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アルシア移住
コケットランド
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ギルドから出て歩き始めた私は、ゴブリンについて考えた。
(このまま行ってもまた混乱するだろうから、通訳みたいな人が欲しいわ)
ゴブリンにパニックを起こさせない人が良いんだけど。
確かゴブリンの亜種みたいなレッドキャップは普通に会話出来てたと思うのだが。
ヨッシーオと居たペイペイはもう居ないし、今代のレッドキャップを探すしかないか…。
ゴブリン一族に稀に現れるレッドキャップは、必ず一人。
先代が亡くなったら次代のレッドキャップが産まれるらしいって噂なら知ってるけれど、ペイペイ以外のレッドキャップは見たことが無いのよね。
私はもう一度ギルドに戻った。
忘れ物ですか? って顔をしているチェシャに、私も捜索願いを出したいのだと事情を説明した。
お互いに込み上げる笑いを抑え込みつつ、手続きを進める。
「レッドキャップの捜索ですね。どうします?見つかった場合」
「ギルド経由で本人からこの支部に連絡くれるようにして貰える? 見つけた時に、ゴブリンとの通訳依頼って言っちゃって構わないから」
金貨三枚を支払って、依頼完了。
後は放置でいい。
私は再度チェシャと挨拶を交わし、家に帰る事にした。
「なんかこう、バタついてる気がする…」
一人暮らしだと独り言多くなるよね。
時空庫から取り出したパンに、バターを塗りながら、予定を組み立てていく。
コケットランドに行く、これは最優先。
フレスベルグの動向監視。
やりたくないけど自衛のため必要だろう。
ゴブリン──これはレッドキャップが見つかるまで、放置でいい。
早めに王都に行って、非合法でいいから違う身分証明書を用意したい。
コケットランドに行ったら、王都に行こう。
パンを食べ終え、紅茶を淹れて。
今日はガゼボでのんびり過ごす事にしよう。
(うーん、スローライフを楽しむなら人間社会では難しいのかもしれない)
気忙しく時が流れているもの。
だからこそ、人間は魅力的なのだけど。
なんだかテンションの下がった私は、二十五日になるまで家から一歩も出なかった。
したくない事や避けられない事が起きるからこそ、緩急がついて退屈にはならないと言うのは理解してる。
だからと言ってやりたくない事はやりたくないのよね。
でも、それを貫くには一人で山奥に籠るしかなさそうだ。
気を取り直して、早朝から楽しみだったコケットランドに行く。
きっと良い気分転換になるだろう。
朝の市に間に合うよう、私はメイの姿になってキャンディと共にコケットランドへ向かった。
早朝の空気は気持ちがいい。
少しずつ気温は下がってきてるが、まだまだ暑い季節だ。
昨日誰かが草を刈ったのか、草の香り漂う早朝のひんやりした空気。
キャンディも走りやすいんじゃないかな。
あっという間に東の村を通り過ぎ、コケットランドに近づくにつれチラホラと荷馬車や人の姿が見られるようになってきた。
(道は広めだけど、スピードは出さない方が良さそうね)
ポクポク歩く馬も良いものだ。
私はキャンディの心地よい揺れに身を任せ、景色を楽しんだ。
周囲の馬や馬車と歩調を合わせるのが嫌なのか、キャンディはちょっと不満げに鼻を鳴らした。
「キャンディ、コケットランドが見えてきたわよー」
無料の広い馬留めが用意されているけれど、キャンディは魔馬。
念のため、有料の馬留めに入れる事にした。
場所だけ借りる感じで白銅貨二枚、世話は自分でやるシステム。
無料の倍のスペースがあって、周囲の馬とも離れているのがありがたい。
魔力水を用意して周囲に草も生やしておく。
軽く水を掛けてやると、水遊びが好きなキャンディは喜んだ。
私はキャンディの馬体をキッチリと乾かしてからマルシェに向かった。
(おお、青いピーネが売ってる! 買わなきゃ)
早速普段目にしない物が、どんどん視界に飛び込んでくる。
会場は広いけど、数時間で一回り出来そう。
出店の並びは整合性がなくて、野菜の隣が革製品だったり、乳製品のお店だったり。
場所取りは早い者勝ちなんだろうか?
