あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

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出禁 第七話 トゥインクルガルーズ ~煌く四人~

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 メセタダンジョン郡――。
 ダンジョンと言ってもここは元々、メセタ鉱山という貴金属が掘られた鉱山だった。
 幾つもの坑道がある大きな鉱山だったのだが、数十年だか百数十年だか前の地震があった時に、最下層あたりに出来た亀裂からダークミストが噴出すようになったらしく、それ以来魔物が発生するようになった、と昔聞いたことがある。
「地下からダークミストが吹出してくるかぎり、絶対に魔物は駆逐出来ない。だったら利用するしかない」
 昔のどこぞの偉い学者だか政治家だかが言ったらしい。
 比較的ダークミストの薄い浅層から中層辺りで魔物を狩って、素材や魔石を得る魔物牧場にしようと言うわけだ。
 こうしてこの鉱山は廃坑となり、そのまま冒険者ギルドが管理するダンジョンとして活用されるようになって現在に至る。
 ちなみに冒険者がダンジョンに長時間いるとダークミストの影響を受けるが、浄化のお札を身につけたり、浄化の魔法を定期的にかける事で無害化できる。

 ダンジョンにもいくつかの形というパターンがある。このメセタダンジョンは廃坑型なので、中層あたりまでは鉱山時代の魔石灯がまだ残っていてそれなりに明るく、またトロッコのレール等がまだあるので、他のダンジョンよりも意外と便利らしい。
 浄化のお札を持ったオレ達は、魔石灯の明かりが残る浅層を進んでいく。
 トロッコで一気に中層まで進めば体力温存になるが、一緒に進む四人の冒険少女達の実力も分からないまま一気に中層までは行けない。彼女達もそこまで自惚れてはいないらしく、地下一階から着実に一つずつ階層を踏破していく。
 彼女達のパーティ名は、トゥインクルガールズ(煌く少女達)と言うそうだ。
 みな十七歳と十八歳という成人している歳なのだが、本来のオレから見ればまだまだ子供だ。
 そして、はっきり言ってバランスの悪いパーティーだな――、とオレは思った。
 金髪ショートカットの目がクリッとした少女はアイリスといい、腕力はあまり無いので、細剣を使って素早さ重視で戦う。アイリス姉ちゃんと呼んでいたが、戦闘中に呼ぶと長いのでいつの間にかアイ姉ちゃんからアイ姉(ねえ)に変わった。
 青いロングヘア、長身クールの大人びた少女はエリザベス。
 エリー姉ちゃんと呼んだら、その呼び方はやめて――、と怒られたのでリズ姉(ねえ)になった。長さ二マイトルほどの槍使いで、細剣よりは攻撃範囲は広いが、それでも中近距離の武器だ。
 赤髪ビキニアーマーの肉感的な少女は、レオ族の獣人でエキゾチックな顔立ちをしている。ケデシュトイルビネトという異国の珍しい名前だったので、めんど臭いから赤い髪の赤姉(ねえ)になった。
 大剣使いで大型の魔物相手は得意らしいが、小型、中型の素早い魔物は苦手らしいので、今は後方警戒をさせている事が多い。浅層は大型の魔物なんてあまり出ないからね。
 少し眠そうな目がかわいい長いウサギ耳と白い髪、赤い目が特徴のバニーガール(ウサギの獣人)は、ネイサンというのでそのまま『姉さん』と呼んでいたら微妙な顔をされた。という事でネー姉(ねえ)になった。
 ネー姉は魔法使いだが、回復魔法と補助魔法の使い手で攻撃魔法は使えない。護身用の短剣も使うので戦えないわけではないが、こうしてみると見事に近接攻撃オンリーのパーティーだった。
「リズ姉、前から【グレイハウンドウルフ】、五匹」
「まかせて! 」
「アイ姉は、リズ姉の後ろで控えて、数が多いから脇をすり抜けてくるよ」
「そ、そうね」
「ネー姉はそのまま待機して、まだ休んでいていいよ」
「ありがと~」
