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アルシア移住
ちびっことお話
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翌日、陽が上りきってからようやく目が覚めた。
ソファーで寝落ちしてたらしい。
ワインの空瓶と皿。
後片付けしないで寝ると、起きた時にがっかりだ。
脂っぽい物を洗うのは面倒なので、魔法で洗浄を済ませることにした。
外に出て、穴だらけの庭を修復。
固定魔法で保護してたのに、ラスピが景気良く穴を掘りまくっていたからだ。
元通り可愛い野花の咲き乱れる庭にして、ガゼボでアイスコーヒーを楽しむ。
顔も洗ってないけど、誰も来ないし問題ない。
(メアリの所に行くべきか、明日にするか悩ましいなぁ)
ちょっと油断してエルフ時間で過ごすと、気が付いたら知り合い本人は死んじゃってて孫の代になってたりする。
人間とエルフは寿命が違いすぎて一日の重みが違うのが原因と思う。
自分の体感で言うと、エルフ同士だと……じゃあ近々また会いましょうって言うと百年位過ぎててもお久しぶりって感じにはならないのだ。
人間だと近々ってなると一ヶ月とかだもんね。
前世は人間だったけど、エルフの身体とエルフ社会で育った感覚の方が強いのでエルフ寄りになっちゃうのは仕方ない。
でも、そうするとどうしても人間から見たら怠惰に見えちゃうみたい。
選択肢としてはメアリ家に行くか、ギルドの依頼を受けられるようになったから、ギルドに行くか。
ちょっと早いけどペロティとラスピの様子を見に行くか。
そうだ、ニーヴだけは庭の出入り出来るようにしておこう。
なんかやらかして逃げ場が無くなったらちょっとかわいそうだしね。
こっちに連れて来ちゃったの私だし。
メア・バインに魔力をあげて、ついでに魔力水も撒いておいた。
熱帯雨林の植物だけど、こっちもそこそこ暑いからね。
結局、メアリの家に行く事にしてクリーム色のブラウスとオレンジ色のフレアスカートに着替えた。
昨日領主の執事がガーデンパーティーで出ていたお菓子を包んでくれていたので、メアリの子供達にちょうどいいだろう。
毒の有無は確認済みだ。
「ねえねえ、どうして生き物は鑑定が難しいの?」
そう聞いてきたのはメアリの次男。
なんでも近所の友達の兄か姉が、鑑定士としての仕事が決まったらしい。
おともだちからアレコレ聞いたんだろう。
「そうねぇ、ヒトと物には絶対的な違いがあるでしょ」
生きてるか、生きてないかね。
「例えば帽子を鑑定するとね、帽子、ムウルの毛糸って出てくるの。上手に鑑定するヒトはどの地方のムウルかもわかる。もっと上手なヒトは誰の持ち物かもわかる」
うんうん、と次男と下の子達が真剣に聞いている。
説明は苦手なんだけど出来るだけ簡単に済ませよう。
「生き物はね、その種類にもよるんだけど──秘密にしておきたい事がある生き物の鑑定はちょっと難しい」
「秘密ー?」
「例えば君を鑑定すると、名前と性別、年齢とかはわかるんだけど……もし君が名前を知られたくなくて違う名前を使ってたら、鑑定されるとどうなる?」
「名前がバレる!」
「そうだね。そのバレたくないって気持ちが鑑定の邪魔になるの」
「嫌だったらバレないってこと?」
「君が上手に隠せる魔法を持ってればバレないかもしれないけど、上手な鑑定士はそういう誤魔化しも突破してくるね」
「結局はバレるんじゃん!」
「上手な鑑定士ならね。知られたくないって思う気持ちが強いと鑑定の邪魔になるのは本当だよ。物の鑑定が簡単なのは、物が考えてないから」
「じゃあ物が考えてたら、鑑定の邪魔するって事?」
「いいとこ突くねえ…物に誰かが知られたくないって魔法をかけてたら鑑定の邪魔をするよ」
そこまで単純な理屈じゃないんだけどね。
まだ幼い子供達はこれ以上は理解できないだろう。
気を逸らすために私は黙って話を聞いていたメアリにお菓子の包みを差し出した。