私はアレコレ買い物を楽しみながら、マルシェを歩き回った。
サンドイッチのお店は三つあった。
もちろんタマゴサンドを買って、味比べをした。
一番好みの味だったお店で、在庫が幾つあるか聞いてみたら六十個くらい作ってきたとの事。
買い占めは良くないだろうから、何個なら売って貰えるか尋ねると半分売って貰えた。
「アルセンコケットの卵は濃厚なんですよ。そんなに気に入ってくれるなんて、父母が聞いたら喜びます」
売り子のお姉さんがニッコリ。
聞けばまさにコケットランド直営店というか、アルセンコケット養鶏所の商品だった。
普段はコケットランドの方ではなくて、もう少し先の方に行った村で販売してるらしい。
「ここから歩いて十分くらいですよ。市が立つ日はお休みですけど」
村の名前を聞くと、お姉さんはちょっと恥ずかしそうにコケット村です……と小さな声でと言った。
お礼を言って、しばらくあちこち見て回った後に教えてもらった通りの道を歩いてみる。
もちろん転移ポイントを探すためだ。
コケットランドからコケット村までは綺麗に整備されていて、全く隙がなかった。
村に入ると、住人が不思議そうにこっちを見ている。
(──確かに広い道からは逸れたルートにある村だから、住人や商売人以外でわざわざ来る人は少ないのかも)
小さな村を通り抜け、反対側から出てみると中々いい感じの森があった。
良さげな場所を決めて、コケットランドに戻る事にしたけれど……。
頻繁に来たら怪しまれそうだなぁ……。
悩みながらマルシェに戻ると、ちょうどお姉さんが店じまいしているところだった。
思いきって、大量注文を受け付けているかどうか聞いてみた。
「村のお店には母がいるので、今度そっちで相談してみてください。多分大丈夫だとおもいますよ? たまにそういう注文も入るので」
そう言ってお姉さんは片付けを終えて撤収していった。
私はその後も色々買い込んで、ちょうど開催されていた馬の競りを見学した。
セバ爺の姿もあったけれど、今の私はメイなので声は掛けられなかった。
マルシェといっても朝市に近いものらしく、屋台はポツポツと撤収し始めてる。
道が混み合う前に帰った方が良さそうだ。
キャンディは草を食べ尽くし、静かに待っていたので御褒美にプルナをあげた。
魔法水の桶を片付けて……と。
早めに切り上げたおかげで、帰る人々はまだ殆どいない。
広々とした道を、キャンディの好みのスピードで駆けさせた。
ちゃんと走らせればコケットランドまで一時間掛からないみたい。
この距離だと、休憩も要らなさそう。
私はキャンディをセバ爺の厩舎に戻し、王都に行く日程を明後日に決めた。
王都では色々やることがあるから、何事も早めにやってしまおう。
(このまま行ってもまた混乱するだろうから、通訳みたいな人が欲しいわ)
ゴブリンにパニックを起こさせない人が良いんだけど。
確かゴブリンの亜種みたいなレッドキャップは普通に会話出来てたと思うのだが。
ヨッシーオと居たペイペイはもう居ないし、今代のレッドキャップを探すしかないか…。
ゴブリン一族に稀に現れるレッドキャップは、必ず一人。
先代が亡くなったら次代のレッドキャップが産まれるらしいって噂なら知ってるけれど、ペイペイ以外のレッドキャップは見たことが無いのよね。
私はもう一度ギルドに戻った。
忘れ物ですか? って顔をしているチェシャに、私も捜索願いを出したいのだと事情を説明した。
お互いに込み上げる笑いを抑え込みつつ、手続きを進める。
「レッドキャップの捜索ですね。どうします?見つかった場合」
「ギルド経由で本人からこの支部に連絡くれるようにして貰える? 見つけた時に、ゴブリンとの通訳依頼って言っちゃって構わないから」
金貨三枚を支払って、依頼完了。
後は放置でいい。
私は再度チェシャと挨拶を交わし、家に帰る事にした。
「なんかこう、バタついてる気がする…」
一人暮らしだと独り言多くなるよね。
時空庫から取り出したパンに、バターを塗りながら、予定を組み立てていく。
コケットランドに行く、これは最優先。
フレスベルグの動向監視。
やりたくないけど自衛のため必要だろう。
ゴブリン──これはレッドキャップが見つかるまで、放置でいい。
早めに王都に行って、非合法でいいから違う身分証明書を用意したい。
コケットランドに行ったら、王都に行こう。
パンを食べ終え、紅茶を淹れて。
今日はガゼボでのんびり過ごす事にしよう。
(うーん、スローライフを楽しむなら人間社会では難しいのかもしれない)
気忙しく時が流れているもの。
だからこそ、人間は魅力的なのだけど。
なんだかテンションの下がった私は、二十五日になるまで家から一歩も出なかった。
