あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

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第二章 王都編

第三十九話 王立魔法騎士学校 入学式 side オレハ・アホネン

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「ようやく入学式か。待ち遠しかったな」
 オレは入学式までの間、Aクラスの教室で時間を潰していた。
 これからだ。これからは、毎日彼女とここで会えるのだ。
 オレは、六歳の時のオレの誕生パーティの時に、運命の少女に出会った。
 隣領からオレを祝いに駆けつけた運命の少女、その名はシャーロット・ハミル。
 そのとき二人は恋に落ちた。
 それから七年。二人が合った日数はそれほど多くはないが、その恋の炎は激しくなる事はあっても、衰える事はなかった。
 そして運命の女神は、二人をこの王立魔導騎士学校へ誘った。
 二人の恋は、今日ここで結実するのだ。
「オレハ様~、そんなに学校で勉強したかったんですか~。ハッキリ言って今後ずっと、毎日こんな辛気臭い所で勉強なんですよ~、オレは真っ平ゴメンですけどね」
 オレの家、アホネン家の寄子で、親父のコネでAクラス入りをさせた男爵家の息子が、ダルそうにオレに話しかけてくる。
 バカが。勉強が楽しいわけがない。シャーロットと同じ部屋で顔を合わせ、話をして、同じ空気を吸う事が楽しいのだ
 こいつは王子の知己を得やすくするために入れさせた男だ。
 まあ腰ぎんちゃくAだな。
 オレ自身王子にが気に入られればそれが一番だが、こいつが気に入られればそれでもいい。こいつが王子にオレの良いところを吹き込んでくれれば良いのだ。
 只それだけの男には、ここが只の牢獄にしか見えないのだろう。
 だがオレにはここが花園に、いや運命の女神の箱庭にしか見えないのだ。
「オ、オレハ様大変です! 」
 感慨に耽ったオレの耳に、慌てふためく子犬のような耳に痛いキンキン声が聞こえてきた。
「なんだいったい」
 オレは飛び込んできた男を睨みつける。こいつは一般試験を受けながら、やはり王子対策でAクラス入りをさせた、やはり寄子の騎士爵家の息子。腰ぎんちゃくBだ。
「王子が、お、お、王子が~~~~とにかく来てください」
 オレは騎士爵家の息子に引きずられるように教室を後にして、昇降口近くのクラス分け掲示板へと向かった。