 オレが使役する精霊が索敵した情報を伝え、槍使いリズ姉を最前線に配置して、細剣使いのアイ姉をトップ下にして取りこぼしの始末を任せる。あせって攻撃に参加しようとするウサ耳短剣使いのネー姉を引き止める。
 あまり広くない通路なので、三人並んで迎撃するのは無理すぎる。
 そして……、
「それから、赤姉はいい加減オレの腕から離れてっ! 」
「ええッ!? 」
 赤髪の少女はオレの腕のアーティファクトのリングにひっついて離れないので、強引に引き剥がす。
「いい加減に働け! 後方警戒」
「JJのイケズッ! 」
 赤髪の少女はベーとカワイイ舌を出した後で、背後を振り返る。
 オレはダンジョンを進みながら襲ってくる魔物を索敵し(正確には妖精が探ってくれる)、その情報を四人の少女冒険者に伝え、アゴで指揮する。
 最初はオレの言うことを信じられなかった彼女達だったが、オレが索敵した情報が正確で、言うとおり行動したらサクッと魔物を退治できたことで、オレはそれなりに信頼されてきた。
 【グレイハウンドウルフ】の群れは、リズ姉とアイ姉のよって全て簡単に倒された。

 地下6階まで降りた所で、少し大きめの部屋にたどり着き一旦休憩する。
 ここは鉱山が稼動していた時の鉱夫達の休憩場所で、頭上に空気穴が開いている。あまり大きい穴では無いので、この穴で直接ここまで降りる事は出来ないが、風魔法を使えば新鮮な空気は取り込めるようになっている。
「なんか今日は~楽チンで疲れないね~。休憩いらないかも」
 ネー姉がいきなり自信過剰発言。このあとは休憩所は無いからきちんと休んで欲しい。
「魔物解体や、素材運びが無い」
 赤姉がニコニコしてオレを見る。
 まあそりゃそうだ。それは全部オレがやってる、それがシェルパの仕事だろ。
 戦っても所詮浅層のことだから、数も多くない。戦うのは四人にまかせ、倒す傍から魔石だけ取って、後はマジックリングに突っ込むだけ。解体はギルド任せにすればいいので戦いが終わればすぐに移動できる。
 料理を作りながら片付けるのと同じ、いやもっと楽だ。
 他の荷物もマジックリングにぶち込めば、嵩張らないし重くもない。
「それに、戦うのもなんか簡単だったね。今まではもっと苦労してたのに」
「今日はスムーズにいけるわね、なんでだろ」
 アイ姉とリズ姉が不思議そうに話してる。
 なんでだろう? ……じゃねえよ。理由は単純、今までこのパーティーは、バランスが悪く皆の戦う位置が被ってただけだ。
 今までは、近接武器オンリーのこの四人が、ダンジョンの狭い場所で横一列になって闘っていたという。ありえないだろが。
 特にリズ姉が槍を振り回せば隣には誰も立てない。だから今日はオレが指示して戦う位置をずらしたり離してやったんだ。
「ねえ、お姉ちゃん達はだれか遠距離攻撃は出来ないの? 」
 休憩所でちょっとしたお菓子と暖かい飲み物で休憩しつつ、彼女たちの戦力についてリサーチを進める。
「そうねぇ、みんな魔法が得意じゃないしね。遠距離の武器もないし」
「ネイサンが唯一、ミストの保有量が多いから魔法職やっているけど……」
 リズ姉とアイ姉が顔色を曇らせる。
「私は~、攻撃魔法は出来ないし~。他のみんなはミストの保有量そのものが少ないのよね~」
 ネー姉も否定はしない。
「いや、アタシはミスト量はある、でも魔法のやり方分かんないし好きじゃない。遠距離攻撃は、アーティファクトがあればやってもいい……」
 赤姉も魔法は出来ないらしい。
 結局、誰も遠距離攻撃の魔法も武器も無いようだ。
 浅層だと大剣の出番はあまりなさそうだし、アーティファクトの遠距離攻撃武器があれば、赤姉にジョブチェンジしてもらってもいいかもね。
「遺跡から出たアーティファクトじゃないけど、そういうのを見本にして改造した武器ならあるけど……」
「え、何々?」
 赤姉がまた、ビキニアーマーから溢れるなかなかの美乳を押し付けて、オレに抱きついてくる。
「あ、赤姉、近い、離れろ! 」