「領主様のパーティーのお菓子だって? あんた達、手を洗って来な!」
子供達が井戸まで走っていった後、メアリは心配そうに聞いてきた。
「こんなにたくさん、いいのかい?」
私は昨日いっぱい食べてきたの、答えると
「ありがたくいただくとするよ。いつもお菓子をありがとうね、買わなくて済んで助かるよ」
メアリはケラケラと笑って菓子を皿に移した。
子供達が大騒ぎで食べてる間、私はいつも通りメアリと世間話をした。
王家の過去のスキャンダルや旬の野菜の話とか、子供の勉強についてとか、ただの雑談。
「学校にも行かせてやりたいんだけどね、こう人数が多いとね」
メアリは首を振りながら溜め息をついた。
この国は就労に関して年齢の制約がない。
幼児だって働いてもいいのだ。
現にメアリの下の子達は時々近所の農場でコケットの卵を集めたり、お庭の雑草を抜くお手伝いをしてお駄賃を貰っている。
農場側も繁忙期にお駄賃程度でちょっとした雑用を任せられるので、お互い助かってる図式だ。
勉強に関しては月に数回、領主が手配した先生が街の中心部に近い公園で無償で授業をする。
簡単な読み書きや計算を習えるようになってるんだって。
しっかり毎回通えてる子はあんまり居ないみたいだけどね。
家のお手伝いとか、身体が弱いとか色々な事情があるから。
それなりに稼ぎのある家の子は六歳位から十五歳位まで学校に行くし、もっと裕福な家の子は家庭教師。
十五歳から上の学校に行く子は本当に頭のいい子や裕福な家の子、貴族の子女で。
ほとんどの平民は十二~十五歳で定職につくのだとか。
二時間が過ぎたので次は数日後と言い、子供達に手を振ってメアリの家を出た。
鑑定魔法……意思ある物を見るのって意外と難しい。
魔力の量の差があれば力押しで鑑定出来てしまったり、隠蔽して見せたい情報だけしか見せないという事も出来る。
擬装魔法もあるし。
生命体の鑑定結果って鵜呑みにすると結構危険なのだ。
私自身は滅多に不意打ちで鑑定を仕掛けられて突破される事がない。
自分と魔力が拮抗してる相手以外は大丈夫だ。
そんな相手は滅多に居ないんだけどね。
だけど、0じゃない。
便利なようで、そうでもないのが鑑定魔法なのよね。
ソファーで寝落ちしてたらしい。
ワインの空瓶と皿。
後片付けしないで寝ると、起きた時にがっかりだ。
脂っぽい物を洗うのは面倒なので、魔法で洗浄を済ませることにした。
外に出て、穴だらけの庭を修復。
固定魔法で保護してたのに、ラスピが景気良く穴を掘りまくっていたからだ。
元通り可愛い野花の咲き乱れる庭にして、ガゼボでアイスコーヒーを楽しむ。
顔も洗ってないけど、誰も来ないし問題ない。
(メアリの所に行くべきか、明日にするか悩ましいなぁ)
ちょっと油断してエルフ時間で過ごすと、気が付いたら知り合い本人は死んじゃってて孫の代になってたりする。
人間とエルフは寿命が違いすぎて一日の重みが違うのが原因と思う。
自分の体感で言うと、エルフ同士だと……じゃあ近々また会いましょうって言うと百年位過ぎててもお久しぶりって感じにはならないのだ。
人間だと近々ってなると一ヶ月とかだもんね。
前世は人間だったけど、エルフの身体とエルフ社会で育った感覚の方が強いのでエルフ寄りになっちゃうのは仕方ない。
でも、そうするとどうしても人間から見たら怠惰に見えちゃうみたい。
選択肢としてはメアリ家に行くか、ギルドの依頼を受けられるようになったから、ギルドに行くか。
ちょっと早いけどペロティとラスピの様子を見に行くか。
そうだ、ニーヴだけは庭の出入り出来るようにしておこう。
なんかやらかして逃げ場が無くなったらちょっとかわいそうだしね。
こっちに連れて来ちゃったの私だし。
メア・バインに魔力をあげて、ついでに魔力水も撒いておいた。
熱帯雨林の植物だけど、こっちもそこそこ暑いからね。
結局、メアリの家に行く事にしてクリーム色のブラウスとオレンジ色のフレアスカートに着替えた。
