あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

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第二章 王都編

出禁 第二十八話 JJブチギレる その1

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「サーマス・ザーパスざます。ユーはダンジョン出禁ざーます! 」
 ギルドで出会った新しいギルマス、ザマス女がおかしな事を言った。
 は? 何てった? デキンって何、美味しいの? ……ってか、出禁?  
「な。なんで出禁なんだ……ですかッ、シェルパならダンジョン入ってもいいって抜け穴……じゃなくってルールがあるはずだ……でしょ」
「そうざます、そしてそれは“戦わないシェルパ”なら入っても良いっていうルールざます。ユーは戦いすぎざます」
 そして、後ろに向かってパチンと指を鳴らすと、奥の事務所へ繋がる通路から四人の女性、トゥインクルガールズのメンバーが現れた。
「ごめん、JJくんバレちゃった」
「違う、アイリスのあれはバレタじゃなくバラシタ」
「あれだけ派手に売り込んでりゃねえ」
「私だけ悪いように言わないでよ、皆でJJくんが今後もダンジョンに入れるように知り合いに声かけようって言ってたじゃない」
「戦うところもサポートしてくれる、とか~、ギルドにまで売り込まなくっても~」
「うっ……」
 どうやら、オレが今後もダンジョンに入れるように、他の冒険者に声をかけてオレの事を売り込んでくれたらしい。
 だけど、勢い余ったというか、勇み足というか、単なる脳筋というかギルドにまで売り込んでしまったと。
 アイ姉、なんて事してくれたんだよ、と思わなくも無いが、
「う、うんしかたないよ、ボクの事を考えての事でしょ。全然気にしないよ」
 と心にも無い言葉。
 まあ、オレの事を思ってのことだからな。
 今はもうガツガツと金を稼がなくても良いと言うこともあって、オレは笑顔でアイ姉を許す。
「「「「ゴメンね~」」」」
 謝られるのはいいけど、でもこれじゃ、ダンジョン入るのは無理だな。
 いやもうルール無視してこっそり入って、中で合流するかな。黙ってりゃ分からないだろう、などと思っていたら、
「というわけで、ガールズはさっさと四人でダンジョンに入るザマス」
 と、トゥインクルガールズの四人をダンジョンへと追い出す。オレも彼女達にに付いて行こうとしたのだが、そこでザマスに引きとめられた。
「JJ、ユーには朗報ザマス」
 ザマスはそう言って、どこからともなく手紙らしき物を取り出してオレに差し出した。
「領主さまからの招待状、というか召喚状ざます」
 領主から? なぜオレに?
「ホントにあなた何やったの? 」
 レベッカがオレに聞いてくる。オレの方こそ知りたい。オレが何をした。