 子供だと思って彼女は意識してないのだろうが、ホントは中身三十三歳のオッサンだからな、罪悪感がちょっとある。
 オレは赤姉を押しのけると、マジックリングから武器を取り出す。
「ケイロンボウ・コレクティオ~~~! 」
「「「「おお~っ……お? 」」」」
 頭上に掲げた弓に、一堂からハテナつきの感嘆の声が上がった。
 一瞬凄いものかと思ったようだが、結局何だかよく分からない。という感じらしい。
 元々は以前パーティーを組んでいた時に、遠距離攻撃担当のヴィリス族の女が使っていた弓で、彼女はダンジョンでアーティファクトの“レインボウ”という、虹色に輝く弓を手に入れたので、それまで使っていたケイロンボウを荷物持ちのオレに預けてそのままになっていた物だ。
 それをアーティファクトの弓を参考に改造したのが、このケイロンボウ・コレクティオだ。ミストの力を込めると命中率と攻撃力が上がる優れものだ。
「赤姉、ミストの力があるなら、試しに使ってみる? 安くレンタルするよ」
「金取んのかよ」
 アイ姉が突っ込むが、タダで貸し出すいわれは無い、オレも金が必要だからな。
「ん、アーティファクトじゃなくっても、参考にして作ったものなら興味ある。お金はアイリスの取り分から引いといて」
「なんでアタシなのよ! 」
 それは多分、アイ姉がお金にシワイから言ってみたかったんじゃないかな。ちゃんと突っ込みを返してくれるし。
 こうして、浅層を進む間は、赤姉はアーチャーとして練習する事になった。
「ン、苦しい」
 赤姉は巨乳というほどではないがなかなかの美乳で、ビキニアーマーという露出の高い鎧を着けている。男としてはそのままの格好でいてほしかったが、弦を引く時にその形のよい胸が邪魔になるので、厚い革の胸あてをつけて押さえつけてもらう。これはケイロンボウとセット扱いで持っていた。
 ちなみに、この弓は結構腕の力が必要だが、ちょっと引いてもらったが問題はなさそうだった。さすがレオ族の少女、百獣の王レオの獣人は筋力もハンパない。
「普通は、ダンジョンに入ってから初めての武器を試そうなんて思わないと思うけど」
「そう? ダンジョンの浅層なんて武器の練習場みたいなものじゃん」
「「「「そんなわけないでしょッ! 」」」」
 オレはいつも思っていたことをいうと、四人から一斉に突っ込まれた。普通の人はダンジョンで練習はしないという。おかしいな。
「だいたい、あんた何者なの。こんな小さいのにダンジョンにメッチャ詳しいし」
「魔物の湧くポイントまで教えてもらって、荒稼ぎが出来たわね」
「索敵も出来る」
「それそれ~、何が来るかわかるから、すっごく楽よ~」
「アーティファクトのマジックリングも持ってるし、結構高そうな武器も持ってる」
「もっと他にも~秘密がありそう~」
 四人から色々と突っ込みを貰う。なんとか言い訳をしないとな。
「い、いや、オジチャンがここの中層によく潜っていた冒険者でね、ぼくがシェルパで一緒に潜って教えてもらってたんだけど、その人しばらく他の町に行くことになっちゃって。だからアイテムとかちょっと借りて、他の冒険者さんのシェルパをすることにしたんだ」
 フーン、とアイ姉が疑わしそうな目つきでオレを見る。
 ウソデス。でもホントの事は言えない。
 ホントのオレはダンジョン出禁になってるし、中身三十三のオッサンだし、精霊使いが妖精<クック>に騙されたというのも外聞が悪い。若返りの薬の存在がばれたら、フラウだけじゃなくオレも何か騒動に巻き込まれかねない。
 ウソを突き通すしかない。
「ホ、ホラッ、お姉ちゃんたち、もう出発するよ」
「ええ~もう? 忙しいわね~」
 さっきは休憩いらないって言ってたくせに。
「よし行こう! 」
「弓、楽しみ」
 あわててお菓子を口に放り込み、忙しく動き出す少女達。
 コレでどうやらごまかせるかな。オレ達はまたダンジョンを歩き出した。
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