昨日領主の執事がガーデンパーティーで出ていたお菓子を包んでくれていたので、メアリの子供達にちょうどいいだろう。
毒の有無は確認済みだ。
「ねえねえ、どうして生き物は鑑定が難しいの?」
そう聞いてきたのはメアリの次男。
なんでも近所の友達の兄か姉が、鑑定士としての仕事が決まったらしい。
おともだちからアレコレ聞いたんだろう。
「そうねぇ、ヒトと物には絶対的な違いがあるでしょ」
生きてるか、生きてないかね。
「例えば帽子を鑑定するとね、帽子、ムウルの毛糸って出てくるの。上手に鑑定するヒトはどの地方のムウルかもわかる。もっと上手なヒトは誰の持ち物かもわかる」
うんうん、と次男と下の子達が真剣に聞いている。
説明は苦手なんだけど出来るだけ簡単に済ませよう。
「生き物はね、その種類にもよるんだけど──秘密にしておきたい事がある生き物の鑑定はちょっと難しい」
「秘密ー?」
「例えば君を鑑定すると、名前と性別、年齢とかはわかるんだけど……もし君が名前を知られたくなくて違う名前を使ってたら、鑑定されるとどうなる?」
「名前がバレる!」
「そうだね。そのバレたくないって気持ちが鑑定の邪魔になるの」
「嫌だったらバレないってこと?」
「君が上手に隠せる魔法を持ってればバレないかもしれないけど、上手な鑑定士はそういう誤魔化しも突破してくるね」
「結局はバレるんじゃん!」
「上手な鑑定士ならね。知られたくないって思う気持ちが強いと鑑定の邪魔になるのは本当だよ。物の鑑定が簡単なのは、物が考えてないから」
「じゃあ物が考えてたら、鑑定の邪魔するって事?」
「いいとこ突くねえ…物に誰かが知られたくないって魔法をかけてたら鑑定の邪魔をするよ」
そこまで単純な理屈じゃないんだけどね。
まだ幼い子供達はこれ以上は理解できないだろう。
気を逸らすために私は黙って話を聞いていたメアリにお菓子の包みを差し出した。
「領主様のパーティーのお菓子だって? あんた達、手を洗って来な!」
子供達が井戸まで走っていった後、メアリは心配そうに聞いてきた。
「こんなにたくさん、いいのかい?」
私は昨日いっぱい食べてきたの、答えると
「ありがたくいただくとするよ。いつもお菓子をありがとうね、買わなくて済んで助かるよ」
メアリはケラケラと笑って菓子を皿に移した。
子供達が大騒ぎで食べてる間、私はいつも通りメアリと世間話をした。
王家の過去のスキャンダルや旬の野菜の話とか、子供の勉強についてとか、ただの雑談。
「学校にも行かせてやりたいんだけどね、こう人数が多いとね」
メアリは首を振りながら溜め息をついた。
この国は就労に関して年齢の制約がない。
幼児だって働いてもいいのだ。
現にメアリの下の子達は時々近所の農場でコケットの卵を集めたり、お庭の雑草を抜くお手伝いをしてお駄賃を貰っている。
農場側も繁忙期にお駄賃程度でちょっとした雑用を任せられるので、お互い助かってる図式だ。
勉強に関しては月に数回、領主が手配した先生が街の中心部に近い公園で無償で授業をする。
簡単な読み書きや計算を習えるようになってるんだって。
しっかり毎回通えてる子はあんまり居ないみたいだけどね。
家のお手伝いとか、身体が弱いとか色々な事情があるから。
それなりに稼ぎのある家の子は六歳位から十五歳位まで学校に行くし、もっと裕福な家の子は家庭教師。
十五歳から上の学校に行く子は本当に頭のいい子や裕福な家の子、貴族の子女で。
ほとんどの平民は十二~十五歳で定職につくのだとか。
二時間が過ぎたので次は数日後と言い、子供達に手を振ってメアリの家を出た。
鑑定魔法……意思ある物を見るのって意外と難しい。
魔力の量の差があれば力押しで鑑定出来てしまったり、隠蔽して見せたい情報だけしか見せないという事も出来る。
擬装魔法もあるし。
生命体の鑑定結果って鵜呑みにすると結構危険なのだ。
私自身は滅多に不意打ちで鑑定を仕掛けられて突破される事がない。
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