19 / 211
19 激しい兄様 (※)
リンネス邸から戻って来た俺は、そのままセオドル兄様の部屋に向かった。
俺がアーノルドと婚約しない以上、ジルベルトはセオドル兄様と婚約する必要がある。
ジルベルトが望んでいなくても、彼の父である宰相殿が王家と縁を結ぶことを望むはずだ。
宰相であるアンドレアス・リンネスは優秀で切れ者と評判の男だが、子育てに関しては一切関与していないとも聞く。
俺はアーノルド関連の会話すらもしたことがないから、宰相殿の人柄はよくわからない。
見た目はアーノルドと同じ長い白銀の髪を一纏めにしており、赤の強いピンク色の瞳で、眼鏡をかけている。
見るからに頭が良さそうだが、表情の読めない男だ。
彼の長男で次期宰相候補のアシュリーと一緒にいることが多いが、逆を言えば、ジルベルトやアーノルドと一緒にいるところを見たことがない。
「そういえばアシュリーも、白銀の髪にピンク色の瞳だな。ジルベルトだけ金髪に空色の瞳……」
顔立ちもあまり似ていない気がする。
そうこう考えていると、セオドル兄様の部屋の前に着いた。
扉の前に立つ護衛が、なにやらモゴモゴとしていたが、俺はジルベルトのためにセオドル兄様と話す必要がある。
俺と会話をしたくない様子なので、勝手に扉をノックするが返事がない。
「セオ兄、さ、ま……」
チラリと扉から顔を出すと、寝台の上で四つん這いになっている侍従の若者が、セオ兄様に後ろから貫かれていた。
「あんっ! あんっ! あんっ!」
「使いすぎてゆるゆるだな、もっと締めろ!」
ペシンと尻を叩くセオ兄様は、悪魔のような顔で腰を振っていた。
セオ兄様が、侍従の若者の金髪を荒々しく掴んで引っ張り、侍従の開いた口から涎がダラダラと流れていた。
「ああっ、セオドルっ、殿下っ、はぁん♡」
「この淫乱が! もっと俺を楽しませろ!」
「ひゃぃぃっ、あっ♡ あっ♡ あっ……♡」
「オラオラ、ちゃんと腰を振れよ! 自分だけ気持ち良くなりやがって、この駄犬が!」
「ああっ、あああああ~~っ!!」
「チッ、勝手にイッてんじゃねぇよ!」
パンパンと肌のぶつかる音が室内に響き、俺はその場で硬直して動けなくなっていた。
兄の情事を見てしまった俺は、ショックでその後の記憶がない。
気づけばリュカに支えられて自分の部屋に戻り、寝台の端に腰掛けて、ぼーっとしていた。
「大丈夫ですか?」
「ん? あ、ああ、うん。多分……」
「セオドル殿下の侍従に、明日の昼にジルベルト様とのお茶会の話をしておきましたが……。今からでも取り消しますか?」
気まずそうにするリュカに、首を横に振った。
セオドル兄様のセックスが、俺が想像していたより激しくて、若干愛のないもののように思えた。
でも、侍従の青年は興奮して射精していたわけで……。
俺の小さな脳は、先程の情報を上手く処理できない。
それに侍従の青年の金髪が、一瞬だがジルベルトに見えてしまった。
顔は全然違うのに……。
セオドル兄様とジルベルトが婚姻したら、ジルベルトもあんな風にセオドル兄様に貫かれて、艶かしい声を出すのだろうか?
想像すると、どくんと下半身が熱を持つ。
「リオン殿下……」
「あっ、な、なんでもない……。悪いけど、ちょっと一人にしてくれる? ごめんね。リュカ」
無になろうと目を瞑って深呼吸を繰り返していると、部屋の鍵を閉めたリュカが俺の前に立った。
「処理をするのであれば、お手伝い致します」
「え?!」
「これも侍従の勤めですので」
「そ、そうなのか?! し、侍従は、犬みたいな格好で尻を叩かれて喜ぶのか?!」
「っ、ち、違います!」
ほんのりと顔を赤らめたリュカは、全力で首を横に振る。
「でもセオ兄様の侍従の子は、あんな酷いことされてるのに喜んでた……」
「酷くされて悦びを得る者もいます」
「リュカも?」
「っ、私は受け入れる側ではないので……」
「なっ、なるほど……」
リュカは抱く側なのか。
赤裸々な性事情に、頬が熱くなる。
俺も多分きっと抱く側なんだが、というか、まだ童貞だからわからない。
筆下ろしとやらも、過保護な両親によって相手が決まらず、俺だけしていない。
「処理だけ致しますので」
「なんか、処理って嫌な言い方だな」
「……申し訳ありません」
「いや、怒ってるわけじゃなくて。リュカだって、別にしたいわけじゃないだろ?」
うんともすんとも言わないリュカに、俺は眉を下げてへらっと笑った。
「俺はセオ兄様とは違うから。リュカが嫌なことはさせたくないし、無理矢理させるつもりもないから。だから、安心し……て?」
最後まで言い終わる前に、俺は寝台の上に押し倒されていた。
あなたにおすすめの小説
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
婚約破棄された悪役令息は隣国の王子に持ち帰りされる
kouta
BL
婚約破棄された直後に前世の記憶を思い出したノア。
かつて遊んだことがある乙女ゲームの世界に転生したと察した彼は「あ、そういえば俺この後逆上して主人公に斬りかかった挙句にボコされて処刑されるんだったわ」と自分の運命を思い出す。
そしてメンタルがアラフォーとなった彼には最早婚約者は顔が良いだけの二股クズにしか見えず、あっさりと婚約破棄を快諾する。
「まぁ言うてこの年で婚約破棄されたとなると独身確定か……いっそのこと出家して、転生者らしくギルドなんか登録しちゃって俺TUEEE!でもやってみっか!」とポジティブに自分の身の振り方を考えていたノアだったが、それまでまるで接点のなかったキラキライケメンがグイグイ攻めてきて……「あれ? もしかして俺口説かれてます?」
おまけに婚約破棄したはずの二股男もなんかやたらと絡んでくるんですが……俺の冒険者ライフはいつ始まるんですか??(※始まりません)
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る
りーさん
ファンタジー
アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。
その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。
そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。
その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。