あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

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第二章 王都編

第三十九話 王立魔法騎士学校 入学式 その2

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「面白そうな話をしてるじゃないか」
 そこに正面切って話に割り込んだ男がいる。貴族同士の話に割り込めるのは、何も考えていないバカか、もしくは両者と同等以上の高位の貴族……。
「殿下」「ラージュ様」
 こいつが物好き王子、ラージュ・ラスクール第四王子か。
 物腰が柔らかそうな、紳士然とした柔和な笑顔の男だ。女にもてそうだ。
 後ろには、入学試験の時に会ったカルロという男がついているので、王子で間違いないだろう。 
「殿下、は、初めまして。私同級生になりますアホネン家の嫡男オレハ・アホネンと申します」
 突然、オレハが王子に挨拶をしだした。
 こいつも王子とお近づきになりたくてこの学校に入ったんだろうな。
 だけど、舞い上がってて何も気づいていないらしい。
「やあオレハ、十歳の儀にあってるから三年ぶりだな。初めましてじゃないし、同級生でも無いよ」
 殿下が気さくに答える。
「これは失礼しました。これから三年間同級生としてヨロシクお願い――」
「だから同級生じゃないって、私はBクラスだから」
「はっ? 」
 ここではじめてオレハは怪訝な表情を浮かべる。
「オレハ様、オレハ様だから言ったでしょ、王子が大変な事になってるって」
 そこでオレハはお付の人に掲示板を見るよう促されて、初めて王子がBクラスであることに気づいたようだ。
「王子がBクラスだと! なんでこんな。殿下これは何かの間違いです。いまから職員に言って」
「さあね、クラス分けは僕の感知するところじゃないからね」
 王子、自分でBクラスを希望しておいて、いけしゃあしゃあと言いやがる。
「それよりいいのかこんな所にいて。キミはAクラスの代表だろ。学校の職員がキミを探していたぞ、新入生代表」
 オレハが新入生代表? 世も末だな。
「新入生代表? あれは王族が入学する時は王族の子弟がするものだと……」
「アレはAクラスの中で爵位が一番高い家の者がやるのが慣例さ。Aクラスで一番爵位が高い家はキミの公爵家だろ。だから入学式の挨拶も新入生代表のキミがやるんだ」
「あー、こんな所にいた」
 その時、背後から若い女性職員の声が響いた。
「殿下ご歓談中に失礼します。オレハくん新入生代表挨拶してもらいますよ。どんな挨拶するんですか、ちゃんと考えて有るんでしょうね。ホラネクタイちゃんと締めてホンット手間のかかる……」
 オレハは王子に挨拶するでもなく連れ去られていった。
 残された王子は、ニヤニヤとオレハを見送った後、厳しい目つきでロレンツォを振り返った。
「ちょっとこっちに来い」
 王子はロレンツォの腕を引っ張って、誰もいない教室に連れ込んだ。
 BLか、まさかここでBL展開か?
「私たちも行きましょう」
 シャーロットがついていく。そして王子の護衛のカルロもついていく。
 一応気になるので、空気になっていたオレとディアも一応ついていく。

「ロレンツォ、この間は高度に政治的な話なので誰にも言えないとか言ってたよな。確かに、今少し聞いた限りではかなりまずい話だ。公爵家の取り潰しも視野に入れなければならない話だ。きちんとした証拠はあるんだろうな」
「いや、それがその……」
 ロレンツォが苦笑いしながら頭をかく。
 証拠はないんだよね。執事と御者の二人の証言だけだ。
 誘魔香も魔物を集めた証拠ではあるが、オレハが指示した証拠にはならない。
「アレだけの事をしでかしておいて、知らん顔でシャーロットに近づいてくる厚顔無恥な態度に腹が立ちまして、ついムキになりました」
 ロレンツォが申し訳なさそうに言う。
 何か考えがあるんだと思っていたけど、ただ頭にきていただけだったか。ロレンツォにも熱いところがあるんだな。
「お前なぁ。オレが間に入ったから、有耶無耶になってすんだんだぞ。あれ以上アホネンを追い詰めてどうするつもりだったんだ」
 王子はため息をつきながら、疲れた表情でロレンツォを睨む。
「開き直って証拠を出せだの言われたら、話は全てそこで終わり。逆に名誉毀損で訴えられる事になりかねんぞ。そうはさせたくないから、お前たちの親も話を公には出来ないんだろう。それに父親の立場、権力を、自分の強さと勘違いするような奴だ。これ以上追い込むと何をしでかすか分からないぞ。気をつけるんだな」
王子はそう言って、ロレンツォとシャーロット二人の間に入って肩を組んだ。
「まあ、オレはお前たちの味方だからな、何かあったらすぐに相談しろ」
 おお、さすが王子。男前だな。
 いや、シャーロット曰くオレ様キャラで、仲間はずれが嫌らしいから、話に混ざりやすいようにそう言ってるだけかもな。
 その時、入学式の開始を知らせる鐘が高らかに鳴った。
「まずい、さすがに入学式をサボるわけにはいかん。行くぞ」
 オレ達は一斉に教室を飛び出した。

 入学式にはギリギリ間に合った。
 だが、新入生代表で噛み噛みでボソボソと挨拶するオレハを見て、オレ達の学年の代表こんな奴かと思うと心底がっかりした。
 こんなんだったら式はサボってもよかったかな、と思わずにはいられなかった。 


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