嫌われ王子様の成長 〜改心後、暴君の過去が役に立つこともある〜

ぽんちゃん

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19 激しい兄様 (※)


 リンネス邸から戻って来た俺は、そのままセオドル兄様の部屋に向かった。  
 俺がアーノルドと婚約しない以上、ジルベルトはセオドル兄様と婚約する必要がある。
 ジルベルトが望んでいなくても、彼の父である宰相殿が王家と縁を結ぶことを望むはずだ。

 宰相であるアンドレアス・リンネスは優秀で切れ者と評判の男だが、子育てに関しては一切関与していないとも聞く。
 俺はアーノルド関連の会話すらもしたことがないから、宰相殿の人柄はよくわからない。

 見た目はアーノルドと同じ長い白銀の髪を一纏めにしており、赤の強いピンク色の瞳で、眼鏡をかけている。
 見るからに頭が良さそうだが、表情の読めない男だ。
 彼の長男で次期宰相候補のアシュリーと一緒にいることが多いが、逆を言えば、ジルベルトやアーノルドと一緒にいるところを見たことがない。

 「そういえばアシュリーも、白銀の髪にピンク色の瞳だな。ジルベルトだけ金髪に空色の瞳……」

 顔立ちもあまり似ていない気がする。
 そうこう考えていると、セオドル兄様の部屋の前に着いた。

 扉の前に立つ護衛が、なにやらモゴモゴとしていたが、俺はジルベルトのためにセオドル兄様と話す必要がある。
 俺と会話をしたくない様子なので、勝手に扉をノックするが返事がない。

 「セオ兄、さ、ま……」

 チラリと扉から顔を出すと、寝台の上で四つん這いになっている侍従の若者が、セオ兄様に後ろから貫かれていた。
 
 「あんっ! あんっ! あんっ!」
 「使いすぎてゆるゆるだな、もっと締めろ!」

 ペシンと尻を叩くセオ兄様は、悪魔のような顔で腰を振っていた。
 セオ兄様が、侍従の若者の金髪を荒々しく掴んで引っ張り、侍従の開いた口から涎がダラダラと流れていた。

 「ああっ、セオドルっ、殿下っ、はぁん♡」
 「この淫乱が! もっと俺を楽しませろ!」
 「ひゃぃぃっ、あっ♡ あっ♡ あっ……♡」
 「オラオラ、ちゃんと腰を振れよ! 自分だけ気持ち良くなりやがって、この駄犬が!」
 「ああっ、あああああ~~っ!!」
 「チッ、勝手にイッてんじゃねぇよ!」

 パンパンと肌のぶつかる音が室内に響き、俺はその場で硬直して動けなくなっていた。

 兄の情事を見てしまった俺は、ショックでその後の記憶がない。
 気づけばリュカに支えられて自分の部屋に戻り、寝台の端に腰掛けて、ぼーっとしていた。

 「大丈夫ですか?」
 「ん? あ、ああ、うん。多分……」
 「セオドル殿下の侍従に、明日の昼にジルベルト様とのお茶会の話をしておきましたが……。今からでも取り消しますか?」
 
 気まずそうにするリュカに、首を横に振った。
 セオドル兄様のセックスが、俺が想像していたより激しくて、若干愛のないもののように思えた。
 でも、侍従の青年は興奮して射精していたわけで……。
 俺の小さな脳は、先程の情報を上手く処理できない。

 それに侍従の青年の金髪が、一瞬だがジルベルトに見えてしまった。
 顔は全然違うのに……。
 セオドル兄様とジルベルトが婚姻したら、ジルベルトもあんな風にセオドル兄様に貫かれて、艶かしい声を出すのだろうか?
 想像すると、どくんと下半身が熱を持つ。

 「リオン殿下……」
 「あっ、な、なんでもない……。悪いけど、ちょっと一人にしてくれる? ごめんね。リュカ」

 無になろうと目を瞑って深呼吸を繰り返していると、部屋の鍵を閉めたリュカが俺の前に立った。

 「処理をするのであれば、お手伝い致します」
 「え?!」
 「これも侍従の勤めですので」
 「そ、そうなのか?! し、侍従は、犬みたいな格好で尻を叩かれて喜ぶのか?!」
 「っ、ち、違います!」

 ほんのりと顔を赤らめたリュカは、全力で首を横に振る。

 「でもセオ兄様の侍従の子は、あんな酷いことされてるのに喜んでた……」
 「酷くされて悦びを得る者もいます」
 「リュカも?」
 「っ、私は受け入れる側ではないので……」
 「なっ、なるほど……」

 リュカは抱く側なのか。
 赤裸々な性事情に、頬が熱くなる。
 俺も多分きっと抱く側なんだが、というか、まだ童貞だからわからない。
 筆下ろしとやらも、過保護な両親によって相手が決まらず、俺だけしていない。

 「処理だけ致しますので」
 「なんか、処理って嫌な言い方だな」
 「……申し訳ありません」
 「いや、怒ってるわけじゃなくて。リュカだって、別にしたいわけじゃないだろ?」
 
 うんともすんとも言わないリュカに、俺は眉を下げてへらっと笑った。

 「俺はセオ兄様とは違うから。リュカが嫌なことはさせたくないし、無理矢理させるつもりもないから。だから、安心し……て?」
 
 最後まで言い終わる前に、俺は寝台の上に押し倒されていた。









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