「なんだと、な、名前がないじゃないか」
 オレはクラス分けの掲示板を見て心底驚いた。
 Aクラスの中にシャーロットの名前が何処にも無いのだ。
 オレの名前、オレハ・アホネンの名前が一番最初にある。
 名簿は父親の貴族の爵位の高い者順だから、公爵家のオレの名前のすぐ下に辺境伯家、もしくは侯爵家の名前が来るはずなのだが、その次は伯爵家の名前になっている。
 最後まで見たが、辺境伯家のシャーロット・ハミルの名前が何処にも無い。
 何度見ても無い。
「そうなんです。Aクラスには名前がないんです」
「Aクラスには? ……では違うクラスなのか? 」
「Bクラスに有りました」
「なんだと……」
 隣のBクラスの掲示板を見ると、上から二番目の位置にシャーロット・ハミルの名前があった。
 なぜBクラスなんだ。
 よく見るとその下にロレンツォ・ガレアの名前、そして最後にJJの名前があった。
「あっちゃ~~。Bクラスになるとは宣言してたけど、本当にBクラスになるとは」
「殿下は有言実行ですね」
「権力の無駄使い……」
 聞き覚えのある美しい声に振り向くと、やはり恋焦がれたシャーロット本人。
 それとその魚フン、いつもシャーロットに付いて回っているガレア家の息子、あとぶかぶかの制服に着られた子供がいるぞ……? そうだこの間もいたなぁ、護衛だか小姓だかいう平民、こいつどうやってこの学校にもぐりこんだんだ。
 ……まあいいや。そんな事より、
「シャーロット嬢! 」
 オレはシャーロットに声をかけた。勢い余って大きな声になったけど仕方ない。これも彼女を思うあまりだ。
「なんで貴女はBクラスなんですか、この庶民達に合わせたのですか」
「JJのことかい」
 オレがシャーロットに声をかけると、なぜかガレア家の息子が彼女のを後ろに遠ざけてしまい、代わりにそのガレアが答えた。
「名前なんかどうでもいいし、お前に聞いてない、シャーロット嬢、なんでBクラスなんですか、私は――ッ!? 」
「シャーロットはお前とは口も聞きたくないそうだ」
「は? 何をおかしな事を言ってるんだ」
「だから僕が代わりに答えてやる」
 ガレアの奴は、オレの話を聞かずに話し続ける。
 相思相愛の二人の仲を引き裂く悪魔か。
「実は先日、ボクとシャーロットは、王都に来る途中で魔物に襲われてね」
 なんだなんだ、と周囲に他の生徒たちが集まってきた。何だかおかしな事になってきたな。
「どうやらだれかが、僕達に自分の強さを見せ付けるために、ワザと魔物に襲わせたらしいんだ。だけどそいつは僕達を見捨てて一人でさっさと逃げたんだ、その犯人の貴族がAクラスにいるのさ。だからそいつを避けて僕らはBクラスに入れてもらうように学校側に頼んだのさ」
 なんだと、まるで言いがかりだ。あれは執事の勧めたとおりやっただけだ。何と言っていたかな、
「逃げたんじゃない! そう、あれは戦略的撤退だ、退路の確保も重要な事だ」
「ふうん、逃げた事は否定しても、襲わせた事は否定しないんだな」
「ん?」
 こいつ何を言っている?
「やはり、あの事件は本当にキミが魔物を操って僕らを襲わせたのかい」
「バッ、バカな事を言うな。貴様オレを侮辱するつもりか! 」
「はっ、まさか。でもキミが否定しないという事はやはり犯人は――」
 おのれ、ガレアめ、オレを落とし入れるために、入学式の日にこんな話を持ち出しやがって……。
「どうしたんだ」
「あそこの貴族の息子たちが揉めてるみたいだ」
「ハンサムな方はガレア家の息子だな。ポッチャリなのはアホネン家のオレハだ」
「なんでもアホネン家が魔物を使ってガレア家の息子を襲わせたらしいぞ」
「バカナ、紛争になるぞ」
「でもアホネンは否定してないぜ」
 まずいどんどん人が集まってきてる。それにおれが犯人みたいに噂されているぞ
 何か言い返さないとオレが、本当の犯人みたいじゃないか。
 何て言い返せばいいか……。
 そうだ、あの犯人はハミル家の執事と御者だったはず。
「あれはシャーロット嬢の家の執事と御者が仕組んだことだ――ッ!? 」
「ほう、そうなのか。それをなんで君が知っているんだ。実はキミがそれを指示した真犯人なんじゃ――」
「しまっ――」
 しまった、つい! 
「やっぱりアホネン家がガレア家の息子を抹殺しようと」
「どんな恨みがあったんだ……」
 まずい、皆が信じ始めている。なんとかしないと――。
「面白そうな話をしてるじゃないか」
「誰だ」
 誰だ、人の話に割り込んでくる失礼な奴は。
「殿下」「ラージュ様」
 周囲の者がこいつの事を殿下って呼ぶ。ん、こいつ王子なのか? 
 王子だと!?
 ちょうどいい、王子に挨拶をしながら、この話は有耶無耶にしてやる。
「殿下、は、初めまして。私同級生になりますアホネン家の嫡男オレハ・アホネンと申します」
 今回この学校に通う目的は二つ、シャーロットと恋を成就させる事、もう一つは王子と懇意になる事だ。
 シャーロットとガレアの事は一旦置いておこう。なるべく機嫌を損ねないようにしないと。
「やあオレハ、十歳の儀にあってるから三年ぶりだな。初めましてじゃないし、同級生でも無いよ」
 殿下が気さくに答えてくれる。第一印象はバッチリだ。
 ……ん久しぶり? そういえば殿下とは同い年だから、十歳の儀の時は会ってるのか忘れてた。
「これは失礼しました。これから三年間同級生としてヨロシクお願い――」
「だから同級生じゃないって、私はBクラスだから」
「はっ? 」
 殿下はアホなのか。何を言っているんだ? 王子がAクラスではなくって何だというんだ。
「オレハ様、オレハ様だから言ったでしょ、王子が大変な事になってるって」
 オレの後ろから腰ぎんちゃくBが声をかけてくる。何か掲示板を指し示しているので見てみると、Bクラスの一番上に、ラージュ・ラスクールの文字が。
「王子がBクラスだと! なんでこんな。殿下これは何かの間違いです。いまから職員に言って……」
 間違いを訂正させなくては。だが王子は至って気楽そうに反論する。
「さあね、クラス分けは僕の感知するところじゃないからね」
 くそ、これでは王子と同級生の立場を利用して懇意になるという計画が台無しじゃないか。それならオレの方をBクラスに変えてもらうか。父親の力を知ってる職員なら簡単に引き受けるだろう。そう思っていたら……。
「それよりいいのかこんな所にいて」
「えっ」
 なんだその含みのある言い方は。
「キミはAクラスの代表だろ。学校の職員がキミを探していたぞ、新入生代表」
「新入生代表? あれは王族が入学する時は王族がするものだと……」
「アレはAクラスの中で爵位が一番高い家の者がやるのが慣例さ。Aクラスで一番爵位が高い家はキミの公爵家だろ。だから入学式の挨拶も新入生代表のキミがやるんだ」
「あー、こんな所にいた」
 その時、背後から女性職員の声が響いた。
「殿下ご歓談中に失礼します。オレハくん新入生代表挨拶してもらいますよ。どんな挨拶するんですか、ちゃんと考えて有るんでしょうね。ホラネクタイちゃんと締めてホンット手間のかかる……」
 オレは、シャーロットや王子に挨拶も出来ず、ガレアに言い返すことも出来ずに女性職員のババアに職員室へと連れ込まれた。
 入学初日からついてない。