「ようこそ、キミがJJくんだね。ジェシカから噂は聞いているよ」
 翌日昼、領主の屋敷に呼び出されたオレは、領主のエドワルド・ハミル辺境伯本人から直々に面接を受けた。
 三十になるかならないかのまだ若い領主だ。鼻の下にだけ蓄えたひげがよく似合っている、中々イケメンな領主だな。
 どうやらオレに目をつけた理由は、何かジェシカから聞いたらしい。 
 ジェシカのヤツいらん事言ったんじゃないだろうな。
 一応手紙は招待状で、昼食への招待だったが、ランチは軽いもので、その後の会談と言う名の面接がメインだった。面接と推察したのは正しく、本当にオレを値踏みしていたようだ。
 何のためか。
「キミが読み書き計算が出来る事は聞いている」
 と言って、ギルドの書類のやり取りや素材の換金額の計算など、子供なのに大人以上に出来ることに驚いたと言った。
 まあオレ自身は三十三歳の大人だから大したことじゃないけど、見た目十歳の子だったらすごいのかな。
「そこでもう一つ、キミの特技を見せて欲しいんだ」
「特技? 」
「精霊魔法さ。ジェシカから聞いてるよ。最強精霊使いジーンから薫陶を受けた、未来の最強冒険者だって」
 ジェシカのヤツ、やっぱり余計な事を言ってたらしい。
 何のためか分からないが、精霊魔法を見るのがこの日の目的のようだ。
「お見せするほどの事はありませんが」
 ってか見世物じゃない。
 精霊は何の用も無しに呼び出すと怒る者がいる。
 家妖精のシルキーは片付け大好きだがきれいな部屋で呼び出すと、怒って逆に散らかして回るし、面倒臭がり屋のリフレシアは、呼び出されるの自体面倒臭さがる。
「まあそういわずに何か見せてくれないか」
 領主に言われてそれ以上断れず、ちょっと見せる事に。
 名も知らない、風の精霊と光の精霊にお願いするか。
 この子? はオレが体内に持つミストを分けてやる事で、というか勝手に取っていく事で俺に役立つことをしてくれる便利な精霊で風の精霊の一種だ。
 敵意のあるものが近づいたりすると教えてくれる。
 風の精霊の囁きに耳を傾ける。
「ドアノソト」「フタリ~」「ワルグチ~」「ガキニナニガデキルッテイッテル~」
 領主館の中では安全だと思って精霊の声は聞いていなかったので今初めて聞いた。あまり歓迎はされていなかったんだな。
「ドアの外に二人、護衛がいるようですね。私の噂話をしているようです。私語は慎まれたほうがよろしいかと」
 そう言うと、領主はおもむろに立ち上がって廊下側のドアを開け、護衛を確かめ、何か確認をして戻ってきた。
「キミの言うとおり護衛は二人、ちょっと話をしていた事は認めた。大した物だな」
 オレの噂をしていた事は認めなかったか。まあ主の呼んだゲストの悪口を言った事は言わないか。
「他にはないかな」
「では……」
 オレは「カーテンを閉めてくれ」と風の精霊にお願いする。
 精霊にお願いするのに声に出さないといけないのはちょっと面倒だけど仕方ない。
 するとそれに合わせ、テラスに出られる出入り口兼大きなガラス窓になっている、四つの窓全ての遮光カーテンが閉じられ、部屋が暗闇に包まれる。
「閣下、こちらに」
 多分、部屋の中のどこかに隠れ潜んでいた影の護衛が、身の安全のため領主を避難させようと現れたようだ。
「ご安心ください、閣下を害するような事は致しません」
 暗闇の中そう言っうと、領主は、このままでいい――と、護衛に囁いた。
 オレはそれを風の精霊から伝え聞いてから、風の魔法を使ってイタズラを仕掛ける。
「影の護衛はお二人だけですか」
「ッツ!? 」
 俺は風の精霊の一種、エコーという精霊にお願いして、オレの声を領主の右後ろから囁くように声を届けさせる。領主と護衛が右後ろに振り向くのが分かった。
「もうじき明るくしますからご安心ください」
 今度は領主の左後ろから囁くように声を届ける。領主と護衛が今度は左後ろに振り向くのが分かった。一人が剣を抜いて抜き打ちにオレの声がしたと思った場所を切り裂く。
 風の精霊が声を届けただけなので、もちろんオレはそこにはいない。
「どこにいる、姿を見せろ」
 護衛が怒鳴った。
「お待ちください、光あれ」
 オレはすぐ、光の精霊に言ってオレの側と領主の側に一つずつ光の精霊を配置した。
 領主の側に剣を持った黒服の護衛が二人立っているのが見えた。
 オレと領主は、大人の足で十歩は離れた位置にいる。最初の位置から一歩も動いていない。
「私はここです。驚かせて申し訳ありません」
「ふうむ、面白い物だな」
「声が別の場所から聞こえたのは風の精霊の力です」
 領主が再び右後ろを見て、そしてそのまま視線を左後ろへ移した。
 オレの声が再び右後ろから聞こえ、それがそのまま左後ろへ移っていく、そのようにエコーの精霊に頼んでおいたのだ。
「攻撃できる精霊は見せてもらえるかな、下層で契約したと聞いてるよ」
 領主が挑戦的に微笑んだ。


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