯目を飲むか、肉を待つべきか。
私は食いしん坊ではあるが、胃袋はみたまんまの容量しかないのだ。
エルフの理不尽さが、胃袋にも適用されてほしいと何度思ったことか。
悩んでるうちに、笑顔のウエイターが「お待たせしましたー!」と料理を持ってきたので
結局、おかわりはせずに済んだ。
「今日のランチはコケットの香草焼きです」
鉄皿の上でジュウジュウ音をたてているコケットの香草焼き!
脇に芋と豆の茹でたものが添えられている。
薄くスライスされた固いパン3枚、小鉢のサラダと澄んだスープを置いてウエイターは「ごゆっくりー」と言って立ち去った。
肉厚なコケットの香草焼きにナイフを入れ、パリパリの皮と柔らかくジューシーな肉を楽しむ。
惜しみ無く使われている香辛料と香草。
塩加減も最高。
──ゼライさんは良い店を教えてくれたわ。
秘蔵のメア・ビーの黄金巣蜜をプレゼントしても良いくらいだ。
熊獣人は甘いもの好きな人が多いし、感謝は物で示す方が手っ取り早いからね。
私はお行儀悪いのを承知で小さいノートにケヴェ、青いピーヌ、巣蜜とメモをして
食事に戻った。
肉が最高なのは当然。
添えてある芋は良い意味で土の香りがして絶品。
豆はコケットの脂を吸って芋に絡み付いており、これはこれで単品でもいける。
サラダも新鮮なもので食べる度にシャクシャクと良い音がする。
パンはよくある食事パンだが、料理の邪魔をしないのでこれを選んだ店主は相当腕が良いんだろうなぁ…と思わせる組み合わせだ。
毎日通っても良いくらい、素晴らしいわ。
十人も入れなさそうな店の前に木製の立て看板で【ヴィルヌの輪】と書いてある。
自信ありそうな名前だ。
ヴィルヌと言うのは食と酒の神とされている。
もちろん、空想の神話のね。
人差し指と親指でつまみ食いする時に指の間に輪が出来るじゃない?
これがヴィルヌの輪と言うものなんだけど。
おつまみのことを、ヴィルヌの輪と称してる事が多い。
つまりこの店は夜には酒場になるのだろう。
ちなみに乾杯の掛け声は【ヴィルヌ】なので、酒神ヴィルヌは世界で一番名前を呼ばれてる神だと思うわ。
あくまでも宗教上の話であり、現実に神がいるのかどうか?となると……私としては【わからない】としか言えないのだけれどね。
これには諸説あるので何が事実かはわからないけど何かの文献で【もし神が実在するなら何故エルフがこの世に存在しているのか?】と言うのをみたことがある。
個人的には一番信憑性ある説だと思う。
ヴィルヌの輪へ入ってみると、席は後二つしか空いておらずギリギリセーフだったみたい。
周囲を見てみると、どのテーブルにも素焼きのカップが置かれていて
みんなそこにあらかじめお金をいれておき、注文と同時に給仕スタッフがカップからお金を持っていくスタイルみたい。
銅貨を多め、白銅貨を数枚入れておけば問題なさそう。
人間の若い男性が注文を取りに来たので聞いてみると、ランチは肉か魚の二種類しかなかったので迷わず肉を選択。
飲み物は?と質問されたのでオススメはあるかと聞き返したら
定番は赤ワインだが、今日の肉はスパイシーなので地酒のケヴェにたっぷり柑橘類を絞った物も合うと教えて貰った。
もちろん飲んだことが無かったのでケヴェを頼むよね。
ウエイターはカップから白銅貨一枚と銅貨八枚を取り出し、氷が入ったグラスに半分ほどのケヴェ、小さな水差しとピーヌのくし切りを数切れ盛った物を持ってきた。
ケヴェは初めてですか?の問いに頷くと、丁寧な案内があった。
「夜だとそのまま飲む方も多いんですが、食事に合わせるならピーヌを絞った方が美味しいと言う人が多いです。水はお好みで。入れると色が変わるのと、ほんの少しとろみが出るので女性は水割りが好きな方が多いです」
ピーヌってよく見る果実で、ほぼレモンだ。
未熟だと緑だし熟してると黄色い。
でも、小皿に盛られたピーヌは青かった。
緑じゃない、空色だった。
「ええー、青い……これは美しい……」
思わず独り言が出ちゃうくらい果肉まで綺麗なスカイブルー。
これはどうして青いのか、気になる。
ケヴェをそのままちょっと飲む。
蒸留酒かな?
微かに木の香りがして、喉ごしは火を飲んでいるかのよう。
ピーヌは普通のピーヌより酸味が柔らかく香りも強めだが、まあ……レモンだ。
惜しみ無くギュッと絞り入れてみたが、果汁は透明だった。
量が多ければ青くなるんかなと思いながら飲んでみると、ふわりとピーヌの香りが抜けた後にケヴェ。
そのまま飲むよりハーブや木の香りがより引き立ち、最後はほんの少しの甘味が舌の上を通りすぎていく。
これは至福の味だ。
アルシアに来て良かった……!
当然の如く肉が来る前に無くなったので、二杯目を追加。
ピーヌ付きだと銅貨七枚。
ピーヌ無しだと銅貨四枚。
…このピーヌ、三枚も差が付くとはお高いピーヌなんだな。
──ピーヌは小皿にまだあったので、無しで。
二杯目は、ピーヌと水で飲んでみた。
ケヴェに水を注ぐと灰色っぽく濁り、想像と違った色だったけれど……飲んでみると、本当に舌触りがトロリとしている。
先程は感じなかった苦味が出てきたように思うが、ピーヌの香りと相まってとても飲みやすい。
──これは危険な飲み物だ。
スイスイと飲めてしまう。
この飲み方が一番ハーブの甘い香りを感じる飲み方のようで、同じ酒なのに全然違う顔を見せるケヴェ。
帰りに酒屋に寄らなくてはならないわね。
飲み干して三杯目を飲むか、肉を待つべきか。
私は食いしん坊ではあるが、胃袋はみたまんまの容量しかないのだ。
エルフの理不尽さが、胃袋にも適用されてほしいと何度思ったことか。
悩んでるうちに、笑顔のウエイターが「お待たせしましたー!」と料理を持ってきたので
結局、おかわりはせずに済んだ。
「今日のランチはコケットの香草焼きです」
鉄皿の上でジュウジュウ音をたてているコケットの香草焼き!
脇に芋と豆の茹でたものが添えられている。
薄くスライスされた固いパン3枚、小鉢のサラダと澄んだスープを置いてウエイターは「ごゆっくりー」と言って立ち去った。
肉厚なコケットの香草焼きにナイフを入れ、パリパリの皮と柔らかくジューシーな肉を楽しむ。
惜しみ無く使われている香辛料と香草。
塩加減も最高。
──ゼライさんは良い店を教えてくれたわ。
秘蔵のメア・ビーの黄金巣蜜をプレゼントしても良いくらいだ。
熊獣人は甘いもの好きな人が多いし、感謝は物で示す方が手っ取り早いからね。
私はお行儀悪いのを承知で小さいノートにケヴェ、青いピーヌ、巣蜜とメモをして
食事に戻った。
肉が最高なのは当然。
添えてある芋は良い意味で土の香りがして絶品。
豆はコケットの脂を吸って芋に絡み付いており、これはこれで単品でもいける。
サラダも新鮮なもので食べる度にシャクシャクと良い音がする。
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