婚活パーティーで、国一番の美貌の持ち主と両想いだと発覚したのだが、なにかの間違いか?

ぽんちゃん

文字の大きさ
27 / 100
リュセ

19



 ダンスパーティーまで、あと二週間。

 僕が考案し、商会でも販売しているカレンダーに記入した『サプライズ訪問!』の文字を眺めて、ぱちんと頬を叩いて気合を入れる。

 今日はどうしても目立ちたいので、青地の高級なベストを身に纏う僕は、緊張した面持ちで使用人たちに視線を向けた。

「ど、どう? 似合ってるかな?」
「はい。誰よりもお美しいですっ!」
「シュヴァリエ様も自慢に思うことでしょう」

 鏡に映る平凡な日本人顔の青年に、『素材がいいからなにを着ても似合う!』と、褒めちぎってくれている。
 それも、僕よりも美形な人たちが話しているのだから、なんだか変な気分だ。
 でも、僕のモチベーションをあげてくれたみんなには、あとでボーナスをあげたいと思う。


 笑顔になる僕は、さっそく手作りサンドイッチの入ったバスケットを手にして、いざ出陣だっ!


 五月の青い風に背を押され、意気揚々と馬車に乗り込む。
 シュヴァリエ様のことが心配でたまらない僕は、騎士団の訓練場に向かっていた。
 誰がシュヴァリエ様の婚約者なのかを、周囲に認識してもらうためだ。

 ライトニング公爵家から抗議文が届き、今は大人しくしているらしいミイルズさん。
 でも彼がシュヴァリエ様に会うために騎士団にまで突撃したことで、一部では二人が復縁するかもしれないと、面白おかしく噂を立てられているんだ。

 そのせいで、婚活パーティーでのことは、なにかの間違いなんじゃないかとまで言われる始末。
 僕ですら夢かもしれないと思うことがあるけど、僕とシュヴァリエ様は間違いなく両想いだ。

 なにせ、婚約してからは毎日会っているし、いつもぴったりとくっついている。
 いずれライトニング公爵邸で僕が使用する部屋の内装だって話し合っているんだ。
 気が早いかもしれないけど、婚姻後の話をするのはすっごく楽しい……。

 毎日顔を合わせていても、早くシュヴァリエ様に会いたくてたまらない。

「サプライズ大作戦だっ!」

 本日は、手作り料理を一緒に食べるミッションを遂行すべく、僕はひとり拳を突き上げた。



 昼前に護衛の人たちと共に騎士団の訓練場に着けば、既に見学に来ている人たちが大勢いた。
 騎士の職業は人気が高くて、ファンクラブのようなものも存在しているらしい。

「シュヴァリエ様は、第二騎士団なんだよね」
「はい。現在は副団長を務めていらっしゃいますが、リュセ様との婚姻後は、団長に昇進することでしょう」

 護衛のリーダーであるベアードさんが、ハキハキと答えてくれる。
 髭が似合う、ぬいぐるみボディ。
 思わずほっぺたやお腹に触りたくなるような魅力がある人だ。
 ミラジュー王国では凄腕で有名な人みたいで、僕たちは到着して早々に注目の的になっていた。

 僕の期待以上に熱い視線を集めることが出来たおかげで、僕とシュヴァリエ様のイチャつく現場を、多くの人が目撃するはずだ。

 僕の口角が自然と持ち上がる。


 モブは異世界で、心優しい美形の騎士様に愛されているのだっ!!


「お、おい、見ろよ……。リュセ様だっ」
「っ……リュセ様が色男たちを率いているぞ!」
「第一騎士団なんて、比べ物にならないくらいの美形集団じゃねぇかッ!」
「ベアード様も毛深くて素敵だけど、やっぱりリュセ様が飛び抜けて美人だよなぁ~」


 計画通りに目立つことが出来て、脳内お花畑の僕の前に道が出来る。

 観覧席に向かえば、なぜか見学者は左側に集中的に座っていた。
 ガラ空きの右側の席に案内されてついていくと、どうしてか背後から悲鳴が聞こえて来たけど……。
 シュヴァリエ様が所属する第二騎士団の人たちがよく見える席だ。


