あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

文字の大きさ
52 / 103

出禁 第二十六話 ダンジョンの暗闇に咲く一輪の花 その2

しおりを挟む

 トボトボと下層を無言で進む九人と妖精たちのパーティ。肩を脱臼したオレに代わり、先頭をジェシカが歩いていた。
 帰りは急ぐ必要はなく、非戦闘員も多いので、安全重視でゆっくり進む。
 オレのせいでなんか変な雰囲気になっちゃって申し訳ないが、オレ自身もこういう時、どうしていいか分からないのでそのままだ。
 気が利いたこと言えたりすればいいけど、できるならソロで八年も冒険者してない。
「JJくん」
 すると先頭を歩いていたジェシカがオレに話しかけてきた。
「あなた、あの花『フローラアルジーナ』を探していたの」
 ばれていたか。まあ花を探していたのはバレバレだと思っていたけど、花の種類もばれたか。
 否定するのも変だし、肯定するとなぜオレがこの花を探すのか突っ込まれても嫌だし、何ていうかな。
「あの花、薬草になるのよね」
 迷ってる間に、オレが話したくないと思ったのか、ジェシカが独り言のように話を続けた。
「『フローラアルジーナ』。地底に咲くオレンジの宝石とも言われる花ね。そしてダンジョン病に唯一効果のある薬草の花、途中から様子がおかしいと思っていたけど、アレをずっと探していたのね」
 オレは黙って話を聞いている。
「あなた、ジーンね」
 小さい声で他の人には聞こえなかったみたいだが、ジェシカはズバリと言った。
 ギックッ! ……やはりばれていたか。
 オレは無言で頷いた。
「最初からジーンに似ているなとは思っていたのよ。でも若返るなんて普通ありえないわ。私達みたいに種族特性で年老いないって言う事はあってもね。だから親戚って言われて、最初は納得したわ」
 そうか最初は騙せていたんだ。
「だけど、ジーンの持っていたアーティファクトのマジックリング持ってるし、ケイロンボウを取り出して、改造しちゃったって言ってたし、こっそり話してたみたいだけど聞こえていたわ。アレって思ったの。アレは私が『レインボウ』を手に入れたときに、ジーンに返した物で、ジーンが『レインボウ』を参考にしながら私の前で改造してたわ。JJくんが改造した物じゃないわ」 
 ウワー、耳もいいし記憶力もいいんだな。
「あと、あの花をジーンがずっと探していたのも知ってるわ。その理由もね」
 オレは顔が赤くなる。
 まさか、まさか彼女の事まで知って……る?
「リベルタが帰ってきていたのは何年か前に知ったわ。サブマスですから冒険者の事はよく知ってるわ。そしてジーンとよく会っていたことも」
「ちょ、待てよ恥ずかしい」
「リベルタの娘大きくなったわね。けっこうジーンに懐いてる? 」
「本気でやめろ」
 思わず地が出てジーンの口調で話しかける。後ろの人たちに聞かれていないか思わず振り返るが、聞かれてはいないようだ。
「大丈夫、風の魔法で後ろには声は聞こえないようにしてるから」
 風魔法すげえ、そんなことも出来るのか。
 ってか、そんなことじゃない、
 全てバレバレ? オレが金を貢いでいることも知られているのか?
 JJの姿で会いに行ったこともばれてる? ドコまでばれてる?
 くそう、死にてー。ってか死ねる。恥かし死にする!
 ああ、リベルタお前を救えなかった無力な俺を許してくれ。
「花の事は残念だったわね。ダンジョン病に効く唯一の薬の原料だものね」
 今から引き返して、キングスパイダーの群れとか見つけて飛び込むか。
「王都にならもしかしたら薬があるかもしれないわ」
 どっかに枝振りの良い木はないかな。廃坑の坑道にはないか。
「ジーン、変なこと考えてないわよね」
 考えてるよ、いっそタロスの力で首をかっ切れば一瞬で痛み無くいけるか。
「なんで、今まで私に相談しなかったの。ジーンに気を使って黙ってたけど言ってくれれば力になろうってずっと待ってたんだから」
「……」
 ……にわかには信じられない。
 ジェシカは嘘をつく女じゃないのは間違いない。だけど男と駆け落ちしてパーティを脱走したリベルタを一番怒っていたのはジェシカだ。剣士に捨てられて帰ってきたからって簡単に許してくれるとは思えない。リベルタの希望でもあったからな。
「まあ、いいわ。その話は帰ってからしましょう。ジーンとにかく、家に帰るまでが遠足、ダンジョン出てお金もらうまでが冒険だからね。集中してね、まだ下層だから」
 ……人の集中力を乱すような事を言っておいて
 まあ、少なくともトゥインクルガールズとロックとナナイの兄妹は無事に地上に帰してあげないとな。
 しかたなく、オレ達は慎重にダンジョンを進んだ。

     ※

『ノームの爺様』
 ケイロンの側でフワフワと飛びながらパーティに同行していたフラウが、隊列の後方で成り行きで同行していたノームのハリーに声をかけた。
『クックの娘か、ワシにはジーンからもらったハリーと言う名がある。ハリー爺さんと呼ぶが良い』
『それじゃウチのこともフラウって呼んで~な。これもジーンにもらったんや』
『で、なんじゃ。クックのフラウはまた人様からかって楽しんでるのか』
『まさか、人助けが趣味のウチや、からかうなんて事はセえへんよ。ま、上手くいかんことが多いのと、ビックリ顔が好きなだけや。で、JJはどうしたんや。さっきからメッチャ落ち込んでるようやな』
 ジーン=JJとジェシカは何かを話しているようだが、その会話は、なぜかここまでは聞こえてこない。
『ああ、あやつはここ十年花を探していたんじゃ。ダンジョンの奥にしか咲かない花じゃ』
『さっきの所にカケラが残ってたあのオレンジの花やね』
『あの花には、ダンジョン病を癒す力があるらしい。知り合いがダンジョン病にかかとるらしい』
 ハリー曰く、『フローラアルジーナ』にはダンジョンのダークミストを吸収分解して、それを生命力に変換する力があるという。
『ふうん、そんなことが。でもなんであのとき、それを願わなかったんやろ』
『何の事じゃ』
『ま、ええわ』
『おい待て、またなんぞおかしな事考えてるんじゃないかの? 』
『おかしな事なんて考えてないって、人をビックリさせたいだけやって』
『それがイカンとゆうとるんじゃ』
 まあまかせておいてや~。そう言ってフラウはそのまま列に戻っていった。





しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

処理中です...