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24 暴露される俺
しおりを挟む「泣かないでください。私は貴方の涙に弱いんですから」
そう告げたリュカは、優しく俺の黒髪を撫でた。
「昨日、私の手で乱れる貴方を間近で見ていた私が、平気でいられるとでも思ったのですか?」
「……え?」
「昨晩は一睡もできなかったというのに」
リュカの言っていることがよくわからなくて目を瞬かせていると、苦笑いを浮かべたリュカは溜息を吐いた。
「そこら中の理性を掻き集めて、貴方に接していたというのに……。それが裏目に出ましたか」
「どういう、こと?」
「ですから、私もリオン殿下と同じ気持ちです。心が乱れて、貴方を意識せずにはいられませんでした。でも私は貴方の侍従です。公私混同しないように、必死に取り繕っていたというのに……」
貴方って人は。と深く息を吐くリュカに、俺の心臓がドクンッと大きな音を立てる。
「さ、最後まで、したのか?」
セオドル兄様が前のめりになってリュカに問いかけ、なぜかジルベルトがまでごくりと唾を飲む。
絶対に言うなよ、とリュカにアイコンタクトを送る。
リュカが微笑んだ瞬間、目の前から消えた。
いつのまにかセオドル兄様に連行されており、二人でコソコソと内緒話を始めた。
「詳しく話せ。俺が満足する内容なら、お前を咎めるようなことはしない」
「お身体は物凄く敏感で……。蕩けた顔で呂律の回らないリオン殿下は、可愛いを通り越して、尊かったです」
「ぐふっ、それは尊い!」
うぉいっ!! リュカぁぁぁぁ~~ッ!!
俺の侍従のくせして、秒で裏切りやがった。
憤慨している俺を他所に、ぐふぐふとおかしな声で笑うセオドル兄様。
可愛い顔して気持ち悪い。
「初心なリオン殿下は、口付けだけでも全身を真っ赤にされて……。視線や仕草一つ一つが、私を煽っているとしか思えませんでした」
「そ、それで、よく我慢できたな? 俺がリオンにそんなことされたら、ぶち犯してるぞ?」
「ええ、もう、拷問のような時間でした。傍若無人だったリオン殿下が、私の言うことを素直に聞く姿がたまらなく可愛くて……。しかし、壮絶なまでに美しくて……このお方を穢してはいけないという気持ちが全面に出ました」
セオドル兄様は、ふんすふんすと鼻息を荒くしてリュカの話を聞いていた。
……ていうか、恥ずかしすぎるだろうっ!
公開処刑かよと頬を膨らませるが、リュカに可愛いと言われて、ちょっとだけにやけてしまう。
「が、我慢したんだな?」
「はい、勿論。ただ、自室に戻って何度か自身を慰めましたが、思い出す度に昂ってしまい、夜も眠れず大変でした」
「お前、意外と元気なんだな!」
「いいえ。普段は滅多に致しません。そういう面に関して私は淡白です。ですが、リオン殿下の妖艶なお姿は、私の体質までも変えてしまわれました」
「フォォォォ────ッ!!」
雄叫びをあげたセオドル兄様は、その場でクルクルと回り始めた。
まるで、今から狩りにでも行く原始人のような踊りに、俺は白けた目を向けた。
さっと真剣な表情に切り替わったセオドル兄様は、毅然とした態度で、リュカに向かってビシッと指を指した。
「リュカ! お前を、生涯リオンの専属侍従として仕えることを命ずる!」
「承りました。有難き幸せ」
セオドル兄様が手を差し伸べ、その手を取ったリュカ。
まるで、長年啀み合ってきた敵と和解したかのように、固い握手を交わす二人。
蟠りがなくなった爽やかな顔の二人に、俺はその場で呆然と突っ立っていた。
「そういうことですので、今後ともよろしくお願いいたします」
「っ、リュカのおしゃべり! もうしない!」
頬を緩ませるリュカに、口を尖らせてふんっとそっぽを向いた。
気持ち良くて流されたのは俺だから、文句は言えないのかもしれないけどっ!
主人の恥を晒すな、馬鹿野郎ッ!
「では溜まった時はどうなさるおつもりで? 昨日の約束は覚えていらっしゃいますか?」
「…………一人でする」
キッと睨みつけたのに、なぜか嬉しそうに微笑むリュカ。
全くもって意味がわからない。
俺たちを見ていたセオドル兄様は、豪快に笑っていた。
「二人は随分と仲が良いんだね?」
「ぜーんぜんっ! リュカは意地悪ですから。……っていうか、今日はセオ兄様とジルベルトのために開いたお茶会なのに、俺の話ばっかりで、二人の話が出来てないですよ!?」
「あぁ、そうだったね? 少し二人で話すから、リオンとリュカは席を外してくれる?」
「はい。ジルベルト、頑張れよ!」
ぐっと拳を握ってエールを送ったが、なぜか視線を逸らされた。
くっ、まだ嫌われていたか。
少し応援したところで、好かれるはずがない。
出来ることなら友人になりたかったな、と思いながら、その場を後にするのだった。
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