あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

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第二章 王都編

第三十一話 シャーロットとロレンツォの初体験 その1

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 誘魔香を使って魔物を集めた執事と御者を捕らえ、罪を暴いている間に、誘魔香は風で流されて薄まり、魔物の気配はほとんど感じられない、むしろ普段より少ないのではと思えるほど魔物が減った。
 多分、オレとアホネン公爵の近衛騎士が狩りつくしたのだろう。
 次の街までまだかなり距離があるので、執事達を縛り上げた後、急いで出発したが、ガレア家の騎士や捕らえられた執事達は歩きなのでスピードは上がらない。
 森からもそう遠くなく、川も近く、比較的平らな場所があったので、一旦馬車を止めてロレンツォ付きの執事に聞いてみる。四十歳代のベテラン執事だ。
「次の街まで、どのくらいでいけそうですか」
「……このペースだと、あと大ロウソク四、五本分かな」
「今日中に付くのは無理だね」
 歩きだと時間は馬車の倍近くかかる。もう思い切って野宿を提案する。
 残った侍女や御者、ガレア家の執事や騎士などが話し合い、雨も降りそうもなかったので、野宿する事になった。
 騎士の皆さんは、鎧を縫いで軽装になっていたが、それでも疲労困憊だ。
 馬車は傷だらけではあったが、穴が開いた所もないので、シャーロットやロレンツォ、侍女は貴族用の馬車で寝る事にして、オレも含めて残りの男は交代しながら荷馬車で寝たり、焚き火の番をする事になった。
 で、問題は食事だ。
 食料は、ほとんどなかった。
 サンドイッチのような昼食用の軽食は用意していたが、昼で食べてしまった。
 逃げた騎士の分も、夜までには痛んで悪くなりそうなので昼の内に、騎士たちが分けて食べた。なので夕食と翌朝の朝食だが……。
「それで食事はどうするのです」
「……だれか食事を作れる者はいますか」
 シャーロットの疑問に、ロレンツォ付きの執事は他の人に質問する事で答えた。
 つまり夕食の当てが無いのだ。
 誰もが顔を見合わせて俯く。
「JJくんは一人暮らしだったんでしょ、お料理とかどうなの」
 シャーロットがいらん事を言う。
「簡単な、男料理でいいなら……」
 仕方がないので、渋々頷く。ここでみんなが尻込みしていても埒が明かない。オレも断食はしたくない。
「不美味くっても文句言わないでね」
「……」
「だ、大丈夫文句は言わないよ」
 執事は責任を取れないのでなんともいえない顔をしたが、ロレンツォが引きつる顔で了承したので、料理作る事にした。言質は取ったぞ。
「美味しいのをお願いね」
 シャーロットは無邪気に言う。今ロレンツォが文句は言わないといったのに台無しだ。
 でも、オレ護衛なんだけど料理なんか作っていて良いのかな、仕方ないけど
 後で聞いてみると、オレ以外の人間は皆街育ちで、町の外に出るのはこうした領主や領主家族の旅に同行するときだけ。それも大抵街に泊まるので、野宿は初体験の者ばかりだった。
 ロレンツォもシャーロットも当然お初だ。
 オレは街で暮らしている時は、外食かパンを買ってきて食べるだけの粗食が多かったが、ダンジョン以外で、壁の外で魔物狩りをする時もあって、野宿もよくしたものだ。
 ディアが小さい頃は、オレがリベルタの家で料理を作ったりした。っていうか、ディアに料理を教えたのはオレだしね。
 あと、リベルタの家とオレの家は引越しだったので、食器や料理の道具は全部、あとリベルタの家にあった食材もマジックリングに入れて持ってきている。
 マジックリングは無限収納で時間停止機能があるから、調味料も含めて整理したり捨てる必要がないから。それらを使えば、まあなんとかなるかな。
 野宿などした事がない者ばかりなので、オレが全て指示する。
 騎士の四人は森で薪拾い、朝まで不寝番なので多目に拾ってもらう。
 御者三人には馬の世話、これはいつもやってる事、あと川で水汲みを手分けしてやってもらう。
 ロレンツォ付きの執事には、大き目の石を拾ってきてもらいかまど作り。
 シャーロットとロレンツォ付きの侍女二人は、まず食器や調理道具を川で洗ってもらい、そのあとは料理の手伝いだ。
 オレは準備が出来るまで、かまど用の穴を掘って、そのあと枯れ葉と細い枝などを集めて火を起こす。火打石があったから簡単だ。
 調理が始められるまで、まだ少し間があったので、魔物避けを燃やす。
 魔物避けは、元は除虫菊に似たような草で、燃やすと煙が虫や獣が嫌いな匂いを発生させる、それを粉にして固めた物だ。
 冒険者ギルドや商人ギルドで安く売ってる。
 馬や牛などはあまり嫌いではないようなので、よく野宿をする行商人も使っている。
「……ジッ」
「ど、どうしたのお姉ちゃん」
「何をしているのか、見ているだけです」
 聞いてみるとシャーロットとロレンツォは、何もする事が無くて暇らしい。
「魔物避け、周囲で焚いてくれる? 」
「私がですか? 」
 明らかに戸惑っている表情だが、暇なんだったら手伝って欲しい。
「働かざるもの、食うべからず。って言うよ。大丈夫簡単だから」
 火が付いた細い枝と魔物避けを五、六個渡して、直接草や土の上ではなく、石とか岩の上で燃やすよう、馬車の周囲で燃やしてくれと頼んだら、二人は嬉々としてやってくれた。
「野宿なんて、初めての体験で、ちょっとドキドキします」
 シャーロットは意外と楽しそうな笑顔を見せた。
 で、オレは手が空いたので夕食用の肉の手配。今日狩ったウサギの魔物を解体して肉にする。魔物肉は意外と美味しいのだ。
 狩った直後にマジックリングに突っ込んだのでまだ暖かく血は固まっていなかった。
 ホントは落としてから十日程熟成させた方がいいらしいけど、落とした直後も、まあこれはこれでさっぱりと美味しい。 
 川の下流で皮をはいで冷やしながら血抜きをする。
 全員で十五人ぐらいいるからウサギ五、六羽くらいは……いや、明日の朝食分も考えると、もっと大きい、グリズリーもさばいて。ステーキでも焼けるように腿とか肩脇腹あたりの肉を取り出しておくかな。
 ついでによく手洗いをする。
 
    
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