 どれだけかっこいい姿が見られるのだろうと期待していた僕は、訓練場の隅に集まる美形騎士集団を目撃して、これでもかと目を見開いていた。


 








感想 52

あなたにおすすめの小説

身代わり花婿の従者だった俺を、公爵閣下が主ごと奪っていきました

なつめ
BL
嫁ぐはずだった主人が式直前に姿を消し、従者のルキアンは主家を守るため、主人の身代わりとして花婿役を演じることになる。 だが、冷酷無比と噂される公爵ヴァレシュは、最初の対面から“花婿”ではなく、その横で嘘をついている従者のほうを見抜いていた。 主のために忠誠を差し出し続ける受けと、その忠誠ごと奪い、自分のものにしたい攻め。 身分差、主従、政略、執着、略奪の熱を濃く煮詰めた、じわじわ囲い込まれる主従逆転BL。

儚げ侯爵令息の怠惰な檻 ~前世が社畜だったので、公爵様の重すぎる溺愛が極上の福利厚生に見える~

千葉琴音
BL
前世で過労死した社畜男子が転生したのは、触れたら折れそうな超・美少年。 目指せ、究極の光合成ライフ! でも、隣にいるハイスペック公爵様の愛が、ちょっと(かなり)重すぎて……!?

転生天使は平穏に眠りたい〜社畜を辞めたら美形王子の腕の中でとろとろに甘やかされる日々が始まりました〜

メープル
BL
毎日深夜まで残業、食事はコンビニの冷たいパン。そんな社畜としての人生を使い果たし、過労死した俺が転生したのは――なんと、四枚の美しい羽を持つ本物の天使だった。 ​「今世こそは、働かずに一生寝て過ごしたい!」 ​平穏な隠居生活を夢見るシオンは、正体を隠して王国の第一王子・アリスターの元に居候することに。ところが、この王子、爽やかな笑顔の裏で俺への重すぎる執着を隠し持っていた!?

聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています

八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。 そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。

過疎配信者の俺の声だけが大人気配信者を眠らせてあげれるらしい

スノウマン(ユッキー)
BL
 過疎配信者の白石 透(しらいし とおる)のリスナーには、透の声でないと寝れないというリスナー、太陽が居た。彼の為に毎日配信してあげたいが、病弱な透には週一程度が限度だった。  だが、それすら叶わなくなる。両親が金と手間のかかる透の事を追い出すことにしたのだ。そんな時に手を差し伸べてくれたのが太陽で、一緒に暮らすことになる。だが彼の正体は大人気配信者で!?

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。

【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。

明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。 新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。 しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…? 冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。

『断罪予定の悪役令息ですが、冷酷第一王子にだけ求婚されています』

常陸之介寛浩📚️書籍・本能寺から始める
BL
あらすじ 侯爵家の嫡男ルシアンは、ある日、自分が前世で遊んでいたBLゲームの世界に転生していることに気づく。 しかも役どころは、ヒロインに嫉妬して破滅する“断罪予定の悪役令息”だった。 このまま物語通りに進めば、婚約者候補への嫌がらせや数々の悪行を理由に社交界から追放。家は没落し、自身も悲惨な末路を迎える。 そんな未来を回避するため、ルシアンは決意する。 目立たず、騒がず、誰とも深く関わらず、特に本来の攻略対象である第一王子には絶対に近づかない、と。 けれど、なぜか本来は誰にも心を許さず冷酷無慈悲と恐れられている第一王子アルベールが、ルシアンにだけ異様に執着してくる。 人前では冷ややかなまま。 なのに二人きりになると、まるで逃がすつもりなど最初からないと言わんばかりに距離を詰め、甘く、重く、求婚めいた言葉を囁いてくるのだ。 「君がどれほど逃げようとしても、私だけは君を離さない」 断罪を避けたいだけなのに、王子は人前で彼を庇い、社交界では“第一王子の寵愛を受ける悪役令息”という噂まで広がり始める。 さらに、ルシアンを陥れようとする貴族たち、王位争い、侯爵家に隠された事情まで絡み、物語はゲーム本来の筋書きから大きく外れていって――。 これは、破滅するはずだった悪役令息が、冷酷第一王子のただ一人の執着相手になってしまう、 甘くて重くて逃げられない、宮廷逆転溺愛BL。