 オレは去年の新入生代表の挨拶文を用意させて、なんとか入学式を乗り切った。
 しかしシャーロット、なぜ君はBクラスなんだ。
やはり、あの庶民のガキに合わせたのだろう。
それと、ロレンツォにそそのかされたのだろうな。
 くそ、この仕返しどうやってくれようか。
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感想 4

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みんなの感想(4件)

A・l・m
2026.01.02 A・l・m

受験シーンまで見た。

やっちゃいました?は兎も角として、やっときました(授業料支給)は良かった。

無かったら没落を願っちゃうとこでしたよ……。

解除
A・l・m
2025.12.31 A・l・m

32→33の繋ぎがおかしい様子

JJが怒るかどうかして護衛を辞退するシーン?が抜けているよう


「あんなのは護衛の仕事じゃない」→頷けない、代金と慰謝料が目の前に出てくるシーン

2026.01.01 サカナタシト

A・l・m様のご指摘の通りでございます。
「第三十二話  王都 JJ受難 その3」のあとに本来「……その4」が来るところを掲載漏れしており、
「第三十三話 JJ説得される  その1」を掲載しておりました。

お読みいただいた方にはさぞ、???な感じになっていたかと思います。
大変ご迷惑をおかけいたしました。
この場をお借りしてお詫び申し上げます。
先ほどUPさせていただきましたのでご覧いただければ幸いです。

また、A・l・m様におかれましては、ご指摘ありがとうございました。
今後このようなことは無いよう努めてまいりますので、
お見捨てにならないよう引き続きよろしくお願いいたします。

解除
A・l・m
2025.11.13 A・l・m

最新話。

もちろん、叫んだ、つもりなだけで声なんて出てませんよね?

……精霊だけ聞けば十分でしょ伝わるし。

解除

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