したくない事や避けられない事が起きるからこそ、緩急がついて退屈にはならないと言うのは理解してる。
だからと言ってやりたくない事はやりたくないのよね。
でも、それを貫くには一人で山奥に籠るしかなさそうだ。
気を取り直して、早朝から楽しみだったコケットランドに行く。
きっと良い気分転換になるだろう。
朝の市に間に合うよう、私はメイの姿になってキャンディと共にコケットランドへ向かった。
早朝の空気は気持ちがいい。
少しずつ気温は下がってきてるが、まだまだ暑い季節だ。
昨日誰かが草を刈ったのか、草の香り漂う早朝のひんやりした空気。
キャンディも走りやすいんじゃないかな。
あっという間に東の村を通り過ぎ、コケットランドに近づくにつれチラホラと荷馬車や人の姿が見られるようになってきた。
(道は広めだけど、スピードは出さない方が良さそうね)
ポクポク歩く馬も良いものだ。
私はキャンディの心地よい揺れに身を任せ、景色を楽しんだ。
周囲の馬や馬車と歩調を合わせるのが嫌なのか、キャンディはちょっと不満げに鼻を鳴らした。
「キャンディ、コケットランドが見えてきたわよー」
無料の広い馬留めが用意されているけれど、キャンディは魔馬。
念のため、有料の馬留めに入れる事にした。
場所だけ借りる感じで白銅貨二枚、世話は自分でやるシステム。
無料の倍のスペースがあって、周囲の馬とも離れているのがありがたい。
魔力水を用意して周囲に草も生やしておく。
軽く水を掛けてやると、水遊びが好きなキャンディは喜んだ。
私はキャンディの馬体をキッチリと乾かしてからマルシェに向かった。
(おお、青いピーネが売ってる! 買わなきゃ)
早速普段目にしない物が、どんどん視界に飛び込んでくる。
会場は広いけど、数時間で一回り出来そう。
出店の並びは整合性がなくて、野菜の隣が革製品だったり、乳製品のお店だったり。
場所取りは早い者勝ちなんだろうか?
私はアレコレ買い物を楽しみながら、マルシェを歩き回った。
サンドイッチのお店は三つあった。
もちろんタマゴサンドを買って、味比べをした。
一番好みの味だったお店で、在庫が幾つあるか聞いてみたら六十個くらい作ってきたとの事。
買い占めは良くないだろうから、何個なら売って貰えるか尋ねると半分売って貰えた。
「アルセンコケットの卵は濃厚なんですよ。そんなに気に入ってくれるなんて、父母が聞いたら喜びます」
売り子のお姉さんがニッコリ。
聞けばまさにコケットランド直営店というか、アルセンコケット養鶏所の商品だった。
普段はコケットランドの方ではなくて、もう少し先の方に行った村で販売してるらしい。
「ここから歩いて十分くらいですよ。市が立つ日はお休みですけど」
村の名前を聞くと、お姉さんはちょっと恥ずかしそうにコケット村です……と小さな声でと言った。
お礼を言って、しばらくあちこち見て回った後に教えてもらった通りの道を歩いてみる。
もちろん転移ポイントを探すためだ。
コケットランドからコケット村までは綺麗に整備されていて、全く隙がなかった。
村に入ると、住人が不思議そうにこっちを見ている。
(──確かに広い道からは逸れたルートにある村だから、住人や商売人以外でわざわざ来る人は少ないのかも)
小さな村を通り抜け、反対側から出てみると中々いい感じの森があった。
良さげな場所を決めて、コケットランドに戻る事にしたけれど……。
頻繁に来たら怪しまれそうだなぁ……。
悩みながらマルシェに戻ると、ちょうどお姉さんが店じまいしているところだった。
思いきって、大量注文を受け付けているかどうか聞いてみた。
「村のお店には母がいるので、今度そっちで相談してみてください。多分大丈夫だとおもいますよ? たまにそういう注文も入るので」
そう言ってお姉さんは片付けを終えて撤収していった。
私はその後も色々買い込んで、ちょうど開催されていた馬の競りを見学した。
セバ爺の姿もあったけれど、今の私はメイなので声は掛けられなかった。
マルシェといっても朝市に近いものらしく、屋台はポツポツと撤収し始めてる。
道が混み合う前に帰った方が良さそうだ。
キャンディは草を食べ尽くし、静かに待っていたので御褒美にプルナをあげた。
魔法水の桶を片付けて……と。
早めに切り上げたおかげで、帰る人々はまだ殆どいない。
広々とした道を、キャンディの好みのスピードで駆けさせた。
ちゃんと走らせればコケットランドまで一時間掛からないみたい。
この距離だと、休憩も要らなさそう。
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